ドル決済は、いつまで続くか?「スカ」が「実入り」に?

 先日、紹介したFEDの米ドル発行残高を見ると、ほんとうに今の米ドルは、何を裏づけ
にして存在しているのか、アメリカに実際の富が、それだけあるのか、大いに疑問です。
しかし、先週は、為替市場は、一気に93円台に入っています。
貿易決済として、どの通貨が使われるのか? これに対し、 18日の時点で、
日本の財務省の中尾国際局長が以下の様に答えています。
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 <ドル基軸が前提、米国の適切な経済・財政運営が重要=中尾財務省国際局長>
2010年 03月 18日 16:59 JST   [東京 18日 ロイター]
 財務省の中尾武彦国際局長は18日、都内で講演し、今後の基軸通貨体制について、ユーロ、
円、人民元の使用が、その周辺国・地域で拡大していくことはあるとしても、予見しうる将来に
これらの通貨がドルに並ぶような基軸通貨になるとは考えにくい と述べた。
 新たな準備通貨創設をめぐり議論が高まっている国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(S
DR)についても、「グローバルに基軸通貨のような役割を担うことは想定し難い」と指摘した。
 その上で「現実的に考えた場合には、現在のドルを基軸とする国際通貨システムを前提に、
その安定性を強化する努力を各国・地域が続けていくことが政策課題になる」とし、「まずは基軸
通貨国である米国の経済・財政運営が適切に行われることが重要」との認識を示した。
 金融危機の教訓について中尾局長は、主権国家の財政政策が金融および通貨の安定の支え
になるとの認識を示した。 最後の貸し手に中央銀行が存在するが、主権国家の保証が安定性
の源泉となり、税収が金融および通貨の最後の手段になるとした。
その上で、米国に関しては「追求すべき最も大事な政策は財政責任、健全な財政政策」と強調し、
準備通貨は国債を持ちたいか否かと関連してくる との見方を示した。
 
 基軸通貨としてはドルに次ぐ最有力候補とみられるユーロについて、中尾局長は「最も安全で
資産運用のベンチマークとなるべき国債に関し、ユーロ加盟各国の国債市場が分立しており、
市場の深みや流動性がドルと比較してはるかに薄いものになっているという問題がある」と指摘。
「今後周辺国や欧州と歴史的につながりの強い地域で使用が拡大していくことは考えられるにし
ても、ユーロがドルに比肩する国際基軸通貨となる可能性は当面考えにくい」との見解を示した。
 中国の著しい経済成長に伴い、国際的使用の拡大に向けた動きがみられる人民元の位置付け
についても、「中国の当局者自身が、人民元の貿易決済への使用は、危機の中でドルの流動性
不足が生じたのに対応し、貿易者にとって利便を図り、円滑な貿易を維持するために考えられた
措置であって、一般的に人民元の国際化を目指しているわけではないとの立場」を指摘。
 その上で、中国における資本勘定の自由化、その前提とする国内の金利自由化などの規制緩
和プロセスには、まだ相当に時間がかかるとの認識を示した。 
(ロイター日本語ニュース 武田晃子)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・転載終わり。
 以上を、どう考えましょうか?
 一言で言えば、まだ、米ドルに代わる通貨ができていない、ということでしょうが、
 だからといって、今、米ドル建て金融資産を多く持つことが、果たして、得なのかどうか?
 
 既に自分が持っている、ドル建て資産を保全するために、さらに買い入れるのか?
 はてまて、 リーマンショック後のドル債権でも、海外で十分に担保価値が保全された
 との、何か確証を得たからなのか?
 実体の伴わない通貨を、増やしたとき、通貨自体は、実体の富を求めます。
 また、土地価格が安く、人件費の低廉で、市場もまだまだ若い、アフリカ、中米、東欧に、
 こうしたドル資産が流れるのでしょうか?
 
 そうなれば、日本企業にとっては、製品を輸出する市場が拡大するという利点もあります。
これは、中国にも、アセアンにも、ブラジルにも歓迎されるでしょう。
 本来、国際通貨としての実質的な価値がなくても、それが発行されてしまった以上、
 役立てようという、G20などからの意向もあるのかもしれません。
 もしかしたら、アメリカが戦争をしない代わりに、スカにしかすぎない通貨を 生きゼニにする、
 という合意だったのかもしれません。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。