マルクスを超えた新世界に突入。

 サブプライム破綻後、人類世界は、新段階に入っているのですが、
これが、同時代に生きる普通の人間に自覚されるには、 二つのことが
必要です。
 一つは、 自分の毎日の暮らしぶりに明確な変化が現れ、その実感を持つ。
 もう一つが、その変化した現象に対し、変化を生んだ力の核を、きちんと理解する。
ここで、参考になるのは、 <マルクス理論> です。
 1859年に発行された『経済学批判』の序文で、 マルクスは、
 自身の 「唯物論的歴史観」 を一般的に 次のように説明しました。
  1 生産力の発展に対応する生産関係が 社会の土台である。
  2 この土台の上に法律的・政治的上部構造が立つ。
    土台が上部構造を制約する。
  3 生産力が発展すると 古い生産関係は桎梏(しっこく)に変わる。
    そこで社会革命が始まり、上部構造が変革される。
  4 生産関係の歴史的段階には、 
    アジア的、古代的、封建的、近代ブルジョア的  の各生産関係がある。
  5 近代ブルジョア的生産関係は最後の敵対的生産関係である。
    その終わりとともに人間社会の前史も終わる。
これが、一般に唯物史観の公式と呼ばれるようですが、
この中で、1 と 2 は、そのとおり。 ここに、マルクスの偉大さがあります。
で、 3の社会革命 ですが、
 人類世界は、マルクスの時代には、予見できなかった形で、進んでいます。
  情報技術の進歩による、圧倒的な生産力の拡大と、革新です。
  供給者(生産者)は、常に、需要を越える状態に遭遇し、、
  消費者のご機嫌を取らねばならなくなったのです。
       ・・・消費者庁の設置 が この典型です。
  
  しかも、 情報技術は、政策決定 に 関わる 仔細な情報まで
  放出し、 各個人の政治に対する批評を、投票行為 に 結びつけました。
  
  各個人が、統治に参加しているという自覚を 広めていたのです。
 4,5 の 敵対的生産関係は、 もうありません。
  すでに、それを超越した時限に入っています。
  
 20世紀末に、 地球環境問題を、全人類が認知したことで、
 すでに、下部構造の変化が 迫られ、 始まっていました。
  
 これから、それが、新たな、 統治の権力 を生みだします。
 民主党が、 CO2 25%削減 を言うのは、 地球人類社会で、
 新たな統治権力を、 握ろうとする現れです。
 「鉄は国家なり」、 「半導体が、国家なり」 なんて、 もう、昔。
 そこでの、チャンピオンが、石油と軍事力を握った、アメリカでした。
 これからの日本の変化は、 人類社会 を 一変させます。
 自民党は、解党しかないでしょう。 
 民主党は、 この本質を捉えているとはいえませんが、
 現場(下部構造)での、力関係の変化(桎梏)が、
 今の『風』の正体です。
 企業活動=雇用での生活保障 を超えた、 
 新しい生き方・社会のあり方の理論ができたとき、
 日本が、世界の中心になります。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。