シーア派のイランが変わるのか。

こんにちは。おはようございます。
1) イラン情勢
 イランの大統領選挙で不正があったと、ムサビ支持者がデモを繰り返しています。
一方、選挙で勝ったとされる保守派のアフマディネジャドは、アメリカのブッシュ政権の
イラク戦争に抗議し、イスラエルは地図から消えるべきと公言して憚らなかった人です。
 アメリカに、今でもネオコンがそのまま居座っていたら、この保守派の政権は、今後も
大いに存在価値がありますが、今、世界最大の軍事大国の指導者は黒人オバマです。
 
 中東に、本当に平和を求めるなら、そこでの対立を煽るような勢力は、世界中のどこの
国からも退陣してただきたい。 これは、平和を愛する、墨家たちの考えることです。
 イラン。 この国は、今の私たち日本人には馴染みが薄くなっていますが、
イスラムが台頭する7世紀までは、世界の繁栄の中心でした。
そして、私たちが日本列島に、「天皇」を作り出すときにも関わりました。
奈良の正倉院。ここの宝物の70%がササン朝ペルシャのものです。
 で、今日の話ですが、このイラン(ペルシャ)と、 ユダヤのことです。
2) ユダヤ人とは
 今、世界中にいるユダヤ人には3つの教典があります。
「旧約聖書」と「トーラー」、そして、「タルムード」。 
 この中で、もっとも生活に密着しているのが、499年にバビロンで編纂された
「タルムード」です。これは、面白いです。
 この世に生きるときの処世に関わる、多くの知恵が詰まっています。
「選民思想」のみが喧伝され、「悪の書」のように言う人もいますが、
実は、個人がこの世の人生を行きぬく知識・教訓が多く書かれています。
ユダヤ人の定義は何か?   二つあります。
一つは、血統です。
   その中でも、一番、正しいのは、ダビデ、イエスを生み出したユダ族の血統。
   一応、ヘブライ人となった12支族は、YHWHさえ信じれば、誰でもユダヤ人です。
次は、信仰 です。 
   これは、ヘブライ人の各支族に同行したレビ族のラビが認めます。
   条件は、ユダヤ教を信じ、その規定する生活を実践することで、いろいろな宗派が
   あるようです。
 たとえば、ヘロデ王のように、自らの出自がユダ族でないものでも、配偶者にユダ族、
もしくはベニヤミン族、あるいはシメオン族(北イスラエル系だがベニヤミンと行動を共にし、
YHWH信仰が強かった)を娶り、レビ族のラビに認められれば、ユダヤ人となれました。
 今のイランはイスラム、それもシーア派が主流ですが、実は、ここには
 今でも、ダビデの血統をつぐ、ユダ族の人間が暮らしているのです。
 
3) ユダヤ人イエスをめぐって。歴史をたどる。
 431年にエフェソス会議で、イエスの母マリアの神性を認めないネストリウス
が否定されると、多くのキリスト教徒が当時のササン朝ペルシャに入り込みました。
 彼らネストリウスの教えでは、
    「イエスはあくまでも人間として生まれた。そして神になった」 です。
 
 しかし、 ユダヤ人にとっては、
    「イエスは神ではなく、人間として生まれた預言者の一人」 です。
 ネストリウスの信者たちには、ローマから追放されると、ペルシャは亡命先になりました。
 そこでは、ゾロアスター教徒だったペルシャ王ペーローズから丁重に扱われました。
 狙いは、ビザンチンに対抗するためで、特に、バクトリアへの移住が進められました。
 (また、中国皇帝で彼らを尊重したのは、150年後の唐の太宗李世民のときです。)
問題は、ユダヤ人です。
 もともと、ペルシャとユダヤの関係がとても良好なものでした。
 BC6世紀にバビロンの捕囚をうけたユダ族は、アケメネス朝ペルシャのキュロス王に解放
 された後、多くはカナンに戻り王国を再建しましたが、 バビロン(今のイラク)に残ったまま
 のものがいました。 彼らが、ペルシャの王国つくりに貢献していたのです。
 このときに、ペルシャ王クセルクセスのユダヤ人王妃エステルの物語が生まれます。
 ササン朝ペルシャの建国を助けたのも、ユダヤ人たちでした。
 特に、ゾロアスター教の聖典「アヴェスター」は、ゾロアスターの娘婿ジャーマースパが
 BC6世紀初めに纏めたのですが、アレクサンダー侵攻時に紛失していたました。
 これを4世紀中頃、収集・編纂したのがシャープール二世で、母がユダヤ貴族でした。 
 313年にローマ皇帝がキリスト教徒になり、325年にはキリストの定義を「三位一体」
 と決めたニケーア会議が開かれましたが、 彼は、それを意識して行動したのです。
 このシャープール二世は、まだ母の胎内にあるうちに王冠を授けられたことでも有名です。
4) ペルシャとユダヤ 蜜月の終わり。
 そのササン朝ペルシャと ユダヤ人の平和共存関係に、大きな楔を打つことになったのが、
 451年のカルケドン会議でした。
 
 このとき、聖地エルサレムの総主教座を、ユダヤ人でないローマが決めたキリスト教徒が
 占有するという決定があり、このとき、カナンにいたユダヤ人が、そんな人間に従っていられ
 ないと、一気に、ペルシャになだれ込んだのです。
 時のペルシャ王ペーローズは、ネストリウス派は優遇したものの、このときなだれ込んだ
 ユダヤ人に対しては、ゾロアスター貴族に政権が脅かされると唆され、迫害を始めます。
 一旦は、ペルシャ領に来たものの、ユダヤ人たちは出て行くしかありませんでした。
 ペーローズが、エフタルとの戦いに負けたのは、その後でした。
 しかし、このペーローズの二人の息子、カワードとジャーマースプのときに、
 ユダヤ人はペルシャで生活の場を確保します。
 前述したとおり、499年にはペルシャ領のバビロンで「タルムード」が編纂されました。
 このあと、新規にユダヤ人(ユダヤ教徒)になる人間が現れ始めます。
 「タルムード」を得てその処世術を盗み、YHWHを語りさえすれば、多くの信仰・宗教の
 渦巻く、ペルシャやその周辺で、力強く、生き残れます。
 《選民思想》だけを意識する集団は、排他的な利権を構成したでしょう。
 そうした混乱の中、ペルシャはトルコ系突厥と組んでエフタルを滅ぼし、
 さらに、7世紀の初めには、ホスロー2世はビザンチンに宣戦布告し、
 聖地エルサレムから、イエスの「十字架」を持ち帰ります。
 大混乱の始まりです。 
 この中から、今のイスラムの創始者ムハンマドが、誕生しました。
 そして、ムハンマドの娘婿が、ペルシャに止めを刺したのです。
 その間、ずっと、ユダ族の人間、それも、もっとも歴史ある聖職者は、
 今のイラン領内にいたのです。
 今、 人類文明史のクライマックス が 近づいています。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。