『インフェルノ』の結末が、原作と映画では異なっている。それはなぜか?「静かな淘汰」の始まり

 おはようさん。

本欄の閲覧者から、メールでアドバイスが届きました。

ダンヴラウンの小説『インフェルノ』では、原作と映画では結末が異なる。この重大な意味を指摘してと。

 確かに、そうでした。

劇中の大富豪ソブリストの使命感は、「地球の人口を半減させることで、人類の滅亡を防ぐ」でした。

これに共鳴する若者が世界中にいた。それを監視するのが、WHOの責任者となった、エリザベス・シンスキーで、彼女はラングドン教授のかつての恋人。

ソブリストはWHOに追い込まれ、フィレンツェで自殺する。ここから始まった物語は、ペスト蔓延時代の恐怖(この象徴に、ダンテのマスクが使われる)を再現させながら、ソブリストの開発した「伝染病の基」がどこに隠されたか、謎解きが始まり、第4次十字軍の戦利品でできたベニスを経て、最後は、ラングドンとエリザベスの二人は、イスタンブールのアヤ・ソフィア寺院にたどり着きます。

 この宮殿の地下にある、古代の地下貯水池のなかに、それは、隠されていた。

重要なことは、この地下宮殿には、「メドゥーサを踏みつけている柱」があるのですが、 映画では、この柱を全く登場させなかった。 メドゥーサについては、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%82%B5 

 参考: アレキサンダーはメドゥーサを、守り神にしていたようです。
 地下で封印された、メデューサの首の謎

 

 映画では、二人は、この貯水池の中に「細菌」を発見し、それを閉じ込め、拡散を防いだ。しかし、原作では、そうなっていない。

 その細菌は、人類の生殖能力を奪って、人口の調整が始まる。 

さて、では、今の現実はどうでしょうか?

 企業広告に支えられたメディアが描き出す「美しい現実」、それを手に入れるための「カネ」への執着。その事態に対し、為政者の無能・無責任は、個々のイノチに襲いかかる悲劇に対しては、メディアが取り上げたもののみに対処を始めるが、それ以外は無頓着、であり、これは、故意に「静かな淘汰」を引き起こしています。

 これは、人類である私たちが、日々暮らしている、普段の生活の仕組みそのものが、政治的にも、刑法的にも、さらに道義的にも、この「静かな淘汰」を肯定したままである、ということです。

 「静かな淘汰」のなかでの「幸福」とは? 

凄い時代になりました。子供達に、どんな未来を語ればいいのでしょう。3年後、5年後、10年後、20年後。そのときのために、何を残しておくか? これは、今の大人達の責任です。

 映画で隠した「メドゥーサ」の真実。これは、ギルガメシュに殺されたフンババや、楢山節考に通じるものがあるのではないか。 

 となると、西欧知性=金融ワンワールドは、科学とイノチを、どうするのか? それを、どう、政治の場面で、反映させるのか? 天使の顔をして、ニコニコと人を殺していく、本当の悪魔か。

 そのための祭典が、2020の東京五輪なのか?  大いに議論しましょう。

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