明日は、天安門事件から20年。

  今から20年前、1月に昭和天皇がなくなった1989年の6月4日。
  
 この日は、中国北京の天安門広場に集まって民主化を要求する学生たちに、
 軍の戦車が突入して、デモ隊を粉砕し、解散させた日でした。
 また、イランのホメイニ氏が亡くなった日でもありました。
 そのとき、中国の国家指導部に迫られていたのは、
 中国社会を如何に国際社会に馴染ませるか、 その方法には、
 経済の分権化はいいとして、政治の民主化を認めるかどうかでした。
 中国社会の体制改革は、1978年の鄧小平の訪日から始まっています。
 その翌年から、一人っ子政策が決まり、農民の野菜の自由市場が生まれました。
 さらに、香港との境にある深センを、経区として通商・建設が試験的に始まり、
 1984年には、沿岸地方に経済特別区を広げる改革開放政策になりました。
 20年前のこの日の事件は、経済は開放しても、国家の枠組みを作る権力主体は、
 日本軍を大陸からたたき出し、国連復帰を成し遂げた、中国共産党が握り続ける
 と、決意表明したものでした。
 あのとき、北京大学の学生を率いてデモに参加し、これ以上デモをするな、と、
 退け時を指示した人間が、今、副首相になっている、若手の 李克強です。
 この人物が今、今後の中国の発展計画を立案しています。
 特に、エネルギー政策。
 今、シンガポール・台湾・在米中国人、東南アジア華僑を加えた中国人社会全体が、
 大発展していますが、そこには、大陸の生活レベルの底上げによる市場拡大があります。  
 さて、この20年間で、 大陸中国(共産党)のお手本は、どこだったでしょうか?
 日本 です。  ただし、軍事面を除いて。 
 日本の軍事は、アメリカに抑えられ、今でも属国状態ですが、
 これは、中国にとっては、反面教師でした。
 経済発展モデルとして、 明治維新後の日本を、とことん学んだのです。
 
 日本を見て、生産力の向上と、国際競争力を、一気に求めました。
 それは、日本製品と比して、 品質と環境対策を後回しにしたままで、
  生産規模を10倍。 価格では 3分の一に というもので、
 本当に、無茶苦茶な生産でした。
 仕事や技術をつかむために、海外企業・投資家を必死の誘致でした。
 私は、1993~97年まで、中国に会社を持ち、この間の中国人の
 考え方・行動様式を、身をもって体験してきました。
   
 今、中国で成功している人間には、二通りがあるでしょう。
 一つは、 国家や外国企業を食い物にしながら、 不動産・金融で儲けた人間。
 もう一つは、 日本企業のうるさい要求に応えながら、生産技術を向上させた人間。
 
 で、そうやって、がむしゃらに戦っていた人間の子供たちですが、
 本当の金持ちやエリートはアメリカにいきましたが、これはごく一部で、
 広く一般的には、とにかく、学問・知識が必要だということで、
 中国には、 訳のわからない高校や大学が新設され、そこに通いだしました。
何を習ったのかは、個人それぞれ違うでしょう。
で、そのときの学生は、誰もが一人っ子ですが、 ほとんど皆、
 日本の漫画 と AV を見て、育っているのです。
 ああ~、これが、いいのかどうか。
 何も、日本が国家戦略でやったわけでもありません。
 著作権を無視した中国の盗作コピー文化に、乗っかって広がったのです。
 そして、今、天安門事件から20年。
 一人っ子政策の最初の若者は、30歳になっています。
 日本に倣って、(中身は別として)大学卒業者をたくさん作っても、
 就職先がない。
 この若者たちが、中国を作りかえることができるか?
 期待は大きいのですが、甘やかされていますよ。
 文化大革命を体験した親たちには、とんでもない根性がありましたが、
 今の中国の若者は、高学歴にはなりましたが、
 日本の漫画とAVで、十分に洗脳されています。
 物的にも、すでに、貧困ではありません。
 物的に、「何でも足りない時代」から、20年で、「何でも溢れる時代」になったのです。
 そして、苦労を嫌がり、なんでも、あんちょくに最高のものを手にしたがります。
 
 彼らは、インターネットができ、程度の差はあれ、英語か日本語ができますので、
 どんな、社会を生み出すでしょうか?
 社会正義を実現するために、行動できるだけのハラがあれば、
 政治的に、共産党の独裁を、切り崩していく可能性もありますが、
 中国は今、そんな彼らに、お金の大判振る舞いです。
 サブプラ後のインフラ整備に 60兆円です。
 そこで、またまた、汚職のオンパレードでしょう。
 地方のボスたちが、好き勝手をしまくるでしょう。
 さて、そのとき、もと天安門のデモ隊指揮官だった 李克強 は、どう動くでしょう。
 同じ共産党でも、地方にいるボスたちを、取り締まるのでしょうか?
 もし彼が賢ければ、 ネットを活用して、定職のない若者たちに、
 環境問題や、就労、人権、医療、などの不正をどんどん告発させるでしょう。
 
 身内の先輩たちの悪行を切らせながら、彼は、善人として、権力を維持する。
 
 一方、中国国内では、わがままな若者たちが、新たな消費者になってきますから、
 中国自体が、産業レベルでグローバル競争に勝てる品質まで向上するのみならず、
  普段の生活レベルでも、 本当の快適さが、求められます。
 まともに心のこもったサービス。無駄のない経営。 自然との融和。
 
  そのとき、  やはり、 日本が不可欠です。
  
 特に、この20年間の急いだ、近代化の総決算(付け払い)をどうするのか?
  ここでも、 日本に、手本を求めてくるでしょう。
 朝鮮半島の問題も含め、 好き嫌いの次元ではなく、
 東アジア全体での、 発展計画が必要です。
 しかも、そこには、共通の歴史理解 が必要です。
 私の研究が、その一助になればと、思っています。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。