北の核実験は「脅しの道具」脱却のメッセージ?

昨日の北朝鮮の核実験について、いろいろ考えました。
なぜ、この時期に。
朝鮮半島の統一を推進していた、金大中、ノムヒョン政権が、
李明博に変わってから、日本人の拉致被害者救出と歩調を合わせ、
北朝鮮に対し、アメリカにもより強い対応を求めていた4月に、
ミサイル(人工衛星)が飛び、
日本は、国連安保理で、北朝鮮非難の議長声明を採択させ、
今回も、この核実験に対し、日本が安保理を代表して
声明案を出すことになりました。
北を、日本支配の道具にしていたアメリカは、
北が、現実にアメリカにまで届く脅威に育っていったことで、
もはや、 「自分の道具」を超えてしまった と言うことでしょう。
どうも、今、アメリカにも、日本にも、アジア政策に関し、
二つの勢力が、裏で大きな綱引きをして錯綜していると、
考えられます。
変わっていないのは、金正日 のみです。
体はやせ衰えても、 「何とか、国家を存続させたい」
これだけでしょう。
その彼を応援するために、核とミサイル技術を、
どこかが 提供し、育成している。
それを、これまでのアメリカは、対日政策で、自分にとって
都合のいい「脅威」になるように、マスコミを使って騒いできたのが、 
そうした、アメリカの戦略を知り抜いている人間が、
北朝鮮とも意を通じて、 その「脅威」を、さらに、マスコミを通して、
国際政治上での情報戦でより深刻に見せて、全世界にとっての
重大問題と認知させ、 世界中の人間から、
「もう、北朝鮮を 日本にとっての「脅威」でなくするように協力しないとだめだ」との
声が上がるようなシナリオを 書いているのかもしれません。
それで、日本が、 声明文を 書きます。
一国に、核とミサイルがあっても、隣国にとって、それが脅威かどうか、は、
その保有者が、自分の国に、敵意を持っているかどうかの問題です。
日本人が、拉致の問題の解決を、すべてに優先したときから、
日本は、国家を挙げて、北朝鮮に敵意を向けだしたことになります。
(それが、安部内閣をつくりました。)
そして、その日本は、アメリカに軍事支配されている。
これは、心ある日本人から見れば、 軍事占領されている、となります。
北にすれば、アメリカが外交上、自分のことを「敵」としない、とすれば、
それで解決です。
考えてみれば、
インドについても、アメリカは、かつては、敵国としていましたが、
核ミサイルを持った時点で、 アメリカは、インドを友好国にしました。
この事実をみれば、 朝鮮も、また、イランも、核ミサイルさえもてば、
世界最大の軍事大国の 敵 ではなくなるのです。
昨日は、朝鮮総連の結成記念日。
北は今、長崎原爆と同じ破壊力の核兵器を自分たちは持っている。
しかも、その核を、ミサイルでアメリカのハワイやアラスカに飛ばせる。
 「もう、自分を悪者にするのはやめてくれ。」
 これが、金正日の最後の願いでしょう。
今回の、北の核実験は、北にとっての国家存続の問題で、
しかも、外交上の国際政治の問題です。
日本の拉致被害者は、 国家間紛争の被害者の問題。
これも大変重要です。
しかし、 安定した国家同士の信頼関係がないと、
被害者は、今後も生まれます。
拉致は、見えない戦争状態での被害者でしたが、
本格戦争になれば、もっと大きな被害者が双方に出ます。
で、結論。
真に平和を作り出す国家 とは、どういう国家か、
今、日本が試されています。
国家中枢(麻生政権ではない)が、どう動くのでしょう。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。