中国金融界のとんでもないレベルの隠れた資金流用。『混帳(フンチャン)』=ろくでなし。

 前回の続きです。
 中国に、現実にあるはずの外貨が、それが、きちんと海外送金されない理由は、なにか?
 答え:
 外貨であっても、少しでも、余裕があると、銀行や企業の、担当者やトップが、 
 全く別案件に、 私的に、秘密裏に、流用しているため。
 中国人社会では、会社の中に、 少しでも余裕資金、浮きカネが、発生していたら、
 これを、会計担当者と、トップが組んで、上手に決算の期日が来る前に、個人的に運用して、
 利益を得ようとするのが、 常習化しているから。
 
 それが、 株のインサイダー情報や、不動産の間口押さえなどに使われます。
 あるいは、月利で20%くらいの利益を保証する緊急融資案件に使われ、これが、会社の
 経理とは別の個人の、隠れた収入になります。
 中国での国家予算、あるいは、地方政府にばら撒かれた資金は、胡錦濤政権になって、
 その予算の内訳は国民に公表され、それには、すべて、大きな名目、使用目的、対象が
 決められていますが、実際に何にいくら使われたか、決算については全く発表されず、
 まして、会計検査のチェックもありません。
 相当な額の使途不明金が発生しますが、国内の人民元の場合は、人民銀行と財務省の
 の担当者レベル、部長レベル、行長レベルで、其々そっと補充して隠したままにします。
 多くの場合、短期的なうまい儲け話にカネを回し、期限内に資金が回収されず失敗する
 ものです。
 これは、業務上の横領とは違う、 トップも承知している資金運用だ、というのが、普通の
 理解なのです。
 
 完全なオーナー会社なら、会社全てが自分のものですが、国営企業や、合弁企業などでも、
 トップや財務部門の責任者の知らないところで、これをすることもあれば、トップが承知して
 自分が儲けるために担当にやらせ、失敗したら、自分は知らないといいます。
 このとき、各監督官庁の人間にも、すべてに、利益をまわす算段にしていますから、失敗が
 出ても、全員が、庇いあいます。
 こんな形で中国では、人民元のマネーの流動性と通貨発行量は、とんでもないくらい膨らみ
 ます。 当然、みんなが、どんどん、金持ち(人民元もち)になります。
 
 そうやって、カネを得た人間が、高級品や日本製品を買うのは、一見していいことですが、
 問題は、外貨です。
 中国国内の高額な資産(人民元表記)があったとき、それに見あった外貨(米ドルや日本円)を、
 そのまま、海外に、事業資金や投資で、持ち出せるのか?
 これには、当然に、制限があります。
 このとき、多くの中国人の権力者や事情通は、自分の国の通貨が、如何にいい加減なものか
 知っていいます。
 なんとか、自分個人のために、海外に、自分の外貨資産を、どんどん蓄えておきたい。
 これを、いっせいに考えます。
 企業のオーナーは、当然で、これに、地位が高く、権限がある役人が加わります。
 問題は、国家資金の入っている上場企業のトップ、中堅、担当者、などでも、自分のカネを、
 海外で、蓄えたいと、表向きの日常業務を進めながら、毎日、片時も忘れることなく頭を使い、
 そのチャンスが来るのを、 狙っているのです。
 チャンスとは、国家のものであれ、会社のものであれ、うまく流用できる資金を探し出し、
 合法的に、海外に送金できるタイミングと、そのときの海外協力者の登場 です。
 このときの、「合法」とは、その時点での権限者に咎められず、罰則を受けなければいい、と
 いうもので、法律に何が書いてあるかなんて気にしません。 監督管理者や決済責任者に
 対しては、普段から付け届けで懐柔して、仲間に引き込んでおけば問題ないと、全員が考え
 ています。
 当然のこと、外貨管理をする役所の人間が、ここでは、もっとも重要です。
 財務部は、各地方の商業銀行に、どれだけの外貨の出入りがあるか、決算は年に一回ですが、
 それまでの間には、各銀行内では、中国国内の個々の企業に、海外に送金する金額を超える
 十分な金融資産(これは、人民元)があれば、 送金に応じてしまいます。
 
