原発はそれを設置したり、維持すること自体に、差別構造を内包しています。
地方に仕事を与える、カネをばら撒く、最高の公共事業。これが原発でした。そして、放射能に関する迷惑賃として、多くの寄付金が立地市町村に届けられました。
中央(原発マフィア)と、貧乏な地方 という、差別構造があります。
これに加え、電力の消費者に、すべてのコストをそのまま負担させる体制(総括原価方式)を続けてきました。 ここにも、原発マフィアと、一般消費者という差別構造があります。
日本のエネルギー問題は、何も、電力問題だけではありません。しかし、 ガソリン・重油を除いて、全てを電力にすることで、独占する。これが、電源開発の意図でした。しかも、原発を造り続ける体制を、自民党の結党以来、国家方針にして推し進め、それで、地方にカネをばら撒き、政治家たちは、そこに寄生しました。
原発を造り続けては事故による放射能汚染は懸念されないといいつづけ(実際は、何回も漏れていた)、そして、「311」で現実に地球全体に広がる大事故がおきても、まだ、その被害を国家ぐるみで隠しつづけ、これまでどおり、維持、運用したがる。
これは、国家のエネルギー需要を騙りながら、継続的に国家マネーを奪い続けたいだけの、詐欺師、強請り、カツアゲ、ピンハネなど犯罪者集団の姿です。
原発廃止は、政治的主張としては、ワンイシューですが、実は、日本社会の全てに関わります。
そこで出てくるのは、①電力やエネルギーの安定化 の問題と、 ②これまで、地方にばらまいたカネや、原発関連の雇用がなくなりますから、ここの対策です。
①については、日本近海の天然ガスや自然エネルギー(太陽光、風力、水流)を電力にする方法が検討されていますが、それらをしないでも、地中熱のヒートポンプを普及させることで、夏場の冷房はいらなくなります。また、冬場の暖房には間伐材を燃やすことで、森林が美しく維持されるようになります。 さらに、家庭用の薪炭に、生ゴミ・堆肥・人糞をメタン発酵させたガスを使う地域を増やせば、電力の需要を極力抑えることが出来ます。
こうしたいろいろあるエネルギー利用を、何でもかんでも電力にして、しかも電力会社を地域独占事業体にして、その電力会社ではかならず原発を持たせるように仕向けてきたのが、電源開発を中心にした原発マフィアです。 しかも、ウランや天然ガスを、わざとアメリカ企業を迂回して高く買い取ってきた。そこでは、この原子力政策を推進する人間たちのフトコロに、どれだけの裏金が流れたことか。 このサークルの内側に入れることが、戦後の日本社会では、特権階級となっていました。(日本赤十字のサークルも特権階級ですが、こっちは規模が小さくより秘密性が高かった)
日本人は、これを、今後も継続するのかどうか、と言うことです。
自民党は、立党時の綱領にしたがって原発政策を継続させますが、これを、今回の選挙では曖昧にしています。また、地方分権を声高に叫ぶ、日本維新の会は、民主党同様、この構造にメスを入れられません。タレント弁護士橋下は、これが見えなかったし、ブレーンの堺屋太一が原発マフィア側の人間だった。なにより、党首になった石原は、この原発マフィアの重要メンバーだから都知事時代にいち早く放射能瓦礫焼却を受け入れた。
一方、小沢一郎は、「311」の震災後は半年も現地入りしなかったものの、この原発の実情をよく知っていた。自分自身がアメリカと一体化した司法に睨まれ、政治活動を制限されたが、今春からの官邸デモをみて、本当の国民の声を感じ取り、変わりだした。小沢は自民党時代は角栄の下で原発推進派だったが、国家を変えるには、原発政策を放棄するしかないとようやく気づいた。
②さて、原発立地と引換えに優遇された地域での、雇用はどうなるか、です。
この問題は、確かに簡単ではありませが、今、使われている補助金を、今後の地域発展に使えるように項目を変える必要があります。これには国家予算がどのように決められ、流れているのか、最終使用者の特定、金額まで公開することと平行して、地域の需要の発掘が必要です。
