1) 横浜APEC。・・・ 不問にされていく「尖閣ビデオ」。
この前の水曜日、アメリカのFRBが、6000億ドルの米国債を金融機関から買い
入れました。これは、日本円で約48兆円を無償で市場に入れたようなものです。
今、アメリカの金融機関がもっている、いろいろな金融債権が、実際に金融市場で
売りに出されたとき、一体、誰が、引き受けるのでしょうか?
リーマンショック以来、ほとんど引き受け手もいない中、 その価値は、ゼロに近い
ものもあったでしょう。 ここに、アメリカドルを発行する中央銀行が、その「ジャンク」を
簿価で買うという、事態が出現したのです。
どの債権も、実勢価格で、どれだけディバリューしているか、全く分からないもの。
それを簿価で引き取ってもらって、新鮮なドル資金を手にすることができるのは、
FRBと本当に親しい、ごく一部の金融機関ですが、手にした資金で、早速、投機で
短期的に儲けようと動き出しました。
それが、一時的な短期利益を求め、ゴールド、オイル、さらに、中国などの株式市場、
さらに、不動産担保の多くの金融商品に流れます。
中央銀行が、ジャンクを引き受けるのは、本来、禁じ手 そのものです。
これでは、資本主義の前提が壊れていきます。
2) まだまだ、空いたままになっている、世界経済の「大きな穴」。
リーマンショック後、世界には少なくとも2京円、場合によっては、2京ドルの「穴」が、
空いている(欠損が出ている)との指摘があります。 この穴を塞ぎつつ、世界経済の
フラット化が進んでいます。
しかも、この大きな穴が空いているのは、アメリカと欧州が中心です。
「円高」に対し、協調介入する余裕がない、根本的理由は、ここにあります。
で、こうして、この穴を塞いでいるうちに、世界全体を経済発展させるには、まだまだ、
コストの安い地域に、資本と企業を移し、新規の成長市場を作るしかない。
アセアン、中国、インド、中南米、東欧、アフリカに、上手に資金を入れて成長させ
ながら、この穴の陥没現象が起きないように、連携しないといけない。
つまり、尖閣の衝突は、アメリカの「911」と同じ次元の問題だった可能性があります。
あの「911」の時は、旅客機が突っ込んだWTC(国際貿易センタービル)には、
アメリカ国債の70%を扱っていたフィッツジェラルドが入っていて、 しかも、 一方で
その債権そのものが大問題で、9月末には30年もの国債の元本償還期が控えていた。
アメリカ財政健全化には、もう、これ以上の債権の発行は無理だという国際認識の中で、
実際に元本が償還すれば資金ショートで国内経済がダメ。それを償還しないときには、
国家的デフォルトで、政治的な大失態のみならず、ドルが暴落し、国家の信頼とともに、
米ドルで回る世界経済が、壊れる寸前でした。
結局、あの事件では、満期のものは新規に発行される米国債に、自動的にどんどん
ロールオーバーされ、ドル体制は継続されました。
そして、「貧困こそテロの温床」の合言葉で、中国を中心に、途上国に大量の資金が
流れだします。
そしてアメリカ国内では、サブプライムローンが急速に組み込まれました。 これは、
日本の住宅販売で組まれた「ゆとりローン」を参考にして、 最初の5年間はごく低額の
返済で、6年目から高額返済となるローンで、どんどん、低所得者に高額な住宅物件が
販売され、その債権が、世界中にばらまかれたのです。
このときに中国が急速に工業化し、アメリカ向けを中心に輸出が加速。住宅建設資材
や家具、家電、オモチャ、その他の供給国として急成長します。
もちろん、中国の国内市場も急拡大。
その中国の姿を「資源爆食」と、欧米のマスコミが書きたて、原油価格が、30ドルから
147ドルまで急上昇し、これがまた、世界中の金融商品を膨らませた。
それが、2007年に入ると、ローンの6年目に入ったものから破綻が出始め、最初は、
ごまかしたが、北京オリンピック後に全面破綻。 リーマンショック となった。
それから2年。
今年、アメリカは、自国の政治的プレゼンスと、国内経済を回復させる(少なくとも、
これ以上は悪化させない)ために、 まあ、本当に、多く画策してきました。
3) その中での、 「尖閣列島」。
1971年末から、中国は自国領と言い出しましたが、そのきっかけは、まだ、沖縄を
統治していたアメリカのキッシンジャー国務長官がこの年の7月に、北京に秘密に入り
込んだときです。 この10月末に北京政府は、台湾の中華民国に代わって、国連で
の代表権を得ました。
つまり、このとき、キッシンジャーは、日中間に、将来、アメリカの飯の種になる係争地を、
あえて設けていたのです。 それが、尖閣諸島。
そして、今年、9月18日(この日は、満州事変の勃発の日)にあわせ、中国海軍が、
偽装漁船を3000隻浮かべて、ここを実質的に乗っ取る計画が徐々に練られていくと、
それを承知して放置します。 実際に、中国がそれに取り掛かる寸前の9月7日に、
日本の海上保安庁が不審船を拿捕した。
この日中の衝突の結果、
アメリカは、アセアンと日本、さらに、インドを繋ぎ合わせる糸のような立場を掴み取り、
さらにFRBの、このとんでも処理まで、強引にできる環境(水面下の合意)を作り出した。
こう考える納得する。
なんか、今の民党政権。
自らの政権運営が、世界の現実に逢ってボロボロだったと知って、開き直り、
さらに、どんなに自分の能力が、底が知れていても、見え見えの強弁の連続ばかり。
しかし、それでも、自分たちは、今、それを、しなければならない、と自覚させる、
「世界の管理者」からの意向が、そこにあるのでしょう。
で、その反対に、私たちは、 自らの内に、単純な怒りや不満の次元を超えて、
自分の未来については、自分が作り出すしかない、との自覚が生まれます。
そこを見れば、民主党、なかでも、菅政権は、
<砥石> なのでしょう。
どんどん、自分の身を削っていくばかりですが、
一方私たちは、 国家の本質、そして、主権者としての自覚に目覚めていきます。
「尖閣」の真相は、10年前の「911」の真相 と同じ扱いに、 政治的には、
なっていくのでしょう。
4) さて、ここで お知らせ。
今週末、名古屋で、クローズドの集まりがあります。
その直前、20日(土)の午前10時~12時まで、時間が取れそうです。
名古屋地区で、新井史観、新井ワールドに興味にある方は、是非、ご一報ください。
いろいろ、話しましょう。
特に、これから2年後には、この「穴」を本格的に隠す(消す)ための措置と引き換えに、
ある「新しい動き」が、発動される(誕生する)ことになる はずですから。
その先に、2013年、 日本の伊勢神宮の「式年遷宮」がまっています。
友人の坂野さんと一緒に、若い人向けてメッセージを出したいと思っています。
希望者は、 arai@mediacapsule.co.jp まで。
新井信介
強引な「手打ち」。アメリカは日中衝突で目先延命の「果実」を得た。
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この記事を書いた人
新井信介
1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。