戦後終了の歴史的一日に外される日本の自民党政権。すべては神武ファンタジーが残っていたため。前川喜平氏は日本会議を「害虫の巣」と。

こんにちは。
今、朝鮮半島の板門店では、明日の南北首脳の準備が最終段階です。
その会談を取材する各国メディアは、歴史の現場に立ち会えるとして、ワクワクしているようです。

それに対し、いまだに歴史の流れをつかみきれないのが、日本のメディアで、いつまでも懐疑的です。半年前には「ロケットマン」「老いぼれ」とお互いに罵り合った米朝が、今年3月8日に、トランプが韓国からの特使に「よし、会おう」と言ってから、急速に関係が改善していますが、その事実を受け止められないのです。いまでは、両者それぞれが、相手を認め合う段階になっているのです。

 昨年9月初めまで狂犬だったカリアゲは、中国人の事故被災者に「詫びる」姿勢を見せ、一方、トランプは強硬派のCIAポンペオ氏を4月6日隠密でピョンヤンに行かせた後、本格和解に備え、国務長官に格上げです。
 この変化の裏に何があるのでしょう。誰が動き、どんな勢力が外れたのでしょう。

戦後、列島に入りこんで、戦争屋とともにあったのがジャパンハンドラーで、安倍晋三クンのお仲間たちは、その指導を受けていました。中でも、米国戦争屋と一体のメディアの近くにいたのは、半島生まれながら日本の国家権力に入り込んだ、「と金」人士でした。彼らは、アメリカには楯突かずに、ことさら、「ヤマト民族」であることを強調し、中国・韓国に敵対し、国益損失や危機を大げさにわめく存在でした。

それに対し、今回、その日本の戦争屋自体を変える(もしくは排除する)ために、日本の背後に控える、アメリカのそのものまで変えだしたのは、誰だったのか? ということです。

安倍政権は、いま、見苦しさを越えています。安倍本人も、その取り巻きも、積極的協力者も、この国の政権の座から降りたら、一斉に法の裁きが襲ってくることを知っているからなのでしょう。

安部がトランプに会っても、トランプが示した関税での優遇措置は受けられず、韓国の文在演に電話しても、形ばかりの受けごたえであしらわれています。

国家を強化させるためと言って、内閣人事局を作ったものの、その運営は、お仲間へのマネー配り以外、何をやっても失敗でした。安倍晋三自身は、せめて拉致被害の解決だけでも、指導力を発揮しようとしたのですが、これも、これまで、国内政局で自分の立場の補強に利用しただけという事実の、その報いが今、来ているのです。
 戦後のアメリカによる日本支配を終わりにするに及んで(しかし、暴走する軍事強国にするわけではない)、この安倍政権には、海外にカネを配ること以外、なんら手柄を与えないのでしょう。

 日本の官僚たちが、人事権をもつ権力者の顔しか見ていなかった。これがもう、バレバレ。そんな中、「自分は面従腹背だった」というのが、文部科学省の次官だった前川喜平氏です。
 前川氏は、いま、全国で講演に引っ張りだこです。
そして、戦後も「日本人は、天皇の血を引いている家族のような国の民」という国家観があり、これを岳父である中曽根大勲位が言っていたが、その国家観と、国家に対する個人の位置づけは、間違いだったと指摘します。
 安倍政権が、道徳の時間として、個人の尊厳よりも国家を優先させることを教育の場で強制しようとする動きに、とても危惧を持っておられるのです。
これは私も同感です。特に、公文書を隠蔽どころかすぐに改竄するような行政で、それに対しチェックも懲罰もないままでは、完全に権力者の私物国家となり、どこまでも暴走するからです。

 前川氏は、官僚を完全に骨抜きにしながらも、やることなすことすべて失敗した安倍晋三政権を、誕生させ、それを支え続けた日本会議の精神性を否定します。
 天皇の血統という、組織形態。これは、戦前からの神武ファンタジーによる国家像ですが、それが残っていたのが、日本会議でした。 この日本会議を、講演の中で、「害虫の巣」とも言います。

激しい言葉です。平気で「忖度」が広まり、真実よりも、権力者に取り入ることの方が、自分の名誉と繁栄が得られるとする意識の人間の集まりなのでしょう。
神武ファンタジーを持ち続けることが、21世紀の世界と日本にとって、「害虫になってしまう」。教育行政の最高責任者だった人物が、こう言い放つ。これは、重いです。
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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。