このとき、私たちは、二つのことを、克服しないといけません。
それは、地域の発展ビジョンを今後も国に頼るのか。 さらにこれまで同様、なんでもカネに頼るのか。
ここからの脱却です。
自分の住む(住みたい)地域が、地球全体でみて、どれほど貴重であるか、宝の山なのか、再発見が必要です。そこでは、自然と言う生命系での価値もありますが、人間の営みとしての文化的価値の再発見が不可欠です。特に、これまで明確にされこなかった、大宝律令以前の歴史事実を大胆に発掘する必要があります。
日本人とは、持統が生み出した皇祖神アマテラスを核にして中央集権化が始まり、大宝律令による制度化で、列島内にすむ人間に植えつけられた、新しい民族意識の人間を指します。 奈良~平安時代でも多くの史跡がありますが、今のグローバル化の時代に在っては、より広範な視野で、私たち日本人が形成される過程を検証しながら、列島以外との交流の足跡を追体験することで、多くの人間との心の交流が始まります。
しかも、原発のあるところは、どこも本来なら、風光明媚な美しい海岸です。特に若狭湾の敦賀は、ツヌガアラシトが303年に到着したところです。この人物を私はクシャーン最後の王カニシカ三世と睨んでいます。以後、若狭から能登・新潟までは越国と呼ばれ、奈良にできた倭国とは対抗しながら、半島の辰韓・新羅とどんどん交流したところです。
他に有名なものでは、玄海三号機のある佐賀県唐津から玄海町があり、ここは百済の武寧王ゆかりの地です。
まだ大事故を起こしていない原発を静かに廃炉・解体したあとには、それぞれの地では、世界中の人間と、3000年の交流の物語を追体験できる舞台になるでしょう。
そして、なによりも、今の福島県には放射能除去に関する国際共同研究施設をおきましょう
。起きてしまった事実を受け入れながら、どう対処するか?英知は民間にたくさんある。 しかし、いまある原発マフィアと一体になった行政の枠組みでは、そうしたものは、浮かび上がらない、掬い取れない、集め切れない。利権をもとめる詐欺師たちにパチモンが使われたままで、その予算が食い物にされてしまう。(それを311以後、やってきたのが仙谷のようだ。政権が自民党にもどったときは、今のままでは、甘利政調会長が仕切ることになるが、この人物は、利権を強化こそすれ、解体・解消するとは思えない。)
日本の国家戦略を考える時、この原発について、存続か、廃止か、で全てが全く変わってくる。 原発存続は、中央の権限の強化と、カネによる誘導を今後も続けることを意味する。
日本を真に再生させるには、地方の自律・自立と同時に、個々の国民に、マネー依存から脱却させる施策を同時に進めないと、民間の退蔵しているマネーが出てこない。生かされない。 高齢者は自分の孤独感解消と老衰に伴う体力劣化による困難さの解決に 「とにかく、カネが必要だ」という恐怖感でいっぱいであり、カネを溜め込むばかりだったが、 彼らが「これがあるなら安心だ」と、心を許し、その隠し持った資金を、自分と子孫の未来のために、自由に使い出さない限り、日本社会は、活性化しない。
それには、日本国内で(あるいは海外であっても)、カネがなくても、その地域で、一定の役務(これを各地方政府が住民とともに検討する)を果たすことを条件に十分にゆとりを持って人生の最後まで暮らしていける地域を作り出すこと。
全国各地でのセーフティーゾーンの設置、 被曝した子供の受け入れ(生活と教育の保障)など、新規におこなうべき事業は、あまりに多いが、原発の廃止が明確化しないと、こちらに行政の仕組みを変えられない。
こうした提案をしている間にも、巨大災害が起きる恐れがあります。 地方は、一次産業のイノチの現場です。気づいたものから、できる範囲で、実践するしかありませんが、こと政権選択と言う点で言えば、原発マフィアと一体である自民党では、これまでのマイナスを隠すことのみが優先してしまうでしょう。
彼ら(自民党)が日本中の工務店、建設会社の仕事を作るために、地中熱ヒートポンプに関心を向けることがあるのかどうか、ここも私は注目しています。