アベノミクスで雇用が増えた?内実はどうなの?若者減る一方、定年後も必死で働いている。

こんな書き込みが。
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かにちゃんと世界線から。

「アベノミクスによる景気回復で5年間に就業者数は250万人増えた」

増えた250万人の6分の5に当たる211万人は65歳以上
「若者の雇用が増えた」

39歳以下の就業者は116万人減
なにこれ。詐欺じゃん。
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本記事は、毎日新聞 <時代の風>
時代の風
「森友学園」国会審議 土俵の外から俯瞰せよ = 藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員
毎日新聞2018年3月25日 東京朝刊
 国会で再び燃え盛る、森友学園問題の火。一部の与党議員や評論家が繰り返す
「首相は知らなかったし、指示も出していないので、責任はない」という議論のおかしさを、改めて指摘しておきたい。
【首相、麻生氏、佐川氏】国有地売却を巡る各氏の発言
<「総理夫妻の名は本省マター」近財OB明かす>
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<浜田元防衛相が総理に苦言>「口は災いの元」
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<意図的に変な答弁では?>これに太田氏が気色ばんで反論
 行政府の長でありながら、自分の配偶者の名前を振りかざす怪しげな相手と行政機関の取引について知らなかったというのは、知っていた以上に責任を問われる問題である。「部下の不正行為はトップの責任」「情報が上がってこないトップは監督者として怠慢」というのが、世界に共通する常識だ。「悪いのは勝手にそんたくした部下だ」と唱えるほど、「そんな部下にやめろと指示を出すことこそトップの仕事」と世界は思うわけで、政権の開き直りは日本の国家ブランドをどんどん毀損(きそん)している。
 「野党など消えろ」「反政府の新聞はつぶせ」と唱えてきた一部論者にも問いたい。日本がもしオール与党の議会で、政権に異を唱えるマスコミも存在しない国になっていたら、この問題は闇に葬られていた。官僚組織の内部規律は更に崩壊の一途をたどっただろうが、それでいいのか。戦前の大本営よろしく、都合の悪い情報がトップに上がらない体制の下で、適切に外国に対峙(たいじ)できるとお考えか。挙国一致はむしろ国を弱くする。反対勢力がいてこそ社会は健全化するというのが民主主義の基本原理であり、全員一致の大政翼賛がお好きな方々は、民主主義ではない他国に移民でもされてはどうだろうか。
 とはいえ筆者は、国会での議論の偏りにもあきれている。「知らなかった」「知らなかったはずはない」の応酬をいつまで続けるのか。「仮に知らなかったのであれば、むしろそちらの方が問題だ」という俯瞰(ふかん)した視点から指摘する声がなぜ出ないのだろう。持久消耗戦の覚悟を固めた政権側の仕掛けに乗って、永遠の水掛け論に終わるポイントに誘い込まれてしまっているのではないか。
 土俵自体がゆがめられて設定された結果、議論が政局の範囲内に矮小(わいしょう)化されてしまう例は、これに限らない。辺野古問題でいえば、前回本欄で指摘したとおり「津波危険地帯の辺野古海岸に海上滑走路を設けるのは良くない」という論点がすっぽり抜け落ちている。青森県大間町の原発建設に関する議論でも、予定地は外国船舶が自由に通航できる津軽海峡に突き出しており、万が一テロリストが不審船から攻撃すればひとたまりもないのだが、関係者はどう考えているのか。これらは国防論議に熱心な「保守」の政治家にこそ直視してほしい問題である。
 「アベノミクスによる景気回復で、5年間に就業者数は250万人増えた」「いや増えたのは主に非正規雇用だ」という応酬も、年齢を見ていない点でピントがボケている。総務省の労働力調査で、野田内閣当時の2012年と17年の平均を比較すると、増えた250万人(正規・非正規合計)の、6分の5に当たる211万人は65歳以上だ。残り40万人が64歳以下の就業者の増加だが、性別では女性が109万人増で、男性は70万人減となっている(四捨五入の関係で端数が一致しない)。景気回復で雇用増というのであれば、64歳以下の男性の雇用も増えているのが筋ではないだろうか。また「若者の雇用増」というイメージに反して、39歳以下の就業者も116万人減っている。
 これらは別に政権が悪いのではない。日本では64歳以下の人口、特に39歳以下の人口が減っているので、上記のような流れは景気に無関係に止めようがないのである。そんな中でも「1億総活躍」の掛け声の下、出産で退職した女性の再雇用と高齢者の延長雇用が進んだ点は、素直に政権を評価すべきだ。さりとて就業者の増加の中身が圧倒的に高齢者である以上、非正規雇用が多いのは当然で、個人消費を増やす効果も乏しい。年代別人口の増減の影響を無視して設けられた既存マクロ経済学の土俵設定の外側から俯瞰せねば、事実は見えないのである。
 土俵の外に出て事実を俯瞰する能力。これは、入試の出題傾向や学会での慣例といった狭い枠の呪縛を脱して、真の学びを深める能力と共通する。お受験に背を向け自分の頭で考える習慣を身に着けた若者が、これから一人でも増えていくことに、筆者はそれでも希望を持っている。=毎週日曜日に掲載

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。