<宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判>の「第10回口頭弁論」…命が「つなぐ」ものであるのに比して、放射線の「切る」という性質は、暴力の本質を表しています

<宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判>

「宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(略称:宗教者核燃裁判)」の「第10回口頭弁論」が6月4日に開催されました。
本件について「原発を止めた裁判官」として知られる樋口英明元裁判官からご連絡を頂きました。
また、その口頭弁論では、原告の一員で真宗大谷派光円寺の僧侶、後藤由美子さんが意見陳述をし、その内容のスクリプトを樋口元裁判官から頂きましたので、ぜひ、皆さんとシェアをさせて頂きたいと思います。
なお、後藤由美子さんは、東京電力福島第1原発事故の避難者を支え続けている僧侶です。
後藤由美子さんの意見陳述の内容は次のリンクからご覧ください。
→ 260609_宗教者六ケ所再処理工場運転差止裁判 原告意見陳述
→ 宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(宗教者核燃裁判)

なお、個人的に、その意見陳述で大変印象的だったのは、「命が「つなぐ」ものであるのに比して、放射線の「切る」という性質は、暴力の本質を表しています」という主張で、この考え方は意見陳述全体に浸透しているもので、「宗教者」らしい考え方ともいえると思います。

この「宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判(略称:宗教者核燃裁判)」について、あまりご存じのない方もいらっしゃるかと思いますので、以下、その内容をご紹介させて頂きます。

この「宗教者核燃裁判」は、仏教やキリスト教、神道など、宗派や信仰の垣根を越えた全国の宗教者・信仰者たちが原告となり、青森県六ヶ所村にある核燃料再処理工場の運転差し止めを求めて起こした裁判です。
この訴訟の概要と主な争点、特徴を次の通りです。

<訴訟の概要>
原告: 全国の僧侶、牧師、神職、および一人の信仰者たち(提訴時は約211名、その後250名以上に拡大)。
被告: 日本原燃株式会社(再処理工場の運営主体)。
管轄: 東京地方裁判所。
提訴時期: 2020年3月9日。

核燃料再処理工場は青森県の施設であるにもかかわらず東京地裁に提訴されたのは、この問題が持つ危険性や倫理的な問いを広く全国に発信し、共有したいという原告側の意図によるものです。

<主な争点と特徴>
この裁判は、これまでの原発差し止め訴訟とは異なるいくつかの大きな特徴を持っています。

1. 「核燃料サイクル」そのものを標的にしている
従来の多くの裁判は個別の「原子力発電所」の稼働差し止めを求めるものでしたが、この裁判は原発から出る使用済み核燃料を集めてプルトニウムなどを取り出す「核燃料サイクル事業の中枢(再処理工場)」のストップを求めています。原告側は「ここ(再処理工場)を止めれば、全国の原発が機能しなくなり、原発体制そのものの息の根を止めることができる」と主張しています。

2. 技術論だけでなく「宗教的・倫理的責任」を前面に出している
宗教者が主導しているため、単なる法解釈や技術的な安全性にとどまらず、「いのち」の尊厳や後世への倫理的責任が強く訴えられています。

次世代に処理不可能な高レベル放射性廃棄物を残すことは、今を生きる人間の傲慢であり、倫理に反する。

核燃料サイクルは「いのちのサイクル」を破壊する「死のサイクル」であるとし、憲法が保障する「生命をつなぐ権利」や幸福追求権に違反している。
※このあたりの主張は、後藤由美子さんの意見陳述の中にも出ています。

3. 地震想定(基準地震動)の不合理性の追及
技術的な争点としては、日本原燃側が想定している地震の揺れの強さ(基準地震動など)の甘さが厳しく追及されています。
弁護団(河合弘之弁護士や井戸謙一弁護士ら)は、東日本大震災をはじめとする過去の実際の観測データと比較して、日本原燃側の地震動評価は「距離が近いにもかかわらず、揺れの想定が低すぎるなど、信頼性や合理性を欠いている」と指摘しています。また、元裁判長の樋口英明氏が提唱する「誰にでもわかる平易な論理(樋口理論)」をベースにしたアプローチも取り入れられています。

<現在の状況>
2020年の提訴以来、コロナ禍による遅延や非公開の手続きなどを挟みながら、審理(口頭弁論)が重ねられてきました。2026年現在も東京地裁にて法廷論争が継続しており、原告側は日本原燃側に対して「安全だとする根拠の立証責任」を果たすよう求めています。

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