これは皆神塾の入門書ですね。『ロスト・シンボル』

 ダン・ブラウンの最新作「ロスト・シンボル」を読みました。
アメリカ合衆国の建国に込められた秘密結社フリーメーソンの秘密を、推理サスペンス仕立て
で上手に描き出しています。
 冒頭から主人公の友人として、最高位33階級のピーター・ソロモンなる人物が登場します。
その一族はワシントンに住む莫大な資産をもつ名家で、その妹キャサリンは純粋知性科学を
専攻し、なんと人間の魂の質量を計った人物でした。
物語は、「ダビンチ・コード」以来のダン・ブラウン作品ではおなじみの、ハーバード大学教授の
ロバート・ラングドンが首都ワシントンでの講演を依頼される所から始まります。
 そのとき、案内された講演会場に聴衆はなく、このピ-ターソロモンの右腕が発見されます。
そして、このソロモン一家に強い恨みをもつ若者からの謎めいた脅迫が始まります。
 物語の中で、911以後のアメリカのテロ対策の様子も描かれ、 21世紀の最新科学である、
純粋知性科学と宗教的信念の関係も描き出しています。
 事件解決後の最後部で、キャサリンは、 「人間は神の被造物ではなく、造物主」 であり、 
「人間の思考の力は、同じ思考を分かち合う者の数に応じて、幾何級数的に増大する
 ことが科学的に証明されているの」 と、ラングドンにいいます。
 西欧社会はキリスト教の影響が極めて強いのですが、ダン・ブラウンはこの作品で、フリーメーソン
が科学探求した歴史の視点を借りながら、 まだ蒙昧な人間は、唯一の創造主である神への信仰に
すがって生きるが、真実は、人間の精神(思考)がこの世の現実を作り出している と強調します。
 これは、皆神塾の視点と同じです。
このGWに、皆さんも、ぜひ、お読みください。特に、本欄をROMしている人は必読です。
アメリカがなぜ覇権国になったのか、その思想的背景はここにありました。
これは、私たち日本人が大いに学ぶべきことで、しかも、今後の日本人に不可欠なものです。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。