東京でのお気に入り。浅草橋、柳橋界隈。《和中薬膳房》は絶品だ。

 こんにちは。
1) 29日は、サッカーアジアカップの決勝を自宅でみるために、
 東京から長野の自宅まで、その日のうちに帰りました。
 韓国系日本人の李忠成選手の見事なゴール。
 
 これは、天皇の「ゆかり発言」と同じくらいのインパクトをもって、
 今後の日本社会を、変えていきます。
 「日本人は、単一民族」というのは、 明治期にできた、政治的な創作でした。
 日本誕生については、 日本の元号である、
 大化、白雉、朱鳥、大宝 の時代と、その意味を考えれば分かります。
  このとき、国際情勢はどうだったのか、です。
2) 昨年から東京にいったときに私が利用するのは、浅草橋のベルモントホテルです。
  このホテルには、かつてあった、柳橋の花柳界の関係者の寄せ書きが残されています。
  日本橋の北に、1.5Km.
付近には、馬喰横山の衣料品の問屋街があります。
  浅草橋には、 人形やアクセサリーの問屋、専門店も多く、
  ここには、 佃煮の老舗もあります。
  新しいところでは、トンボダマの専門店「KINARI」ができ、気に入りました。
  
  昔ながらの子供用の玩具(けん玉、輪投げ、独楽、千代紙)などの問屋もあって、
  子供の土産にも、不自由しません。
3)浅草橋には、隠れた食の天国がある。 http://www.yakuzenbou.com/ 和中薬膳房。
 浅草橋にも、 最近、中国料理屋が増えています。
 池袋から始まった、新華僑(1980年以降に大陸を出た中国人)の人たちの動きです。
 首都圏にきて、着実に生活できる料理屋から入るスタイルが、ここでも広がっています。
 日本にある中国料理屋が、 初期の、中華料理をまねた、日本風の中国料理
 さらに、横浜の華僑から広がった、広東、潮洲系の専門店
 そして、90年代以降にできた、上海料理、山東料理、北京料理 と
 とそれぞれの店がありましたが、
 大概のものは、全く中国料理といえない、ラーメン屋のレベルか、
 あるいは、本格中華と銘打って、高い食材をつかってカネを巻き上げるだけの有名店
 しかなかったのですが、どちらも、ものたりなかった。
 新井信介には、商社マン時代から、絶対の自信をもっている特技があります。
 それは、中華料理屋にいって、誰であれ大感激する料理を、注文することです。
 今でも、日本人のみならず、欧米人や中国人の友人達からも、「注文」が任されます。
 これは、北京・上海の駐在員時代に、ほぼ毎日、日本からきた代表団を多く接待をし、
 さらに、中国政府の高官や、多くの友人と公私にわたって付き合う中、
 どの料理屋の、どの料理が、今の時期なら美味しいのか、その食材のみならず、
 その店の構えや空気で、いつも、注文する料理をきめて、実際に食べて味を確かめ、
 磨きぬいた感覚です。
 老舗の有名店が味を落としていったり、あるいは、自由化の中で、新規に開いた店で、
 大繁盛する店を、なんども見てきて、実際に個々の料理を毎年、味わって、結果として
 ホンモノの味を出す店に、共通な何かを見抜く嗅覚を、磨きあげてしまいました。
4) 私を心底、感激させた味がある。
 その私が、初めて、この日本で、「これは、すごいぞ」と唸りをあげたのは、1月の中ごろ。
 浅草橋駅の南側の路地で、赤提灯をいくつか下げている中華料理屋に入ったときでした。
 
 店の名前も気にせず、その嗅覚で入る。 客は自分ひとりのみ。
 そして、ざっとメニューをみて、「なんだ、最近、増えている中国料理屋のひとつか」
 っと、大して意味もなく、とりあえず、タンタンメンを注文。
 これが、うまい。 味がまろやかで、深い。 
 舌だけでなく、体が、喜んでいる。
 ここまで、響かせることができるなら、絶対、ほかの料理もうまいはず。
 そう思って、初めて、店の名前を確認する。
  《 和中薬膳房 》
 そして、1月28日(金)。
 馬喰横山で打ち合わせをした後、夕食になり、相手先から「ここで、どうか」といわれたが、
 わたしは、自分には食べたいところが柳橋にあるといって、強引に、寒い中、外に出た。
 病み上がりという、もう70歳ちかいその社長を、目当ての店まで、歩いて一緒に行かせた。
 「浅草橋には、あたらしい中国料理家は20軒ぐらいあるけど、どこも五十歩百歩じゃないの」 
 といわれたのに対し、
 「ここは、まちがいなく、感激しますよ。」
 私は、自分が感激したものを、ヒトに味あわせる時には、まったく遠慮しない。
 その店に入ると、その社長は目ざとく、朝鮮人参酒など漢方の薬酒を見つけ、注文。
 それを私も一緒に、注文し呑んでみる。
 
 刺さない。
 苦味が全くない。
 すんなり、しっとり、沁みてくる。
 これは、すごい。
 
 それからは、なにをとっても、うまい。うまい。幸福感が満ちてくる。
 そこにあるメニュー自体は、ごく普通の、中国の「家常菜(家庭料理)」なのに。
 聞くと、店長は、ハルピン生まれ。 奥さんとともに切り盛り。
 そして、オーナーは、横浜国立大学を出て、日本の調理師の免許もっている。
 こうしたことに、初めて、気がついた。
 
 この店、何とか、わが郷里の中野市に、来てくれないか?
 中野なら、食材だけなら、本当にいいものが揃う。しかし、味がダメ。 
 両親や妻子に、この味を、ぜひ、たのしませてあげたい。
 それは、舌だけでなく、体も、そして、心も、柔らかく暖かくひびかせる味だから。
 
 http://www.yakuzenbou.com/  和中薬膳房。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。