信長がひれ伏した美濃の「神」。近くに、両面宿儺(すくな)。

すこし、書き込みが遅れました。 
 前回の書き込みをしたのは、先週の金曜日、名古屋のホテル滞在中の明け方でした。
 それから、私の身の回りで、多くの出来事がありました。 
 土曜日のジャパネスク研究会が開かれる12日の昼までのことです。
 
 2月11日、この日は紀元節です。
京都の講演会の前日、私は、朝、雪の降る中、国宝の犬山城に行き、
そして、午後には、木曽川の対岸にある、各務原(かがみはら)市に向いました。
ここでの目的は、あの織田信長が、畏れ敬いひれ伏した、手力雄神社にいくことでした。
これは、テヂカラオオ 神社と 読みます。 http://jin.eek.jp/
ここのご祭神は、高天原の天岩戸を投げ飛ばしたアメノタヂカラノオと同じとされますが、
ここでは、テヂカラオオと呼びます。
日本神話では、宮崎県=日向にある高天原でスサノオが大暴れしたために、アマテラスが怒って
岩戸に隠れてしまったので真っ暗闇になります。困り果て、神集(カミツドイ)して方策を考え、
アメノウズメのストリップダンスで笑いを誘ったところ、その様子を覗き見ようとアマテラスが
ほんの少し岩戸を開けた隙に、鏡でその自分の姿を映して怯ませて、このタヂカラノオが岩戸を
投げ飛ばします。
このとき、投飛ばされた岩戸が落ちた先が、長野県北部の戸隠山とされているのですが、
この位置関係からすると、岐阜県南部、美濃にある岩戸開きの神様は、どうしても不自然です。
しかも、この神社は、織田信長が織田家の家督をついで「天下布武」を決意し、稲葉城攻略に
のりだしたときに登場します。既存の伝統権力(鎌足以来のもの。特に仏教勢力)を否定し、新た
に権威を作り上げようと、各地を焼き討ちに入りますが、美濃のこの地で全く体が動かなくなり、
恐れ慄いた場所です。信長はこの神威にひれ伏し、以後、厚く崇拝しその加護をもとめたのです。
 この神社には、本殿の梁に、二匹の雌雄の龍が絡んでいる見事な彫り物がありました。
凄まじい大地のパワーのあるところです。 
日本史の中で、きわめて重要な「何か」が、この美濃から始まっている。これは、間違いない。
こう確信したあと、私をこの地に案内してくれた方は、日本書紀の仁徳天皇の条に出てくる
「両面宿儺(すくな)」と関係する高沢観音、正式名「大日山日龍峰寺」に連れて行きました。
これは、関市にあります。 今では、真言宗の寺で、美濃西国三十三番札所の第一番目です。
 http://www8.ocn.ne.jp/~takasawa/
ここの伝承では、ここは、なんと、仁徳天皇の勅願寺だというのです。これは、驚きました。
私たちが通常理解する「仏教伝来」は欽明天皇の時代、538年ですが、仁徳の生存時代は、
それよりも、120年以上前の4世紀末から5世紀の前半です。
 この寺では、十一面観音が信仰の対象になっていますが、なんといっても、不思議なのは、
両面宿儺(すくな)の伝説です。
地元の豪族だった両面宿儺が、この土地の村人たちを苦しめていた竜神を退治し、寺を開設した
といいますが、日本書紀ではこの人物は「一つの体に頭が二つ、手足が4本」と出ているのです。
 そもそも、仁徳とは、なにものか? オオサザキ と呼ばれていた人物です。
大阪の高津宮は、仁徳の行政庁跡です。陵墓とされる堺市の大山陵古墳は世界最大の規模です。
また、京都府宇治市には、国宝で世界遺産の宇治上神社があり、ここの祭神は、応神、ウジノワキ、
そして、仁徳です。
高沢不動(日龍峰寺)も、なにか、テヂカラオオと関連するに違いない、とずっと考えている時、
私はあるところに連れて行かれ、前日会ったシャーマンと再会しました。
そこで、私が見えたものは、ミッシング・リングを繋げる、素敵な物語でした。
BC4世紀の出雲から、AD7世紀の伊勢アマテラスまで、見事に繋がりました。
これは、またの機会に。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。