劇場で映画を見るのは、今年になって二回目です。前回は、中国映画でハリウッドも支援した『崖上のスパイ』でした。
今回はキアヌ・リーブス主演の人気シリーズ『ジョンウィック』です。今回は昨年見た『007』と同じく、シリーズ最終回(?)となるもので、主人公が、最後にパリで「一対一」の「決闘シーン」となり、そこでの負傷が原因で深手を負い、用意された墓に埋葬されるというストーリーで描かれています。これで、最高の「ナイフ(殺し屋)」として育てられた「ベラルーシの捨て子」が、愛する妻と一緒になれるという筋書きで、その墓を見せてエンディングになります。
(ただしシリーズ第五作の制作も始まっている、という話も、第4作「コンセクエンス」の公開直後に囁かれているのですが・・・)
第4作は、シリーズの第一、第二、そして第三作を引き継ぎ、冒頭からモロッコが舞台です。その後、大阪、ベルリン、パリと世界を駆け巡ります。物語は、アラブ世界の裏社会代表であるモロッコ首長と面会を果たしたものの、ジョンはその本人を殺害してしまったことで、地球中の「闇世界」(主体連合)すべてを敵に回すことから始まります。主体連合側は、各国の闇勢力のすべての株式(運営権)をフランスの貴族に売渡し、ここが、ジョンウィックの存在そのものを許せないとなったのです。
ジョンは地球中を逃げ回るしかないのですが、逃げ場所はあるのか?それを匿ったのが日本の大阪に本部のある島津という任侠勢力で、それを演じたのが真田広之です。全世界を敵に回すことになったその境遇を知りながら、ジョンを守るために義理と人情の「兄弟愛」で、主体連合の追手たちと大戦闘を繰り広げます。その中で島津は命を落とし、戦闘に加わっていた島津の娘は復讐を誓います。
何とか生き延びる手立てはないのが? 彼らの魔の手を終わらせる道はないのか?
一つだけ方法がある。それは、人類世界の近代化が始まるころからの抗争解決の手段であった、「決闘」に持ち込めばいい。
それには、まず、ジョンウィックがベラルーシ貴族の一員に正式に戻って、その一族の人間として、そのフランス貴族に「決闘」を申し込めばいい。その時には、ちゃんと、正規の立会人(これが、重厚で老獪な英国紳士)の監督下で勝利すればやれば、生き延びる可能性はある。
しかし、どこで、どのような条件で「決闘」をやるかは、そのフランス貴族の出す条件をのまねばならない。
「決闘」・・・これをフランス貴族はのみますが、このとき現れるのが、かつてのジョンの友人で、盲目の「使い手」のケインです。さながらチャイニーズ「座頭市」で、闇世界の元締めの貴族は、彼を決闘での自分の代理人に指名していたるのです。実は、ケイン本人はすでに足を洗い、娘もできて平穏な生活を送っていたのでしたが、その娘がバイオリンの名手であることを「闇勢力」は突き止められており、ジョン殺害のために呼び出したのです。
決闘の場面はエッフェル塔が見下ろすパリのある寺院の前です。それも早朝の「日の出の刻」。その指定された時刻に、その場所にジョンが現れなければ、ジョンの負けとなります。
この決闘情報は「闇世界」に告知され、その時までにジョンを殺害すれば、貴族側から大金が得られると通知され、果たして、ジョンはその場所にたどり着くことができるのか?次々と襲いかかる暗殺者をやっつけ、寺院に近づけば近づくほど、その報酬がどんどん上がっていきます。そして、ここから、映画は、決闘のクライマックスに向かっていきます。
これ以上は、ネタバレなので書きませんが、私は、深く考えこんでしまいました。
最後は、イギリス老紳士の監督下で、フランス貴族が指名した代理人との拳銃での決闘。その相手が、かつての友人の「盲目の使い手中国人のケイン」。
「今」を語っているなと。
この映画で使われたパリの決闘場面の地は、必ず観光名所になるだろうなと。自分も是非、行ってみたい。エッフェル塔の近くだけどね。
それにしても、いい映像を撮りますね。
お勧めですよ。日清戦争後、20世紀は、全世界は、イギリスを受け継いだアメリカの世紀だったのですが、どんな勢力が背後にいたのか、『ジョンウィック』シリーズは、見事に暗示していました。
それにしても、この監督、スタッフ(特に脚本家)ちゃんと、日本映画「座頭市」を見ていたのですね。そして、これからの人類世界は、闇勢力まで「これから変わるよ」というメッセージにも、私には、受け止められました。