「分かっているよ、シンゾー」と精いっぱい情けをかけてもらったね。「(五輪後の)3か月、北だけじゃなく、イランも変わったけど、お前はズット同じだった」

朝4時半。今しがた、ワシントンでの共同会見の様子を見終わりました。
トランプは、交渉術が本当に長けています。
昨年8月、安保理決議で、全会一致で、北に制裁となっていましたが、
その方向を、まったく変えず、この3月以降も、独自では北とは何の交渉もできなかった安倍政権。
それは、この4月には、「直接、何も言ってこないぞ」と金正恩に言われる始末。
そのときでも、「最大限の圧力」と安倍政権は言い続けました。
昨年の安保理での「一致での制裁」は、中国の国連大使の絶妙な機転で実現し、制裁の中身は、ほとんど効果のないものでした。
日米以外の国は、その安保理以前から、正式な国交がありましたから、当然、各国は、その「一致の制裁」以後も、
それぞれ独自で、北との「友好」交渉を進めていた。
その最たるものが、韓国です。 同じ民族で、同じ言語を話す。 しかも、オリンピックがある。
一方、米国に関しては、日本の横田基地には、ピョンヤンとの直行便が出ており、ここがこれまで、戦争屋の画策パイプでした。
平昌オリンピックで、妹の金与正が現れてから後、このパイプを使って、アメリカからもトランプによってCIA長官になったポンペオが暗躍し、北から、アメリカ人(半島系)3名を取り戻し、晴れて国務長官に昇格しました。
今回、会見後の記者会見で、安倍が横田めぐみさんのことを、再度、強調すると、トランプはポンペオの手柄に触れ、今、この3人が普通の生活に戻り、映画をみに行っていると話しました。
「友好的になった」。「6月12日から、素晴らしい時代になる」
「今まで、制裁を続けていた」。
最後は、シンゾー君の肩に後ろから左手を当てながら、両者は、ホワイトハウスの内側に消えていった。
さながら、大親分が、「まあまあ、おめえの立場はわかっているよ」となだめている格好です。
この会見で、トランプは拉致問題を「アベシンゾーの大きな個人的方針(Great Private Policy)」と言及したことです。きっとシンゾー君は、嘆願に近い形で、トランプに、シンガポールで話すようにねじ込んだのでしょう。
戦後の人類世界の、世界構造を変えるという立場で、指揮をとるべく登場した、トランプ。
このシンガポールでの米朝会談の前に、最も、マスメディアに直接、言いたいのは、
「イランもこの3か月で変わった」というように、 東アジアでも、構造が変わる という確信と仕掛けの成果です。
その中で、拉致問題は、これまでの構造(戦争屋主導の画策)が引き起こした問題で、すでに、そうした体制はもう変化しているが、
「最大限の圧力」という言葉は、「もう使いたくない」とここでも明言しました。それが、米国人3人の解放であり、大きな親書。
それゆえ、拉致にこだわり続けるのは、今の段階となっては、「安倍晋三個人の問題だ」ということになるのでしょう。
でも、最後は、シンゾーの肩をなでながら、「まあ、お前のメンツはつぶさないから」とでも、いいたげでした。
(トランプを登場させたチカラは)昨年の夏以来、ずっと、バカの一つ覚えで「最大限の圧力」を言わせ続け、その間に、どんどん「和解の手立て」を探り、それを実際に講じて、オリンピックを切っ掛けに現実の国際情勢を動かした。
4月からは、金正恩は、中国の習近平と直接、話してからは、どんどん、鎧を脱ぎだした。
しかし、戦争屋に「鍛えられてきた(曇りガラス・眼鏡の)」メディアは、貿易戦争の目くらましの陰で、この動き(トランプや習近平)が進展するのを全く洞察できず、現実の推移を素直に見れなかった。
4月、5月。イスラエルにあるアメリカ大使館がエルサレムに移ったことに、こうしたメディアは、またまた、イランとの緊張増大で戦争の危機を声高に叫んだが、
トランプは、イランは、この3か月で、全然異なる事態になっていると、この席で、メディア側に注意を促しました。
アメリカ国内のCIAが変わっていること(ポンペオの役割)。
それに、トランプ自身が、イスラエルの工作機関モサドを、完全に味方につけていることが、着実な「実」の変化を手にしているのでしょう。
さて、上記のように、昨年8月の国連安保理の全会一致での「北に対する制裁」から、この「友好」への変化は一体だれが、絵を描いていたのでしょう。
 この点を、明日、京都で、整理したいと思います。
やはり、なんといても、トランプと金正恩が、9月19日、「ロケットマン」「老いぼれ」と罵り合ったあとの9月20日がポイントです。
誰かさんは、国連総会の会場で「さらに強い制裁を、最大限の制裁を」と、ガラガラの会場で、演説しましたが、
その演説の日、その直前、 日本の陛下が、すでに退位が決まっている中で、高麗神社に行っているのです。
690年の持統の即位、701年に大宝律令で、日本という国が、対外的もきちんと成立したときに、
そこに至る過程で消えていった、半島の二つのクニ、 高句麗、そして、百済。
百済の王の血筋は、一旦、大津に都を造った後、桓武が平安京を完成させ、以後、ずっと日本の天皇という制度の中に、この血をもぐりこませていました。
しかし、高句麗はどうだったのでしょうか? 668年に滅亡しましたが、陛下は、これを見直せ、と、その行動でしめしたのです。
今、皇国史観教育の森友学園を強引に創ろうとした、日本会議の面々がよりどころにしていた神社界が急速崩壊中です。彼らは、小泉内閣で2004年に皇室典範改正の動きが起きた時、平沼赳夫らが「神武のY遺伝子」を守れと言い出してから、特に先鋭化し、民主党政権時代に、戦前の復古、すなわち、皇民化での思想統制に、道徳の基準を求めだしたのです。
戦前の皇民化は、「神武天皇の血が流れているのが日本人」で、その人間が指導する領域をアジアに広げる、大東亜共栄圏の理想を追求することでしたが、安倍とその仲間たちは、戦後に列島の統治体に向けられた「敵国条例」の存在の意味を忘れて、押し進め、そのために、自分たちの政権のやり方に、「滅私奉公せよ」と刷り込もうとしてきました。
 戦後の法治国家での法体系も、実際の運用で、それをするためなら、なんでもOK、自分は無謬である、とでも感じていたのか。
 この点を、きちんと考えていなかったのが、「黒塗り」された葛西氏を始め、日本会議、神道政治連盟の面々。
まあ、こうした、お粗末な思考力と、自分の過去を冷静に見つめられない精神性に、戦争屋がつけ込んでいたのです。
今、6月8日現在、森友や加計に国家の資産を流すときの手法が、「不起訴」処分で刑事罰に問われないというのが、日本の検察の判断ですが、 
安倍政権下で、日本会議が進めようとした、国家観と国家運営の姿勢・思想が、今の時代(世界潮流)に全くそぐわないものだとはっきりしました。
皇民化・大東亜共栄圏の思想で構築された国家権力の行使のやり方には、まるで、未来が見えなくなっています。
明治以来の、さらに戦後も続いた、
日本国の権力構造(「貴種」優越と、「忖度」官僚による構造的な行政の実態支配)が、壊れる合図になる。
それが、6月12日の、シンガポールなのでしょう。 
今回、アベシンゾーにかけたトランプの「情け」は、間違いなく、とてつもなく高いものになるでしょうね。 
巨大地震なんかが起きたら、それにもすぐには、払えなくなるでしょうけど。

