明治以後の近代日本が忘れたのは、相克・相生の後者。効率による経済(マネー)の発展を求めず、人間が生きている空間を自然と響き合う芸術作品のような暮らしで恒常的に美化・安定させること。

こんにちは。GWもあと二日ですね。令和がどんな時代になるか?いろいろ現状を考えているうちに、もう5日です。
1)景気はどうなの?
3日にはまた助っ人が来てくれました。彼とは日本列島にいる「上級国民」の意識・感覚が如何にして生まれたのか、をよく話しました。
今後の経済をどうするのか?現状はどうなのか?実は友人に、つい最近まで中央線沿線でもっとも賑やかなエリアにある、大手銀行支店長をしていた人がいます。彼と話しました。
 今の景気はどうなのか?どうも、銀行のお金の流れからすると、結構富裕層が多いという地域でも、4人に一人が、着々と預金が増えていくのに対し、それ以外の人は入ったものはすぐにその月に消える、という状況だと言います。前者はどんな人か?それが、公務員、大企業、そして、地主さんとのことです。
首都の東京でもこれが現実。一般ピープルは貯めこんだ老人の預金以外、何も残らない。これがアベノミクスの成れの果て。6年半前に安倍政権になって、「成長戦略」と言っては、ゾンビ企業に資金を投入し、さらに、何かやっているふりをするために、効果も分らない政策に資金を振り向け、そこに多くの公務員を配置してきた。
現場では生活が苦しむ人がいても、そこに時代に合わせた新しい生き方、相互扶助の在り方も全く検討してこなかった。これまでの枠組みで国家マネーを流す。そして、大企業にも多くの補助金をだす。その資金源は、広く浅く、列島民全体からとる。そして、肝心なイノベーションについては、最重要なエネルギーについて、原発と火力発電のみを優先するから、新規の技術的な発展は阻害してきた。
その中心が、どうも、安倍が勲章を贈った、あの池袋プリウス暴走爺さんだったようです。
なさけないことに、ここに、司法もメディアも完全に忖度。いや、何かに怯えていたのかもしれませんね。それでも、今週発売の週刊文春はこの人物について少しは触れていました。やはり、時代が変わりだしたのでしょう。
2)皇室典範の改正?男系男子にこだわる?
あの事故が起きて、そして、令和の御代に。日本国民には、なにかすっきりした、そして、正月が来たような気分を感じたのは確かでしょう。
しかし、ここにきてまたぞろ「男系男子」を謳う皇室典範の改正の是非について、騒ぎが始まったようです。この件について私見を言えば、もう、天皇とは、普通の人間で、国と国民統合の象徴という、単なる役職を引き受けた人ですから、皇族(皇統譜に載っている人物)に限らずに、適任者を、日本国籍の人間から後継指名すればいいではないか、と考えます。そして、その仕事を支える人間を、世界中から、日本国と、日本国民を愛する人間をボランティアも含めて、募ればいい。宮内庁の存在自体を、雲の上にしてはならない、というのが、私の意見です。もちろん、礼儀や品格は不可欠ですが、これは、その人間の心が醸し出すものです。
 今から15年前、2004年の小泉内閣時代、今では新天皇の愛娘である、愛子ちゃんへの皇位継承の道を創ろうとした人たちに対し、徹底反対の声をあげたのが、神社本庁・神道政治連盟の人たちでした。その騒ぎは宮内庁や財界をも二分し、かなり厳しい対立になりましたが、このとき、秋篠宮家に悠仁クンが誕生し、この騒ぎは沈静化しました。
しかし、令和時代に入る直前、その悠仁クンに嫌がらせ。秋篠宮家は眞子サンのお相手のことといい、ご難続きです。で、不思議なことに天皇の外戚にあたる小和田恒さんの消息が分かりません。皇后のご尊父なのですから、メディアにも出てきて良さそうなのですが。
 外務省事務次官からハーグの国際仲裁裁判所で11年間も日本代表判事を務めたかたですが、いまいずこ?噂通り、スイスに足止めのママなのでしょうか?
