政府に土地を買わせるのではなく、自分で活用を考える。志と構想力が試される。

 こんにちは。
(土地の持つ意味の変化)
今日のお話は、日本経済にとっての「土地」の持つ意味が、これから激変すること です。
今後、日本にどんな政権ができようとも、土地を 高額で、買ってくれることはなくなります。
こう観念して、近隣の地権者たちを誘って、志のある人間とともに、今、この日本に必要な、
公共性のある事業を、 自分が主体者になって、推進する意志を明確にすること。
 これが、求められています。
  
 簡単に、言えば、今後は、PFI が主流に なっていきます。
 
(土地の資産価値の下落)
ギリシャ発の連鎖株安 で、これから、先進国の土地の資産価値の崩壊が始まります。
最後の砦となっている、中国でも、人民元での土地の資産価値も、今後、見込まれる
人民元の「切り上げ」を切っ掛けに、インチキ膨らましシステムが、 が崩壊します。
 その結果、早ければ、この夏、遅くも来年中には、中国経済はとんでもない調整に入り、
いずれ、中国が保有する米国債の売却を引き起こし、アメリカ経済を崩壊させていきます。
 こうした事態が、完全に視野に入っているとき、 私に事情通からコンタクトがありました。
 いわく、
 「塩漬けになっている土地があったら、なるべく広い土地を、まとめておいたほうがいい」
 「もはや、国が高額で買い取ることはないが、公共性のある事業をする場合には、
  応援する仕組みが できるから」 と。
 それは、単純にいえば、 PFI の積極活用です。
 で、その背景の事情をさぐると、 
 どうも、戦後の国つくりの発展パターンを 完全に変えること が決まったようです。
 (戦後の発展パターンの終わり)
 戦後は、国家(これは政府ではなく、その「奥の院」)が基幹産業を育て、さらに国家を
 富ませることを目的に輸出を奨励し、そのために新製品の開発、販売のために、
 金融面での特別な信用枠を、一部上場企業のトップ個人に、密かに持たせてきました。
 上場企業の経営者トップ個人にその信用枠があったので、松下など、大手企業に対し、
 日本の各銀行は安心して融資したので、計画通りに工場用地を取得し、順調な設備投資
 ができました。 
 土地を買い、工場を建て、生産設備を導入し、人材を、雇う。 そして、製品を造り輸出する。
 
 その上場企業が生産した製品が、万が一、売れなくて、銀行側が貸し込んだ融資金の
 回収が不可能な事態となっても、その経営者個人の名義の信用枠の資金で欠損処理し、
 穴埋めができました。
 これが、戦後の日本経済、なかでも、物つくりの安全装置であり、金融面から見た、
 経済発展の秘密でした。  
 しかし、それが、秘密に行われたがゆえに、多くのブローカーの暗躍が始まりました。
 また、平成時代に成ってからは、一部上場企業のトップはどこも、サラリーマン上がりで、
 経営に対しては、きわめて慎重に成ったために、 こうした「話」は、消えていきました。
 一方、戦後の日本は、 国家事業と称して、ダム建設、道路整備、港湾整備、空港整備、
 新幹線、などなど、多くの公共事業が、 進められました。
 今、見直しです。
(どの方向に見直すのか?)
 一番の問題。
 農地開放によって、新たに土地の所有権を得た地権者たちが、自分が手にした土地の
 上で、政府が何かの事業をするなら、なんとか 高く売りつけようと、みんなが必死になって
 いったことです。
 そのときの公共事業は、地権者にとっては、次第に、その事業内容の是非よりも、
 ただ単に、大金を手にする道具、一攫千金を手にするチャンスとなっていきました。
 特に、地方の農村では、その傾向が強まりました。
 農業自体が、苦労が多く、儲からない。 保証金も少ない。
 しかし、農地を持っていれば、いつかは、政府によって、高く買ってもらえる。
 これは、都市部の地権者も同じです。  再開発で、駅ができれば、地代が上がる。
 そのときが、チャンスだ。
 こうやって、昭和の後半から平成になっても、 「お上」が、何か事業をするのなら、
 何とかして、なんでもいいから、自分の選挙区に引っ張ってきて、自分の(あるいは、知人の)
 土地を、政府(国、県、市町村)に 高く買わせる。
 こう考える人間が、「大物」といわれるようになっていきました。
 しかし、彼らこそ、日本の国土と、日本人の精神を汚し、国家財政を悪化させたのです。
 その主流が、そのやり方を選挙民に教えて、自分自身も儲けていた 自民党の政治家と
 その支援者たちでした。
 特に、田中角栄は、まさに、その代表格でした。
 しかし、今、  日本政府は、 
 >>  40兆円の税収で、 100兆円の国家予算 
 
 を立てなければ成らない状態に 追い込まれています。
 そのとき、 「コンクリートから人へ」 は、 理念として、正解です。
 今回、ギリシャの財政破綻は、共通通貨ユーロを 破壊・消滅に導きかねません。
 ギリシャの人口は日本10分の一ですが、5人に一人が公務員という、とんでもない国でした。
 一方、戦後の日本は、公務員を優遇するために、財投や、特別会計の仕組みを造りました。
 そのとき、多くの<公共事業>が、政治家と官僚によって、次々と作り出されていきました。
 そして、多くのハコモノが地方に造られ、それ同時に、天下りのポストが用意されました。
 
 しかし、これらは国家は永遠に破綻しないという信仰に立った、国家予算の無制限な
 肥大システムであり、この誤りに気づいた国民が、昨年夏に民主党政権を誕生させ、今、
 遅まきながらその解体作業に入り出したところです。
(問題は、発展戦略です。)
 国内で、なにかをするとき、一番の大きな問題は、その事業用地の確保でした。
 しかし、土地の地権者にすれば重要なのは、事業の収益性や事業内容でなく、
 銀行が設定した 担保価値に基づいて、価格がつりあがてくれることでした。
 一方、政府のほうは、土地価格が上がっても、 一旦国家事業として決めた以上は、
 どんなことがあっても遂行すると、官僚達が意気込んで、国家予算を取ってきたのです。
 これをいいことに、地権者たちは、わざと、その事業に反対し、本音では、どんどん、
 自分の土地の価格を吊り上げることに、執着して来ました。
 しかし、今、サブプラのリーマンショック後、これが、完全にできなくなります。 
 無意味に成ります。 
 今後、試されるのは、権利として与えられている、その土地で、どんな事業をしたいのか?
 そこに、公共性はあるのか?  という、社会的な正当性と、ニーズです。
 今、国家中枢(政府ではない)は、これまでのやり方を完全に変える大方針を出したようです。
 日本全国には、まともに使われていない土地がたくさんありますが、 それらに対し、
 未来に責任をもつ志のあるビジョンに裏打ちされた具体的事業が示され、
 そこにまとまった形で提供されるのなら、
 償還期間の長い国家の資金を用意してもいいのではないか、というものです。
 それは、あくまでも、民間が主導する、公共性のあるプロジェクト となります。
 その時、 必要なのは、
 ① 事業構想
 ② 土地地権者全員の合意
 ③ 地元自治体首長(知事、市長、など)の 賛同。
 私達には、今、 自分の住む町 や ふるさと を、今後、どうするか、
 を、みんなで考えてビジョンを出し、主体的に事業化する意志をかためたとき、
 それを、実現する道が開け出している、ということです。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。