エネルギー政策の革命的転換。地中熱の熱交換。

1) こんにちは。
 関西から戻って、昨日の夜9時のNHKニュースをみて驚きました。
これまで、全く報道していなかった、都市のヒートアイランド現象対策に、
地中熱の熱交換を紹介し、そのための政策支援を呼びかける内容でした。
環境関連の普通のニュースと看過されがちですが、 この国の、
明治維新以来の産業構造と、戦後のアメリカ覇権の中でのエネルギー政策を
少しでも知っていると、このニュースがあったこと自体が、大変なニュースです。
どうもそこには、この国の奥の院」が、いよいよ、アメリカの影響下から独立
したことが感じられるからです。
2 ) この国には、国会議員による政策決定よりも、さらに強い権限をもつ
 集団が存在します。それは、マスメディアはおろか、世論、産業界、学会、
 金融、なにより、司法にまで、大きな権限を密かに及ぼします。
 もちろん、官僚や、そのOBたちのことではありません。
 国家存続に関わる基本事項を話し合う人たちで、
 それを、私たちは、便宜的に、日本の「奥の院」 と称しましょう、
 この「奥の院」は、戦前、中国大陸に軍事拡大してしまった日本の軍部を
 引き下げるために、やむなく、アメリカとの交戦、そして敗戦の道を選び、
 戦後は、日本国家存続と戦後復興のためにアメリカ(特に、スカル&ボーンズ)
 とも共同歩調を選びました。
 アメリカの世界戦略の中に、日本国家としての名誉ある地位を考え、
 日本人の社会活動や生産活動をきちんと位置づけ、日本国内には、
 その戦略の中で、安心して物つくりを励めるように、「平和憲法」を与えました。
 ここまでは、戦後の裏面史を調べれば、誰もが知るところです。
3) そのとき、日本を物つくりの基地として、 過度に工業化することで、
 日本の輸出を増やし、外貨を稼ぎますが、貿易インバランスが生まれてしまいます。
 この黒字を少しでも解消すために、アメリカから農産物、特に小麦を輸入して、
 結果として、稲作農家には、減反政策を押しつけました。
 それでも、黒字は減りませんから、米国債を日本は買い続けました。
 この時の工業化推進の段階で、 日本は、アメリカのオイル・メジャーから、
 彼らの言い値で、原油・天然ガスを、中東から輸入する体制になってしまい、
 何度か、独自ルート開発を試みますが、いずれも大きな成果を得ませんでした。
 また、電力需要は、 夏冬の空調の普及に伴って増大し、 新たな原発建設も
 着手され、このため必要なウランも、海外のメジャーから輸入しました。
4) 80年代以降、エネルギー危機が叫ばれても、代替エネルギー開発が、
 日本で本格的に進まなかった最大の理由は、海外からのエネルギーの輸入で、
 日本が莫大な支出をする体制が固まってしまい、そこに、巨大な利権構造が
 出来上がっていたためでした。
 2年前に自殺した松岡農水大臣は、実は、結果として、ここに挑戦した人でした。
 農業の減反政策に使われている補助金を、 農地をバイエタノールの供給源にする
 ことで、農業や農村自体を復活させることを、目論んでいました。
 簡単に言えば、 エタノール専用の稲を育てる計画でした。
 しかし、それに、猛反発していたのが、石油業界、そして、電力業界でした。
 「エネルギーは、 国家の最重要事項。 門外漢は口を出すな」。
 すでに、アメリカはバイオエタノールに政策転換していたので、
 この松岡プランにアメリカやオイルメジャーから圧力があったとは考えられません。
 明らかに、日本のエネルギー政策の既得権益者が、つぶしたのです。
 戦後、日本国内での油田開発、地熱発電、など、なかなか進まなかったのは、
 ここにあります。
5) 一方、アメリカやヨーロッパでは、90年代以前、まだ、環境問題が認知される前、
 代替エネルギー開発が国際的に叫ばれる前から、当たり前のように活用されていた
 のが、 地中熱を利用した熱交換システムです。
 
 石油屋のブッシュファミリー自身、自分の家の空調は、完全に、これを利用しています。
 100%のクリーンなエネルギーで、エネルギーの質がやわらかくスムーズで、
 人体への変な負荷がかからないからです。 つまり、健康にいいのです。
 この技術は、20世紀末になると、地球環境問題の切り札として、
 欧米ではより積極的に利用が拡大していったのですが、 その事実を、
 まったく、日本国内に、伝えてこなかったのが、 日本のメディアです。
 技術自体は、日本でも、90年代末から、すでに完成し、その関係者は、
 環境に一番いいと、政府に国家的な支援技術にするように、動いてきましたが、
 日本政府は、石油業界と電力業界からの圧力で、全く普及に乗り出さず、
 
 そうした技術があることすら、国民に教えませんでした。
6)  それが、やっと、先週になって、方針転換したのです。
 それが、昨夜9時のNHKニュースでした。
 どうも、ここには、「奥の院」の判断が あったようです。
 今、日本の国家としての 国際公約 CO2の 削減目標 を達成するに、 
 これまでの産業界(ものつくり)側の 省エネ では、限界に来ています。
 麻生内閣は、サブプラ後の緊急経済対策に、自動車・家電業界には、 
 エコ支援として、補助金を政策出動しましたが、
 日本の多くの雇用を抱える、土建屋や建設業界には、 何も、補助案件も
 考え出すことができませんでした。
 地球環境問題での、国際的主導権の確立と、
 日本の土木・建設業界への新規補助案件の創出。
 この二つがかさなったとき、 どうも、日本国内には、
 まだまだ、未開発・未利用の、すばらしいエネルギー源があると
 「奥の院」が動き、 石油業界・電力業界を、黙らせに行ったのでしょう。
 これで、日本国内の政治決着がついた。
  それが、先週です。  ちょうど、 皆既日食の 後 です。
 また、これは、同時に、「奥の院」が、やっとアメリカとは離れて、
 独自に動き出した端緒ともいえます。
地中熱の熱交換。 
これを、日本全国の全戸、全建造物で、普及させましょう。
それにしてもこの国の既得権益者は、 往生際が悪過ぎます。
いつも新鮮な生命感覚で、生きていないことが、原因でしょう。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。