記紀の両方にある、二人のハツクニシラス。
初代 カムヤマトイワヒコ(神武) と 第10代 ミマキイリヒコ イニエ(崇神)。
これは、前者は「ヤマト」の「イワレ」が列島に入ったことを国家の起源とし、
後者は、 現実に、日本列島で、大陸型の統治(支配)が始まったこと を意味する。
この事実の歴史年代を 如何に隠すか? さらに、自分の権威の確立に繋げるか?
これが、壬申の乱を体験した不比等が 物語をまとめるにあたって腐心したこと。
そのために、列島で体験した「事実」に関し、スピリチュアルと地球外からの関与を合わせ、
神様界の物語を創作して交え、この二つの事実とユーラシアで実際にあった政治興亡を
列島の日常と、いかに引き離すか、この工夫がなされた。
なぜ、それが必要か?
鎌足・不比等は、列島発の部族の出身ではなく、7世紀の時点で後発の外来で、権威とすべき
ウマヤドの死後、朝鮮半島をめぐる唐との戦いである、白村江で 百済人によって、
列島内の高句麗勢力(東国勢)が敗れ、百済人が唐の高宗に認められ、正規の倭国の大王になった。
それが中大兄(百済のギョーキ)で、中華が認める「倭の大王」として鎌足に対し、死の間際、
大織冠の官位を授けた。
鎌足の死後、近江に集まった百済人と、東国(高句麗勢力=大海人)との戦いは、壬申の乱となった。
この中で、鎌足の息子の不比等は、戦乱を避け近江から大住の地に逃げていたが、ここで
列島での政治的安定のためには、絶対権威となる物語が不可欠と痛感し、そこに自らの一族の永続的な
「権威」の確立するように、建国物語(ナラティブ)の必要性を感じ、それを国家事業として制作した。
さらに、ユーラシアとは切り離された形で、日本列島での「国譲り」神話のもとになる、事実上の「大政変」が
紀元後3世紀に、大陸でも列島でもあった。その意味と、両者は極めて強く関係していた事実を 巧妙に隠し
続けるために、天空の神様界から、人間世界の界への降臨という形で、列島での「権威」を作った。
これは、古事記では、旧約聖書や中国の史書を参考に宇宙開闢の物語を語り、その主役がアメノミナカヌシ。
一方、列島に誕生した、中華皇帝も認める王権の威光については、物語を列島に限定して日本書紀を描いた。
その物語の中では、始まりは 国常立 となった。
さらに、ここには、ウマヤドに関することが書かれ、壬申の乱の勝者 大海人(天武)の妻の
ウノノササラが、その孫とされる人物に 譲位するまで書いた。