過去からの「今」を見るか、未来への今を見るか。どっちが生き残るかは明らか。

 都知事選挙が始まりました。

人間には、それぞれ視野の違いがあります。

首相経験者でしか見れない景色があります。

現職の時には、既存の権力、柵(しがらみ)との戦いになりますが、一旦、その職を離れると、

そこには、大きな反省とともに、世界中の首相や国家元首、そして、歴史的名家との間で、

国家や貧富を超えた、私的な本音の交流が始まることがあります。

(そこでは、私たちの友人関係と同じく、個々の人間性が反映されますが)。

日々の生活に追われている人間に、そこに流れる時間軸や空気感は、なかなか想像できないもので、

まして、その時間軸で生み出される「人間社会の営みのリアリティ-」を実感することは、極めて難しいものです。

原発は、単なる発電装置に留まらず、戦後の日本社会ではマネー・ジェネレーター(カネを生む機械)でした。

そして、同時に、個体生命のイノチだけでなく、「イノチの流れ」をも破壊するものであることは、当初から、わかりきったことでした。ヒロシマ、ナガサキでは、最大の殺傷兵器だったのですから。

 しかし、これが、戦後復興の場で、電力の供給源とともに、僻地と土建屋にマネーを配る性格を持ったとき、日本人の意識が一変しました。国家権力と国家の権威が安全性に問題ないとした話の前に、思考力・創造力・洞察力に欠けた《カネくれ人間》には、そうした危惧や不安は、現実に存在しないもの、との信仰が始まったのです。これがいまでも続いています。

 目先のカネのために、思考を放棄した人間は、 誰かが用立てた「人生のメニュー」の中から適当なものを選ぶことはできます(実際には、そこでは自分自身が大変な選別に晒されます)が、 自分の魂が喜ぶ人生を、自ら作り出すことはできません。

 今は、人類文明6000年の分岐点です。

 人類そのものの種としての成長(意識の拡充)、進化(羽化)の最中です。

過去からの今 と、 未来への今。

過去からの「今」にいたがる人は、 今の事実・真実を、冷静に、きちんと見ません。

(「今」とは、人間社会の、その時点での規範・枠組み。)

きちんと見るとは、「お上」の大本営発表ではなく、その現場の人間に、直接確かめているかどうかと言うことです。

細川・小泉の両氏が言うように、今、ここで「脱原発」に舵を取らないと、日本は、とんでもないことになります。これは、世界中から、ますます、孤立するだけではなく、未来の希望を壊す選択になります。どれだけ大きな報いが来ることになるのでしょう。

人類の管理者は、冷厳です。 未来の種になる、「希望の主」を探し出し、それを育てる意志と同時に、過去に囚われた、甘ったれ屋の個々人には、全く無慈悲な結果が出ることを、当然と考えます。 

 自由意志があるのです。 そして、これまでの、人類の知的遺産を、どう吸収してきたか、その人個人の姿勢と存在価値が問われるのです。

 何のために、高等教育を受け、社会を経済発展させたのか? その社会で、今、何が、最重要課題なのか?

これまでの枠組みの中で、自分の取り分を拡大させたい、と言う人間の声は、 魂に響きません。それは、損得の判断からでるためです。

今は、そんな次元の問題ではない。

 既存政党の人間、そして、既存の経済や宗教などの団体の人間には、今の、この人類史的大変換の意義を、本当の意味で理解できないでしょう。

 知識、見識、肝識。 これは、人間社会の中でのことです。

しかし、現在、人類に課せられているのは、 人間社会(これは、人間界)ではなく、

地球上の生物界全体での、進路、選択肢の問題なのです。

 神は、自分に似せて 人間を創った。  《旧約聖書》

私たちは、創造者なのです。 羊ではないのです。もちろん、犬でもありません。

そして、 同じ人間を、 羊や、犬にあつかう、羊飼いでもありません。

 我々は、葡萄の粒である。その粒が房になったときに、神は現われる。 《ミトラの教え》

私たち個々人は、全知全能ではありませんが、「新人」として誕生してからの「20万年」の時間の中で、

今、ようやく、72億人の葡萄の粒で、神になりうる、場所に到達しようとしているのです。

明日、東京で、皆神塾です。 今の日本で始まった、路線闘争の、人類史的意義を研究することになります。

 

 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。