テレビで、宮崎県知事と大阪府知事が、よく露出します。
彼らが、中心テーマにしているのは、カネです。
一つは、 中央直轄事業の地方分担金の撤廃。
もう一つは、 税金分配の 国と地方の比率(6:4)を、
地方に多く振り向ける(5:5)こと。
国がムダ使いしている。官僚の天下りがひどい。
これは、地方行政体の都道府県、市町村も同じで、
これの徹底排除は、 当たり前です。
ただ、ここまでの要求内容は、
今、日本という国に存在している カネ が、
これまでの行政システムと、それを熟知している役人たちによって、
いいように使われているのを、
「やめさせる」 といっているだけのことです。
問題は、 何をしたいのか、 どうありたいのか、です。
その実現のプロセスで、 何が、障害なのか、です。
まず、地方をどうしたいの? どういう姿が理想なのか?
ここに、明確なビジョンがあって、 それを、やれる権限を持つことが先です。
これまではその話題になると、すぐに、そのために、カネが必要だとなり、
そのカネがないから、「国からとる。取り戻す」という、発想で議論が終わっています。
地方の問題は、カネ以前に、 自立・自律する意志、の問題です。
なにより、 思想、そして、考え方・・・理性のあり方の問題です。
ここが、「お上は、どう考えているのですか?」
を、まず最初に考えてしまうのが、 これまでの日本人の悲しい習性で、
ここの突破が、絶対的に必要です。
「お上」なんか、いません。
ルールを作るのは、私たちです。
これまでの法律を変えるのも、私たちです。
ここのところを、徹底的に、理解・自覚しないと、
この国は、前に進みません。
(この点では、TV番組『水戸黄門』の弊害は、とてつもなく大きい。)
さらに、カネだけ(あるいは、雇用のみ)を意識に入れて、
「どこかに、うまくいっているものを まねればいい」 と考えていたら、
これも、アウトです。
これが、実は、明治以来の近代化の発想でした。
今、自分が生きている現場を、 美しく快適にする。
思いやりに溢れた人間関係の街にする。
それを、すぐに実行できる体制にする。
カネの問題は重要ですが、ここから入ると、肝心な問題が見えなくなります。
自分で、 発展計画を立て、
自分で、実際に行動を起こすときに、 制度上で
問題になっているものを、 すぐに撤廃する。
この制度上の問題点の搾り出しと、 法改正を、すぐに もとめること。
これが、 知事会の仕事でしょう。
中央のカネの、「分捕りあい」を、テーマにしている限り、
美しいビジョンは、生まれない。
地方議会が、すでに決められた中央からの資金を、
地方のどこに、向けるか、その分配だけを議論していては、意味がない。
カネ を先に考えるとき、 伸びやかな心は、 死んでいきます。
自分で、仲間たちと、作り上げる。
そのルールも自分たちで決める。
こうした手法は、 各地方のお祭りには、見られます。
本当の 政治 は、 まつりごと。 それは、また、聖事 です。
POLITICS は、本来、
丁寧で(Polite)、自分を磨く(Polish)こと から 始まります。
人間である自分が そこにいることで、
その現場が、どれだけ、美しく、生きてくるかですね。
自治体ごとに独自で、運営資金を確保したり、 あるいは、 基準を作ってもいい。
全国一律に、ハコ物を作るのをやめるのは当然ですが、
そこを、地上天国にするにはどうすればいいか。
山野や河川・港湾・道路、空き地の利用方法を、
本当に、自由に考えて、
そこに生きている人間が、 お気に入りになるように、
地方の責任で、どんどん、やることです。
自立・自律思想がないと、地方分権は意味なし。
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この記事を書いた人
新井信介
1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。