 これを、また、個人的に、親しい人間からの送金依頼から、処理しますから、
 すぐに、枠がなくなってしまいます。
 まして、金額が大きな資金は、監督部門の眼が光っているため、慎重です。
 それよりも、銀行担当者にすれば、送金したその外貨の、海外での受け取取り先に、
 如何に、自分の取り分が確保されているか、こちらが最も重要で、これが業務遂行の優先
 順位と スピードを決めます。
 このとき、日本人は、どこも、まじめです。
 私的相談では、貿易や投資事業の相手の中には、日本国内での中国人の財産つくりに協力
 する輩もいましょうが、
 送金業務を実際にするに際し、中国の担当銀行を通じて、日本の銀行側に、そんなことを相談
 できる相手はいません。
 その点、途上国、新興国では、喜んでそうした相談に乗るものが多いでしょう。
 中国人に、ドルを送金させ、一部を、訳の分からない、タックスヘブンの銀行に入金させる。
 手伝うふりをしながら、ここぞとばかり、中国からの資金を横取りしようとする人間もいますし、
 逆に、中国側には、すでに、こうした事態に備えて、「この銀行なら問題ない、ここに入れろ。、
 そのとき、協力金は、お前に何%出す」 といって、あらかじめ指定してきます。
  これらは、すべて、カネに対して鋭敏この上ない中国人たちと通じ合った、複雑な、
  華僑の金融ネットワークによるお膳立ての上で、行われるのです。
 日本人は、とても、この中には、入れません。
 その結果、中国の外貨は、なかなか、日本に流れないことに成ってきます。
 マネーには、それぞれいろいろな性格があり、その用途や運用形態に、自ずと制限がある
 ものですが、自分の金でない他人の金を、如何に上手に自分個人のために使い倒すか、
 
 それを一番上手にできるものを、「賢い」「えらい」「立派だ」とするのが、中国人が歴史的に
 培ってきた習性なのです。  ただし、これは、事故が起きなければの話です。
 当然、他人の金を使っているのが分かったら、それを横取りしようとする人間も出てきますし、
 投資話に乗った場合には、相場が崩れて全損する場合もあります。
中国語で、自分のカネも、人のカネも、区別できずに、いいように使って、全てを失くして、
迷惑をかけまくる人間を、  混った帳簿  と書いて、
  「混帳(フンチャン)」 = ろくでなし。  
 といいます。  
 この言葉は、単なる、帳簿上の「糞味噌一緒」の意味に留まらず、
 人間同士の貸し借りの状態が全く分からなくなった、恩知らずで無礼者に向けた 罵り言葉です。
 単なる、バカ を意味する 「混蛋(フンタン) ・・・混ざった卵」 よりも、強く非難する言葉です。
 
 何か企てがあって、それが失敗した時に、実際に被害者が出ても、何ら負い目を感じず、
 詫びる姿勢すらも示さない 厚顔なものを、 こう呼びます。
 >> 知らないうちに、変なところに、カネが流用されている。
 中国では、国家自体が、中国人自身の習性のために、コントロールできないのです。
対策としては、
 かつて、改革開放の前の中国に、外貨券があった(実際には1994年に廃止)ように、
 アジア全体で、各国が発行する通貨とは別に、新規の決済通貨をつくって、
 そこで、保証した金額のみを、多国間の貿易や投資の決済に用いること。
 もちろん、そのときには、不正流用ができないような仕組みを、参加各国から
 独立してつくり、 透明で厳格な管理を、毎日、実行できる体制が求められます。
> 東アジア共同体の実現には、 歴史認識の一致も不可欠ですが、
  この新規の決済通貨が生まれないと、 有機的な発展は、ありえないでしょう。
  「京の風」 新井信介からの提案であり、警告です。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。