TPPへの対抗策? その答えは、大地と共に生きる「マイファーム」運動だ。

 一昨年、民主党政権が、政権奪取当時に掲げていた『東アジア共同体』構想。
これに対抗して、アメリカ側が、急遽、持ち出した日本経済取り込み策が、TPPです。
 戦後、実質上、アメリカ合衆国の特別行政自治区の日本を、今度は、完全に飲み込んで、
そこを、アメリカの本土並みに、自由化しようという「計画」です。
 これは、単なる「計画」ではなく、アメリカからだされた、被占領民に対する「要求」です。
その『要求』の本質は、昨年9月の民主党の代表選挙で、小沢一郎と争った菅直人を、アメリカが
全力で応援し、さんざん「政治とカネ」のネガティブキャンペーンで小沢をたたいて、勝利に導き、
「勝ったのだから、これを必ず実現せよ」とつきつけた、「命令」なのでしょう。
で、こうした凄まじいアメリカの姿勢を間近かで見ていた、首相夫人の伸子さん、
「あなたで総理が務まるの?」と言っていたが、こうした現実に直面して開き直ったのでしょう。
これまでの市民活動家時代からの反米姿勢なんか簡単に脱ぎ捨てて、今の首相婦人である立場を、
とにかく満喫する。夫に対しては、
「とにかく、粘るだけ粘って、いつまでも私を首相夫人でいさせてね。
  私、この快適な立場、とても、気に入っているんです。わかったわね」  となる。
当然、スッカラカン総理は、これまでの高額待遇で役職の利権が制度化されている行政機構を、
根本から変えるなんて考えず、官僚とアメリカから言われるまま、増税での財政健全化路線の
みを強調する。
日本の皆さん。 私は、何度も書きます。 
行政機構、そして、役人の待遇など、国家の経営資源の分配方式を、変えるには、
それを実行するための、法的根拠を持つ、新たな組織を作らない限り、何も変りません。
日本版の 「国家体制改革委員会」 を 法的に作らないと、何も生まれない。
それには、お隣の国が参考になります。
中国は、鄧小平が復活した後、1984年に、改革開放に舵をとり、縦割り行政をこえた、
テーマ別の課題に取組むタスクフォースとして「領導小組(指導グループ)」を設置し、
それらをさらに、90年代後半には、国家発展改革委員会に統合していきましたが、これと
同じやり方を、私達の国にでも、採らねばなりません。
 ここで重要なのは、中国は一党独裁の国で、当時は鄧小平の一言でこれができましたが、
 日本は国民主権の国で、国会で新たな法律を作らないと、何の実行力も持たないということ。
日本で、本格的な改革が、なぜ、できないのか?
それは、日本がきちんと独立していないためで、具体的には、この国家を根本から変える「意志」
を集中する部局を、法的に作る必要性があるという視点の言論が、マスメディア(新聞・テレビ)
に、全く欠如しているから。 いや、既得権を持ったものが、承知して、登場させないから。
そして、いきなり、
個別の事業「仕分け」というパフォーマンスに入り、未熟な政治家の人気取りを優先させるから。
その間隙に、昨年は、基地問題で躓き、日中間で対立を浮き立たせる尖閣諸島問題が、
ヒートアップしました。
自分が、どんなに未熟で愚かであるか? 今の民主党は知らない。
まして自民党は、こうした事態を冷静に分析するよりも、昔に戻せといっている。
これも、ありえない。
TPP は、一般に、工業製品の輸出に有利で、農業には不利。
単純にこう考えられていますが、はたしてどうか?
農業の不利という、「規模と価格で、かなわない」は、そのとおりですが、
では、品質は? 安全性は? 消費者にとっての、こころからの安心感は?
製造業・金融業では、TPPで、かえって、より自由に活動域が広がって、企業業績が上るかも
しれませんが、日本国内には、研究管理部門は残っても、工場はどんどん消えていくでしょう。
もっとも、このときの企業は、もはや、資本系列で見たとき、どんどん多国籍化していきます。
TPPでは、自民党時代に進めた、農業における、関税や補助金による保護もなくなり、一気に、
海外からの多くの農作物が入り込む。そうかもしれません。
だから、超党派で今、反対のデモ。
で、 これに、よって、農業が、本当に壊滅していくのか?
ここで、私の住む長野県の農業現場を、大雑把にみてみます。
長野県は、中山間地ばかりです。農業をするにも、もともと規模拡大ができません。
米の消費量の落ち込みにあわせて、今では、農地の宅地転用もすすんでいます。
残っている農地(田畑、果樹園)でも、三分の二以上が、今、耕作放棄で荒れています。
こうした状態で、これまで都市部に集中していた日本の多くの住民が、今後も、このTPPに
晒された後、単純に、価格だけで多くの農作物・食品を買うことを決めるのでしょうか?
輸入食品・輸入農作物がもたらす自分自身の健康へ不安は、同時に、自分自身の生き方を
見つめなおします。自然との調和、イノチのつながりの回復、大地に根ざした故郷、心の
原風景への回帰が始まるのではないでしょうか?
まだまだ、小さいながら、静かで確かなうねりが、始まっています。
それは、都市部の住民が、自分の手で、自分の食べる農作物を育てたいという欲求です。
 団塊世代が、これから、大挙して定年退職となっていきます。
 年金と貯金をもって、これからどうするの?
 一番気になるのは、何か? ・・・ 健康 と 友達(仲間)。
 これを、無縁社会の都市部で得れるでしょうか?
 綺麗な田舎で、 のんびり、晴耕雨読。
 本当に体にいいものを自分で作って、こころの通い合った友人達とともに、
 一緒に料理を作り、それをいただいて、安心して、余生を送りたい。
こう考える人が、急速に増えているのです。
 これは、単なる趣味の家庭菜園ではなく、
 コンクリートから離れて、大地と共に生きる、 マイファーム「自分の農園」 です。
これを、地方が提供する。
 農家の方は、
   ①農地の貸し出し
   ②農業の指導 
   ③作物の管理  で、
 あらたな収入が得られます。
また、田舎に、新たな居住者が増えますので、
 不動産、商業地、そして、なにより、 医療関係が活気つきます。
しかし、都市住民が、どこの田舎を選ぶか?  特に、自分に故郷のない人たち。
 この問題がのこります。
 選ばれるのは、 美しい田舎。 それも、明るく、さわやかな人間関係があるところ。
 そして、きちんとヘルスケアができて(メンタルでも、肉体でも。もちろんデトックス)、
 そこに、本人にとって、心を震わす、物語性が感じられるところ。
私が、故郷の信州中野でめざすのは、これです。
なんたって、付近には、温泉、スキー、ゴルフ場、渓流釣、などのリゾートもあれば、
野菜・果物は、品種も多く、とにかくうまい。米もいいし、美味い地酒もある。
 都市化・工業化 のヒズミを、解消するもの。 
 それは、 四季にあわせた、生き方の芸術化。 天地人の一体化です。
 ここに注目すれば、TPPは、怖くない。
 自分が口にするものは、すべて「身土不二」で、 顔の見えるモノ同士の 信頼作物。
 そして、自分が、自分の生きる現場の主体になる。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。