「2012」の追記。 「乗船券をクジで決めれば」って。

 映画「2012」について、追記します。
 アメリカ大統領は、この映画の中で、自分自身は、ワシントンに残ります。
 そして、自分の娘が「船」に乗り込んだことを確認して、真実を告げます。
 そのとき、
 「この乗船券を、クジにすればよかった。そうすれば、全世界の人間に
  平等な機会が与えられたのに」 と。
 一方、この船に、大統領の代わりのチケットで乗り込んだ、主人公の
 科学者は、その客室の装備の豪華さに、嘆きます。
 そして、計画の責任者に迫ります。
 「もっと多くの人が乗せられたはずだ。
  だいたい、100億ユーロなんて、ばかげている」と。
 しかし、その責任者は、反論します。
 「この船の建造には、莫大な資金が、かかったのだ」と。
 さて、みなさん、どう考えますか?
 もし、乗船券をクジで決めたとして、
 人口で、14億の中国と、 11億のインド。
 68億人いる人類世界で、平等にクジをしたら、
 英米アラブの富豪や政府首脳が、当たる確率は、きわめて低いでしょう。
 で、そんなことよりも、 今をどうするか、 です。
 人類最後の日まで、カネで、運命を決めるのかどうか、を
 考えさせるのが、この映画ですね。
 少なくとも、私の場合は。
 カネ は、そもそも、人間が作り出した、<価値媒体>です。
 多くの人間が、共同作業をするとき、 この媒体は、多くの人間の
 エネルギーを、呼びこむことができます。
 カネは、それ自体で独立し、他人を動かすエネルギーになっているのが、
 これまでの人類社会です。
 今では、そのカネの、管理が進み、人類共通の基準、信認性まで、
 G20(G8ではありません)で、 話されています。
 ここでは、中国・インド以外に、アフリカ、南米、東欧まで、どう取り組むか、
 も視野に入っています。
 しかし、本当に、いつまで、このカネが、続くのでしょうか?
人を動かすカネの起源は、古代バビロニアでの、『穀物の債務証書』 でした。
それがさらに、どこでも、富に変わるものとして金(ゴールド。最初は砂金)になり、
それをさらに、もち運びをしやすくした塊が、 金貨です。
紀元前8世紀に、アッシリア帝国が古代バビロニアを滅ぼし、そのとき、多くの
武人を集めて、雇う手段に、 まず、金が使われました。
古代イスラエルの北十支族をハランに連れ出したのも、アッシリアですが、
その約百年後、今度は、カルディア人の新バビロニアに、征服されるときに、
今度は、金貨が発生します。
多くの武人が、アッシリア帝国から離れますが、 その武人を傭兵として、
多く雇ったものが、強い国家を持つことができたのです。
 
新バビロニアは、アッシリアの北10支族を解放しますが、BC6世紀の初め、
南ユダ国を攻め、バビロンにつれてきて捕囚します。
その約60年後、新バビロニアを征服したのが、アケメネス朝ペルシャでした。
バビロンの捕囚は解かれ、カナンに戻ったユダヤ人は、ユダ王国を再建します。
そのアケメネス朝を、滅ぼしたのが、 アレクサンダー大王でした。
この間、豊かな農地、そして、金(ゴールド)が、争われていたのです。
そして、そこから、流通通貨、マネーが、生まれました。
しかし、私たち日本人は、このマネーを、なかなか、受け付けなかったのです。
アレクサンダーのペルシャ征服から、日本の伊勢神宮まで、1000年あります。
この間、日本には、通貨はありませんでした。
富を生み出す人。 共同作業でのエネルギーの集め方。
共同作業の成果の、分配の仕方。
これが、血統で、独占された時代から、 マネーの多寡で決まる時代に、
今は、なっているかもしれませんが、 ほかに方法はないのでしょうか?
目の前にある問題を、皆で、共同で認識し、
それに、必要な、経営資源を、皆が持ち寄って 投入していく。 
そして、その成果の分配から、未来の種を残していく。
私たちは、「マネー」が請け負っている機能と、 その性質を、
今こそ知るべきです。
マネーは、単なる、<価値媒体>。
流通する必要のない、目的をもった<価値媒体>があってもいいはずです。
それには、同じ運命を感じ、共通の目的のために、自分の経営資源
を、投入する意志が必要です。
その時期が、もう来ていますね。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。