講演会に参加しませんか?

講演会(皆神塾)を毎月開催しております。時事問題から、歴史、経済、宗教等々様々な分野についてお話します。
Youtubeやブログで新井を知ったという初めての方でも大歓迎です。最新の講演会については下記バナーよりお申し込みください。


ぬなとショップおすすめ商品

『瓊音倶楽部』『皆神塾』のご案内

何のために、私たちはこの世に存在するのか?
この問いは、6000年前に文明が始まった時から続いています。
瓊音倶楽部では、この問いに対して、人体(機能)と心(魂)からなる「人間」を見つめます。
人類は、文明を生み出しましたが、それによって生きている人間の喜びが、つぶされては意味がありません。
どんなに喜び、生きるのか?私たちは、皆さんと一緒になって考えていきます。(注)「瓊音」とは、全てのイノチのヒビキのことです。

『皆神塾』:文明アナリスト・新井信介を中心に、隔月で開催する勉強会です。時事問題から、歴史、経済、宗教等々様々な分野の問題を解き明かしていきます。

(注)『皆神塾』は隔月で開催しており、講演内容はDVDに収録して販売しております。
詳細については「瓊音ショップ」をご覧ください。

『瓊音倶楽部』:会員制(有料)で、毎月1回情報誌をお届けしています。
「皆神塾」や「ブログ」などでは、お伝えできないようなオフレコ情を含めて、「明確で強いメッセージ」を会員限定でお届けしています。

また、月次でレポートをお届けするだけではなく、様々な特典がございます。詳細については、以下の「瓊音倶楽部のご案内」(PDFファイル)をご覧ください。
》瓊音倶楽部のご案内(PDFファイル)

「皆神塾」「瓊音倶楽部」についてご興味のある方、ご不明な点がございましたら、下記問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
》お問い合わせ

この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。