昨年、チェニジアでジャスミン革命がおき、今年に入り、エジプトでは、
親米独裁政権だったムバラク政権に対し、民衆が「ノー」を突きつけています。
ムバラクは、サダト前大統領が1981年に暗殺された後に就任し、サダトが作り上げた、
イスラエルとの中東和平を、絶対に守りぬくことを、その政治信条にしていました。
それが、政権を独占し、反対者を押さえ込み、腐敗を生んでいきました。
このムバラクですが、まだ青年時代に、ソ連のモスクワに留学したことがあります。
そのとき、同級生だったのが、北朝鮮の金正日でした。
この両者は、ソ連が解体した1990年以後も、連絡を取り合っていました。
エジプトは、イスラエルと平和協調路線とりました。もちろん、国内には多くのイスラム
教徒がおり、イスラエルの存在そのものに反対するものもいました。
サダム大統領が、死の直前にしたためたとされる手記に、
「自分は、今まで永年の旧敵とされていた、イスラエルとの間に平和を作り上げた。
これで人生の終わり。あとはただ昇天を待つのみである。」と記述があるように、
イスラム教徒としては、戦後になって、どかどかと入り込んできたイスラエル国家、
すなわちユダヤ人との政治的妥協は、どうしても、許せないものなのです。
そうした声を押さえ込んで、緊張の中で国家存続と経済発展を図ったのがムバラクでした。
サダト大統領の暗殺を直接見ていたから、ムバラクは、アメリカとイスラエルによる,
中東での戦略シナリオに直接、歯向かうことはせず、「果実」のみを探し求めました。
80年代から始まったアメリカの戦略とは、イラクのサダム・フセインをモンスターにして、
石油を吊り上げることでした。
これで、1972年以来の原油売買のドル建て原則の中で、世界中でドルの需要が高まり、
金本位に換わって、ドルは、石油本位、戦争本位となって、通貨の価値が保たれたのです。
その覇権国の通貨米ドルが、21世紀になってリーマン・ショック後の今、日本のみならず、
新たに台頭した中国による国債の買い支えによって、ようやく支えられる時代になっています。
21世紀に入って、まず最初に公然と、イスラエルを非難しだしたのは、イランでした。
これは、アメリカの経済的な衰退が、イスラエル支援を弱めさせるのを十分に見越していた
行動です。 これに、ベネゼエラも続きました。
21世紀、ドル支配体制が危うくなった時、アメリカのブッシュ政権は、このイスラエルと組んで
ネオコンを形成し、「911」を演出しましたが、その結果は、イラン・北朝鮮と関係の強い
中国を経済的に大発展させる引き金となりました。
それと同時に、イランのアフマドネジャド大統領は、全世界、なかでも、イスラム社会にむけて、
イスラエルの国家としての正当性について、「地図から消えるべし」と堂々と否定しだしたのです。
この時点で、イスラエル国内には、 どうも、二つの考えがあったようです。
イスラムに譲歩し和解して共存するか、それとも、和解せず、この土地にこだわるのか?
このとき、今度は、イスラエルのユダヤ人の側から、このパレスチナのイスラエル国家の存在
そのものの正統性に疑問を投げかける著作が出ました。
シュロモ・サンドの『どのようにして、ユダヤ人は創造されたか?』。
この本が出て、19世紀末から始まった、シオニスト運動、そして、ヒトラーの迫害から
戦後の1948年のイスラエルの建国について、それが、本当に、神聖な神の意志なのか、
その宗教的確信が揺らぎ出します。これは、政治的創作だったのではないか、と。
今からちょうど一年前、日本のイスラエル大使館では、ものものしい警戒態勢の中、重要な会議
が開かれました。 このユダヤ人の人造国家の運命について、重大な決意発表があったようです。
それは、ネオコン路線をつかってでも、中東にこだわるのか?
さらに、もし、その路線が破綻したと分かった時には、
今のイスラエルを捨ててでも、新規に別の土地に移動するのか?
その結果は、昨年の一年間に、「神の意志」によって示されたようです。
哨戒艦「天安」が爆発沈没し、さらに、北朝鮮では、三代目に金正恩が決定です。
今、ロシアの中国黒龍江省の国境には、プロビジャン自治州という、ユダヤ人自治区があります。
1980年代からは、この地のユダヤ人にも、イスラエル入植が進められましたが、戦争の恐怖で、
90年代以降は再びここに戻り出し、そのときに、かつて戦前に日本軍がこの中国東北部(旧満州)
に、ヨーロッパからの亡命ユダヤ人を取り込んで、ここに理想国を作ろうとしていた事実が話され
たようです。
石原莞爾の「五族協和」の理想の中にも、ユダヤ人が、隠れた主役になっていました。
それは、「ユダヤの毒(技能・知恵)をつかって、おいしい料理《理想国家》をつくる」という
『河豚計画』と呼ばれるものでした。
この計画は、日本の敗戦、そして、戦後のパレスチナでのイスラエル国家建国で消えてしまい
ましたが、 今、世界の厄介者として存在する中東の人造国家の650万人のイスラエルの民が、
今後、移動するとしたら、それは、どこになるのか?
21世紀になってからも、イスラエルからは多くのユダヤ人が日本に来ましたが、そのとき、
「失われた十支族」の足跡を活発に調べたユダヤ人の調査機関がアミシャーブでした。
彼らの目的は、日本にいる「イスラエルの同胞の民」を見つけ出した後は、戦後、中東にできた
イスラエル国家に集めさせることでしたが、
2011年初頭の国際政治の実情は、それとは、まったく逆で、
そのイスラエルの、国家そのものの存続が、完全に危ぶまれる事態になりつつあるのです。
そのとき、強硬派のネタニヤフ政権は、これまで同様、さらにまた過激に成るだけでしょうか?
こうした状況を、「神の意志」と読み取るラビたちは、どう読んでいくでしょうか?
もしかしたら、新たな「安住の地」を求めだしてるのではないか?
その地を、どこに探し求めることになるのでしょうか?
それは、日本?
いや、そのまえに、いま、全く新しい体制になろうとしている北朝鮮がある。
ここには、かつての「河豚計画」を知っているユダヤ人、そして、日本軍の特務の生き残りも
存命している可能性もある。
昨年、北朝鮮は、米韓による度重なる挑発の中、中朝国境の黄海側、すなわち、丹東の隣に、
新たに「経済特区」を決定し、11月の中朝首脳会談後、中国側がその基盤整備のために大規模な
投資を始めているが、この背後に、もしかしたら、ユダヤ人がいる可能性も高い。
中東から、人造国家イスラエルを、この北朝鮮の中に、移動させる。
もし、それが、ラビたちの大方針として決定したのなら、アメリカのオバマ大統領による、
「ムバラクは民衆の声を聞くべき」、すなわち、「すぐに、政権を移譲せよ」のメッセージには、
より深い意味が込められていることになる。
そこには、イスラエルを完全に四面楚歌に追いこみながら、イスラエルそのものを東アジアに
誘導させる大戦略が発動され、その一環としてオバマが動き出した、とも見ることができる。
私はいま、できるだけ早い時期に、大連や,丹東、吉林に行きたくなった。
そこで、一体何が起きているのか、この目で、ぜひとも、確認したい。
中東と北朝鮮を結ぶもの。イスラエルは消滅か、移動か?
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この記事を書いた人
新井信介
1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。