痛みの出る「膿だし」か、幻想の「2%成長」か?

1) 民主党と、自民党のマニフェストを比較してみましょう。
 民主党は、 
   官僚主導は、多くのムダを生み出しており、これを排除。 
   「膿だし」宣言です。
   
 自民党は、
   2%の成長を維持し、現体制の修正で、雇用を回復する。 
   これは、可能でしょうか?
 今、きちんと認識しないといけないのは、 
 サブプラ後の経済破綻では、  これまでの日本経済の発展を導いた、
 工業化システムを完全にストップさせただけでなく、
 その内面と、生存条件を 変容させていることです。
 特に、21世紀は、企業活動そのものが、完全グローバル化し、
 地球人67億人で、工業化段階に達している40億人が市場となっているのと同時に、
 生産者でもあるのです。
 生産・販売・物流・情報交換が、あらゆる地域・段階で、最適な状態を求めています。
 世界中の企業が、生存をかけて、地球中で、生産拠点や技術開発部門、さらに、管理
 部門などの本社機能(税金を納めるところ)をどこにするか、その最適地を探しています。
 ある地域が、コスト(人件費・税金・経費・手続きの煩雑さ)に見合った、生産性がない場合、
 企業は、 そこから、簡単に離れていきます。
 
 日本は今、人口が減り、企業のグローバル化が進み、その一方で、
 公的負担を求める、老齢者・母子家庭などが、増えていきます。
 こうした中で、 自民党の言う、 2%成長をどうやって、確保するのでしょうか?
 今回のマニフェストは、 自民党のものは、 まったく、 意味がありません。
 
 しかし、 一方、 民主党の方も、すぐに、限界が出ます。
 日本には、門閥と試験勉強の優劣で、ポストを得たあと、国からは、自分の役職に
 対する褒章として、多くのムダな資金をうけて、それを使うだけという人間がいました。
 グロスの数では少数者ですが、その「プライド」の高い人たちの消費や、公共事業など
 「官需」によって、 日本社会は、需要を引き起こした部分があります。
 
 天下りの禁止、独立行政法人のムダを省けば、その資金は、確かに、
 弱者への手当ての財源にも、なりますが、 これは、実は、社会全体としては、
 少なからぬ痛みを伴います。
 特に、 この「膿を出し」の期間中は、 日本社会には、 ほとんど全く、
 「成長」が見えてきません。
 
 しかし、今は、どんなに痛みを出しても、 完全情報公開をすすめることによって、
 この「膿だし」をしないと、 日本は再生できません。 覚悟しましょう。
 今は、 一時的にせよ、 民主党が政権を持つのが、歴史の必然 でしょう。
2)  その上で、「成長」のことを考えます。
 
 ソーラー発電やHV・電気自動車が、日本の産業界全体をリードすることも
 ないでしょう。 これらは、すぐに、海外での生産が始まります。
 工業生産面から、 社会全体の雇用を増やす意味で、唯一の希望は、
 先日、指摘しましたが、 地中熱を利用した、熱交換、ヒートポンプです。
 
 これを、国家計画にすることは、 日本の国際的地位の向上にもなります。
 これまで、日本の電力・石油業界が、徹底的に、邪魔をしてきた技術です。
 すべての道路の下、地下100Mのパイプを埋設し、それを既存の公共施設、工場、
 マンション、学校、戸建て住宅 などに完全供給する体制を、国策として進める。
 これは、大きな公共事業にもなります。
 しかし、それでも、2%成長が達成できるか、まだわかりませんが、
 十分な雇用対策にはなるでしょう。
 「成長」とは、 国民が、自分の人生を冷静に考えたうえで、
 喜んで、お金を使いたくなるものを、 みんなで、 生み出すことです。
 全国の住宅・施設と、それに関わるエネルギー収支を、すべて見直す、
 いい機会になりますので、 そのとき、個人と家庭、地域社会、そして 
 住民自治の関係や、 地域おこしのあり方が再考されます。
 もしかしたら、私たちは、 お金に縛られないで、安心して暮らせる、
 持続的なシステムを求めているのではないか、と気づきだし、
 多くの新しい生き方が生まれるでしょう。
 そこには、何か、売れるものを作ろうとする<モノつくり> を主体に
 考えているときには見えてこない、新しい気づきがあるでしょう。
 お金を中心に見たとき、今、現時点で、可処分所得でゆとりを持っているのは、
 40~50代の独身女性と、65歳以上の健康なお年寄りだけです。
 この人たちに、こんな暮らしを望んでいたんだと、 心から喜んで、
 納得して、財布を開かせる生活パターン・モデルを生み出せることができるかどうか。
 そして、そのために、20~30代の若者が、進んで汗をかく仕組みを作れるかどうか。
 私が、考えているのは、ここです。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。