日中の新時代。経済が順調でないと本音は話せない。

昨年12月の小沢訪中団、習近平副主席の訪日につづいて、
経済界は、日中新時代を切り開こうとしています。
もちろん、昨年から始まった『日本に学べ』運動中の中国では、
さらに日本に関心が高まります。
日経ネットの記事から、二つを紹介します。
(2/8)中国首相「日中関係の基礎は国民」 国民感情改善に意欲
 【北京=佐藤賢】中国の温家宝首相は8日、日中の有識者でつくる「新日中友好21世紀委員会」の新メンバーと会談し「中日関係の基礎は国民にある」と述べ、国民感情の改善に強い意欲を示した。特にメディアを通じて青少年の感情を好転させたい考えを強調した。「中日関係はアジアや地球規模の視点から見つめるべきだ」とも語った。
 約1時間の会談は日中のメディアにすべて公開された。極めて異例で、日中関係改善を進めたい温首相の意向を鮮明にした。
(2/8)新日中友好委、北京で初会合
 日中の有識者でつくる「新日中友好21世紀委員会」の新メンバーによる初会合が7日、北京の釣魚台迎賓館で開幕した。戦略的互恵関係の具体化や両国の国民感情改善に向けた方策を話し合う。中国側座長の唐家セン・前国務委員は「相互信頼を深めて敏感な問題を適切に処理する必要がある」と指摘。日本側座長の西室泰三東京証券取引所グループ会長は「世界の中の日本と中国の関係を議論する必要がある」と強調した。(中国総局)
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昨年の積極的な消費奨励策で、金融がジャボジャボになった中国。
しかも、政府としては、税収は91兆円で、まだまだ、十分に余力があります。
リーマンショックで主としてアメリカ向け輸出がストップしたので、G20の要請もあって、
緊急的に国内インフラ整備と農村部の消費支援に財政出動したのですが、多くの資金が
マンションなど住宅建設に向かいました。
この状態のまま、再び、輸出が拡大しだしたら、国内には、巨大なインフレが襲うでしょう。
で、一方、アメリカは、日本の協力を得て、輸出拡大によって雇用を増やそうとしますから、
中国に対しては、人民元の切り上げを求めます。これまで、中国側は切り上げをかたくなに
拒んできましたが、今回は、自国経済のインフレ阻止のために、応じることになります。
となると、人民元が強くなりますので、「中国」の購買力が、今年の後半は、強まります。
これは、脅威ではありますが、私たち日本人には、チャンスでもあります。
中国は、国家レベルで、資源を押さえ、外国企業を買う、海外投資を加速する。
そして、個人レベルでは、高額の輸入製品を買い、海外旅行が増えるでしょう。
万博を見終わったら、日本にも、たくさんの買い付け団が来るはずです。
よって、心配される、上海万博後のバブル崩壊も、大した影響はないでしょう。
それよりも、経済環境がよくなりますから、中国政府は自信を持って、政治的にも、
自由な発言を促し、環境問題や地方行政の汚点・汚職をどんどん告発させていくでしょう。
国内だけでなく、 対外的にも、多くのタブーが、解禁されていくことになるでしょう。
そして、日本との間で、 「この前の戦争」に関する議論が、活発化するでしょう。
川島芳子や梅屋庄吉などが、今、中国の知識人では関心が高いのです。
日本との間で進む、「この前の戦争」に関する議論は、実は、政治的に、もう一つ別の
効用をもちます。それは、台湾と政治的な融合を、さらに促進する作用となっていきます。
まさに、「梅の花」が、咲き出します。
しかし、戦後についての議論では、文化大革命までは、いいとして、
今の共産党政権は、天安門事件についての議論は、まだ、嫌がるでしょう。
ただ、私たち日本人としては、1989年の天安門事件については、あの事件のあと、
中国が国際環境で完全に四面楚歌になったとき、 密かにシンガポールなどの華僑客家
ネットワークが支援に回ったのに続いて、1992年のわが日本国の天皇の訪中によって、
中国が国際的孤立を脱却した事実を、是非、指摘しておきましょう。
そのときの訪中では、平成天皇は、北京では、明の十三陵はいきませんでしたが、
西安の兵馬俑を参観しています。 
中国での文明の発生は、 4000年前の夏(河南省鄭州の二里頭)からですが、
今の皇帝システムは、BC221に統一を成し遂げた、秦の始皇帝からです。
ここと、日本の天皇家がどう関係するのでしょうか? 
天皇が、自らを「朕(チン)」と呼ぶ慣わしは、始皇帝が作ったものを踏襲しています。
それよりも、日本で、皇祖神アマテラスが伊勢に祀られたとき、中国では、始皇帝から
続く皇帝システムの唐が否定され、国名が「周」だったことも、知っておきましょう。
690年当時、日本では、持統(ウノノササラ)。中国では、則天武后が史上初めて、
女性の皇帝になっていたときです。
水戸黄門さんの本名、徳川光圀の「圀」の字は、この則天武后が作った文字でしたね。
こんな話も、どんどん、日中間でしていきたいと思います。
その先に、梅の花でなく、 桃の花が咲くことになります。
今は、李(すもも)が、アジアの花を咲かしています。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。