国家予算と民間資金が、今、的外れ。

 日本の全部の産業が、今、グローバル化の渦に入っています。
 これは、 民間側の、二つの大きな景気刺激要素が、
 完全に、 海外に向いている実態になります。
 1つは、 企業の設備投資。
  
   これが海外での生産事業に向かいます。
 2つ目が、  民間の貯金からの株式や債券への投資です。
  これが、今、日本から離れています。
  日本企業に魅力がない、 日本の株式市場に成長が見込めない
  として、 
  中国、インド、ブラジル、ベトナム などの海外市場に資金が流れています。
  主に、資金に余裕のあるお年寄りのお金です。
  普段は、 日本の将来を憂い、毎日、節約して蓄えたお金を、
  日本の株式を買わずに、海外に、流しているのです。
 
 以上の二つを、 まとめて言えば、
 
  成長促進ための民間資金が、 どんどん、日本列島から、
 抜け出しているのです。
 今、日本の不動産市場も、人口減と、住宅の造りすぎで、供給過剰の
 値崩れ が始まっています。
 こうした中で、
 公的負担(国や自治体からの資金)を求める、弱者、高齢者の比率が、
 急速に高まっています。
 さらに、 最低賃金を、自給1000円にする、となると、
 新たに、事業を起こそうとする人間の数も、減っていきます。
 元気のいい人間、 言葉ができ、何らかの技ができる人間は、
 海外に、出て行きます。 海外も それを求めます。
 私の友人で、 果樹栽培の職人がいます。
 しかし、今、その人は、自分の畑での栽培を止めています。
 日本では、 経費倒れ、採算割れになるので、作らない、といいます。
 
 でも、たまに電話すると、とても元気です。
 シルバーボランティアがきっかけで、中国の農村にリンゴやサクランボなどの、
 栽培支援に行き、そこで、品種改良や高付加価値化を指導しているのです。
 こちらは、どの地方にいっても、 大先生の扱いで、金銭での見返りは
 ありませんが、現地で大きな手ごたえとともに、 活動中は、職住で
 十分な待遇を受けています。
 損の出る日本でやるより、 感謝されて、美味しいものを食べさせてくれる
 中国 にいるほうが楽しい、といいます。
 これは本音です。
 さて、こうした事態が進行する日本で、どう、国家予算を使ったらいいのでしょう。
 これは、 日本の歴史上、初めての事態でしょう。
 
 他人に使われること、つまり、雇用されることに、慣れている人間 
 を前提にしたとき、 解決策は生まれません。
 公共事業での失業対策は、 波及効果が乏しく、限界があります。
 蓄えを持っているお年寄りが、お金を出したくなる事業、
 若者が、わくわくして、進んで汗をかきたくなる事業、
 そこから、うまれる商品や、人の移動で、経済効果が出る事業
 を考えなければなりません。
 それは、ニーズに応えた 『ものつくり』から生まれるのではなく、
 生きている人間の『感動つくり』 から、出てて来ます。
 以前、紹介した、  《歌声喫茶》 や 《歴女ブーム》 は、 その一端です。
 空間ごと、感動の舞台、を創れるかどうか、  ここがすべてです。
>> で、そのとき、  <絶対的な真理> があります。
 それは、 感動をしたことない人間に、 人を感動させることができないのです。
 美味しいもの を食べたことがない人間に、美味しいもの を作れないように、
 生きている毎日を、 感動したことない人間に、感動する世界を作れません。
 「金くれ虫」の人間では、 他人が感動する、未来を作れないのです。
 自分が出会った人と、どんどん、
 感動の場、感動の時間、感動のつながり、  を創って行ける人。
 そうした人が、一緒になって、未来に向けて、
 まず、一歩を動き出さないと、 何も、生まれません。
 今、 日本人は、 自分のために、
 本物の、 <未来創造者> になるしかない ところに
 追い込まれました。
 これは、チャンスです。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。