「一国の安全保障を一地方選挙に委ねてはならない」って?

 沖縄の普天間基地問題。
本来、普天間のグアム移転は、もう決まっていたのに、今、アメリカ側は、
その移転費用を、なんとか、日本側に全額負担させようとして、画策しています。
 そうした思惑とは別に、今、鳩山政権に、社民党が入っているのは、
基地移転を、世論を動員して、進めるためでしょう。
すでに、名護市に対しては、アメリカ側から、移転のロードマップが出ていました。
 しかし、それに対し、基地があることで、利益を得ていた、外務省、防衛族が、
この期に及んで、騒ぎます。
 特に、来年に控える名護市長選挙で、この基地移転問題が問われ、
その結果を観て、国が判断することになりかねない、現在の情勢について、
自民党の防衛オタクの、石破茂は、今朝のテレビ(フジ系)で、こういいました。
「一国の安全保障を、一地方選挙に委ねてはならない」
 これは、一見、正論ですが、 なんとまあ、大げさな。
 今の、事態、国際関係の変化を、まるで、視野に入れていません。
 
 沖縄基地の戦略的価値が、ソ連が、アフガン侵攻した30年前とは、
 まったく違っているのです。
 まして、21世紀に入って、中国経済が完全に世界経済に組み込まれ、さらに、
 サブプラ後の経済破綻を回避する、救世主的な役割を担いだしている現状にあって、
 アメリカにとっても中国が経済の生命線(外貨準備)を握っています。
 しかも、その中国は、日本との経済一体化の方向に進んでいます。
 沖縄の米軍基地自体の使命は、 これまでとは変わり、ここから、東南アジアや
 中東方面への、緊急出動の派兵基地という役割が、主になっているのです。
 東アジアの国境紛争などは、当事者間で、どんどん話し合いが進められるのです。
現実の脅威の存在や、その質について、どんどん変化しているのに、
それを、まるで、考慮せず、これまでどおりの予算を使いたい、防衛族の本音です。
東アジアの、安全保障は、アメリカの論理だけで決まるものでもないし、
そのアメリカ自身、 中国や北朝鮮の位置づけが、変わっているのです。
こうした、戦略眼も持たずに、防衛を協議していられたのも、 日米安保の中で、
アメリカが作り出していた、<仮想の危機>に酔いしれていられたからです。
自民党が、消えていく理由も、ここに存在します。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。