6000年の人類文明史の最終章。

 今年の春分のお彼岸は、各地で大嵐でした。
私は、20日に本郷で勉強会をした翌日、横浜に向かいました。
すでに、晴れ上がっていましたが、まだ、風が強い一日でした。
 西日本では、またまた黄砂が襲来です。
これは、中国の華北地帯の森を4000年かけて伐採し続けた結果です。
6000年前に温暖化が終わり、海水面の上昇が止まりました。
このとき、北半球は、見事な森林に覆われ、徐々に寒冷化が始まります。
そして、今から5000年前、寒冷化が顕著になり、山岳部には降雪がもたらされます。
この中で、メソポタミヤに現れた大王が、ギルガメッシュです。
その登場から千数百年後に書かれた叙事詩によると、
ギルガメッシュは、3分の一が人間で、3分の2が神です。
そして、このとき、農耕民は、農業従事者以外も扶養する生産力をもちだします。
一緒に土塁の内側に住んで、組織的に農地を広げようとして、牧畜民と衝突すると、
ギルガメシュは、牧畜民の神であるエンキドウと戦い、最後は、和解します。
そして今度は、共通の敵として、森の神フンババに立ち向かい、これを殺します。
森は、循環する生命の豊かさの基本だったのですが、小麦の農耕民と羊の牧畜民は、
取り入れる収穫に拘り、生活圏を面的に拡大させるばかりで、循環を考えなかった。
 その点、この森とともにあったのが、稲作民であり、常に循環を考えた。
こう指摘するのは、梅原猛、安田喜憲の日文研の権威たちです。
 確かに、江戸時代の日本などは、ものの見事にリサイクル社会でした。
それなのに、今の日本で、何で、こんなに、荒廃が進んだのでしょう。
 私たちは、明治になってから、フンババ(森の神)を、積極的に殺したのです。
南方熊楠は、明治政府が進めた、アマテラスを頂点にする神社合祀によって、
産土(うぶすな)の神が一緒くたにされ、多くの鎮守の森が失われたことを嘆き、
抗議しました。
明治になって森が壊れたのは、国家主導による産業化であり、金融資本の拡大です。
中国に関していえば、森が耕作地に変わりだしたのは、3000年前の周代からです。
これが、始皇帝の統一後の漢の時代になると、鉄が農具となって農民にも普及し、
さらに、多くの伐採、開墾が進みました。
そのころは、もう、完全な金銭万能時代になっていたのが、中国です。
「自然の豊かさは、無尽蔵であり、それは征服すべきもので、
 人間が蓄えるべきは、 実は、金銭なり。」
 これが、2000年前からつづく、中国人の考え方であり、習性です。
「カネさえあれば、祖父は、武帝(前漢)の封禅にも立ち会えたし、
 自分が受けた、刑も減刑できたはず」
こうした思いで書かれた本が、司馬遷の史記の「貨殖列伝」です。
これが、中国で最初の正史の記述なのです。この根は、とんでもないくらい深い。
 日本人は、その点、この自然の中に生きる、個々の生命との感応力がずっと
残っていたのですが、
 明治になって、国家主義が起こると、それが弱められ、戦後の高度成長の中で、
完全になくなってしまったようです。
 儲からないから、と、循環の起点である水田や森を 放置できる感性は、 
本来の日本人には、 ありませんでした。
 まして、すぐ隣に暮らす人間と、心を通わせないというのも、本来の日本人なら、
考えられないことでした。
儲からなければ何もしない。
一方、儲けるためなら、どんなインチキでもする。
これが、中国だけでなく、実は、今の日本、そして、世界中がそうなっている
のかも知れません。
先に、自分にいくら儲かるかを、考えると、とたんに、
イノチと響きあう感性が消え、生命の感応力が弱っていきます。
その土地に息づく、イノチの声が聞こえなくなれば、
どう生かしたらいいか、の智慧は、まったく出てきません。
 
4月3日、諏訪では、上社の御柱祭りがあります。
一緒に、いきませんか、と誘われています。
 伝統行事の見学もいいですが、今は、
自分の「柱」を立てたい、という気持ちでいっぱいです。
 「天空情報」 と 「地上の生命系」 を、つなぐ柱です。
ここで、お知らせ。
4月10日(土)、 京都で、ジャパネスク研究会です。
 ここでは、シリウス情報の掴み方 を研究します。
また、 翌日の11日(日)も、岡山で開催できないか、今、
関係者が調整中です。
おって、連絡します。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。