 2004年の女性天皇公認騒ぎの時、日本政府の事務方のトップで事務次官会議を主宰していた、官房副長官の古川貞二郎氏が、久しぶりにメディアに露出です。このままでは、「日本(統治体?、日本国民?)の未来」がどうなるかを心配してのことでしょう。以下に、時事通信のインタビューに答えた記事を上げておきます。
☆「女性・女系天皇」検討を=古川貞二郎元官房副長官インタビュー
-新元号が「令和」に決まった。
 新しい時代は、人々が美しく心を寄せ合う時代になってほしい。そのシンボル的な意味で良い元号だ。今回は日本の古典を典拠としたが、今後も日本の古典だけでなく、漢籍も含め、その時代に一番ふさわしい元号を虚心に選ぶ態度が必要だ。
 -安定的な皇位継承が今後の課題だ。
 大問題だ。象徴天皇制は日本国民の心のよりどころになっている。これからもずっと継承していかなければいけない。政府は待ったなしで検討してほしい。
 -古川氏が委員を務めた小泉内閣の有識者会議は女性・女系天皇を容認する報告書をまとめた。
 前提として、男女共同参画社会だからとか、欧州の王室は女王が増えているからとかいうことではなく、皇位の継承者が少なくなっていることから議論した。皇位継承が危ぶまれている背景には晩婚化と側室制度の廃止がある。女性天皇は、文字通り女性の天皇。女性天皇から生まれたお子さんは、男の子でも女系天皇だ。女系を認めないと一代先送りするだけだ。皇位の安定継承を考えると、女性・女系天皇まで広げた方がいい。
 -女性宮家の創設は必要か。
 必要だ。7割が女性・女系天皇に賛成という世論調査もある。政権はそうした声に虚心に耳を傾ける必要がある。
 -旧宮家の皇籍復帰については。
 いくつか問題がある。そもそも象徴天皇制は国民の信頼、深い絆の上に成り立つ。今の天皇家と旧宮家は600年前に分かれており、国民が納得して受け入れるかどうか。手を挙げる方がいるかどうか。仮に(復帰を)認めても、男系男子に限れば、晩婚化などで早晩同じ問題が出てくる。現実に即した議論が必要だ。
 -いつから議論を開始すべきか。
 早ければ早い方が良い。(秋の皇位継承)儀式を待たず、早急に議論すべきだ。政府がリードしないとできない議論だから、真正面から取り組んでほしい。
 -陛下のお気持ちの表明を受け、一代限りの退位特例法が制定された。恒久的な制度は必要か。
 超高齢化社会と、国民に身近に寄り添っていくという象徴天皇制の役割を考えると、検討する価値はあると思う。ただ、時間をかけて慎重に検討すべき問題で、国民的な議論が必要だ。

3)国家(統治体)の存立目標を変えましょう。
で、この元高官の古川氏を始め、高級官僚、そして世襲資産家の方たちは今の日本列島の現状をどこまでご存じなのか? 一応、安倍政権がありますが、この6年間の荒廃ぶりを真剣に修復させようとの気持ちがあるのでしょうか?昨日は、大阪で高校生の飛び降り自殺がありましたね。今の現状の先に、未来をきちんと見据えて、実態をきちんと変える、政策を考えているでしょうか?日本の支配層は今、それも日本国という統治体は今、本当に、列島民の為に、存在しているのでしょうか?
これまでの明治以来の統治体、特に戦後、この国の政府は、全ての日本人にマネーだけを見つめさせ、なんとか、自分(一部の特権層)にとって、使える戦士(企業戦士)にすることばかりを考えてきたのではないか、と思えるのです。そこでは、競争に打ち勝つ、「相克」の面ばかりが強調され、それが実際に、時代遅れで負けているにも関わらず、無理して、その体制のまま、延命させてきた。
なぜ、そうなのか?というと、高度成長期の「相克の世界」以外を全く想定してこなかったから。戦後直後は、その企業の中に、家族のごとく、「相生」の論理を抱えてきたが、それが、21世紀の小泉内閣以降は、それがなくなり、企業は、大学生にも即戦力を求め、企業内で「育成する」という姿勢も無くなった。
 確かに、地球規模の企業同士の戦いの中では、徹底した「相克」の論理が必要ですが、この場合、そうした企業社会とはちがった、「相生」の論理が展開される世界がすぐ横の日常の生活空間に控えていることが、絶対的に必要です。競争で負けたり、疲れたら、いつでもとっぷりと入って行ける「尊厳と生存が保証された、イノチの世界」。
 それは、単に、生活保護や、失業対策、といったものではなく、マネーを追いかけるのではなく、それぞれの人のペースで、十分に、高度の文化的生活が営め、持続性のある世界です。
 企業論理ではなく、一緒に、生きているという共感から、疑似家族となって支え合うものです。
そうした人間の集まりでは、生存を最優先にして、相互にマネーをできるだけ発生させない。それでいて対外的には、マネーと交換しうる「富」を生み出す。その分配は、域内に住む人間のイノチと尊厳を最優先するために、完全合議制を取る。最も簡単で、最大の富とは、美しく、手の入った自然と調和した田園です。そして、そこに、いるだけで、心も、身体も、健康を回復するだけでなく、みずからの、人間として生きている、誇りを懸けた、生活ぶりの発信です。
 企業社会がマネーの論理で「富」を生み出す戦いの場なら、こちらは、生きているという共生での共感で、「現実の生存」のための空間創りです。企業を誘致するのに地方自治体が資金を使っても、企業は、都合のいい時だけ、つまみ食いするだけで、現場の人間の生活を永遠に保証するものではなりません。マネーの論理で、儲かるから、来るだけです。しかし、実際の人間の生活は、そうはいきません。
 皆、生きています。中には、大きなハンディキャップを抱えた人もいます。もちろん、そうした人でも、戦える人もいるでしょう。でも、高齢者や病人はどうでしょう。いつまでも働ける、というよりも、いままでも地域で重要な存在としてあったように、健康にその日まで暮らす。これには、とにかく、相克ではない、夫々が空間と仲間のために役務を引き受ける、相生の論理で構成された生活環境が必要です。これには本来、農地や森のある地方が最適なのです。(以前、紹介した、九州の「サイハテ」はその一つのモデルです)
 今、日本全国には、820万戸の空き家(一軒家)があります。そして、北海道では、すでに、静岡県にに匹敵する面積が、外国資本に買われている、と言います。
 統治体として、マネーだけで計るのか?大地自然と人間の関わりでは、何が、最適なのか?これを、まっさらにしてやり直した方がいいのではないか?
小さな独立エリアをどんどん創らせる。あるいは、そこからやり直すと決意するものを応援する。なにか、そうせざる負えないような事態が、この令和の時代、それもそう遠くないときに、出現するかもしれません。天地自然、お日様を味方に。今の私は、こんなことしか言えません。そのときには、国家のあり方そのものまでやり直す程の試練、そして、新たな文明の利器が、私たちすぐ横に控えているはずです。
 生きている空間作り、という視点で、全ての省庁が一致した時に、この日本列島は、世界人類の希望の星になるのですが、それをわかる財界人や教育者が果たしているかどうか? 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。