中国の農暦(太初暦)の成立と、日本最初の王権「ニギハヤヒ」誕生。

 こんにちは。 ここ数日、私がずっと追いかけていたのは、日本の王権の始まりである「ニギハヤヒ」と、古代中国、さらに、シュメールやヘブライのもつ「文明」の関係性でした。中でも今月に入ってから頭を離れない、中国の閬中(ろうちゅう)について、この地が、中国大陸でのシュメールやエジプトからの文明の吸収、そして、日本列島での文明化に、極めて重要だったのではないか、と気がつきました。

 紀元前4世紀に、戦国時代の秦が強大化していくとき、その主役は商鞅を追放した恵文王です。彼が、新たに王を名乗る時(BC324)、更元(年代の起年を新たに変更)しているのですが、そこには、ソグディアナを攻略したアレクサンダーの軍勢の関係者からの影響があったのではないか、と考えられるのです。惠文王は、このあと四川(巴蜀)攻略に向かい、そして、BC314に閬中に秦の郡邑を置きました。

 天府の地の兵糧を確保し、そして、天地の理(ことわり)を掴んだことで、秦はその後、強大になりました。

 BC221 戦国時代を統一したのは、始皇帝となる秦の嬴政(えいせい)です。皆さんもご存知のように、この人物は、荘襄王(惠文王の曾孫)の実の子ではなく、 商人から宰相になった呂不韋の息子でした。

 彼の幼少時の厳しい環境や、実父の遺伝子、そして、この人物を支える人間達が、中華の大地を統一させたのです。始皇帝は、文字、通貨、度量衡を統一した後、それまで、単なる概念だった「天円地方」を、実際に数値的に把握する試みを始めます。

 これは、秦の滅亡後、劉邦が漢を開き、その7代目の武帝劉徹のときの暦に反映します。それまでの暦は実際の季節の推移と、あまりに誤差が多かったので、武帝は司馬遷に命じ、天地の運行から外れない暦をつくれるものを探させ、司馬遷が推薦した男が、閬中生まれの天文学者、落下閎(らくか・こう)でした。

 http://big5.china.com.cn/culture/guoxue/2010-09/19/content_20963695.htm

 http://www.cjlr.cn/

 http://lz.ncta.gov.cn/web/t2/main.jsp?go=newsDetail&cid=3855&id=39398

 この人物が発案した暦が、今に伝わる太初暦、すなわち、農暦(太陰太陽暦)でした。 一年の始まりを朔(新月)の日(春節)とする暦で、一年を二十四節気で分けるのも彼のアイデアでした。中国では、この人物を、親しみと尊敬と感謝を込めて、「春節老人」と呼んでいます。

 つまり、閬中の地は、単に風光明媚な風水の古都であるのみならず、中華文化圏に生きる人間に、天地とどう調和して、生活を成り立たせるか、その智慧をもたらした場所でもあるのです

 そして、実は、前漢武帝に司馬遷がこの人物を推薦した翌年(BC109)、武帝は泰山の封禅に来なかった衛氏朝鮮に対し、軍船を使って軍事侵攻します。どうも、そのときの船団の一部が日本列島の九州にも入り込んでいます。これは、日本列島では、初めて、軍事的制圧の意志を持つ集団の上陸となりました。彼らが発する「気」は、それまでの和解・調和の周波数を激しく打ち破るものでした。 

 その反動で、縄文以来の精神性を共有する人たちが鳩首し、あらたな王権を生み出した。それこそが、ニギハヤヒである、と、私は確信します。しかも、その場所は、私の故郷、北信濃の柳沢遺跡です。

ちなみに、日本で最初に暦ができたのは、日本書紀によれば、持統天皇4年「勅を承って、初めて元嘉暦、儀鳳暦を行う」とあり、実際に使われだしたのは、二年後の持統天皇6年(692年)から、とされています。

 今の中国人は誰もが目先の金儲けに忙しく、この中華文明の真の起点になる街にまで、足を伸ばすものは、13億を超える人口にあっては、まだまだごく少数のようです。私の友人達は誰も行っていませんでした。

 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。