疫病鎮圧とヤマトネコ:崇神時代の三輪山惨事に大田田根子、不比等の薨去時、宇佐と中津の鎮疫祭(おしんげや)、法隆寺夢殿を造った行信と法華滅罪之寺の光明子。

パンデミック。疫病の大流行は日本列島でも太古から有った。民間の「虫送り」以外に、権力者側が、どう対峙したか、疫病退散の秘法・風習がありました。その「イワレ」を再考すると、実在の神(自然界の摂理)と、人間世界の関係を見直し、その対処方法も探し当てることができるのではないでしょうか? ちょっと書き出してみます(他にもあるでしょう)。

1)第10代の崇神(記紀では、二度目のハツクニシラス)のとき、三輪山で疫病が大発生。このとき「三輪山の神が大田田根子に祀らせよ」。大田田根子とは何者か?

「根子」には縄文からの精神を受け継いでいる、との意味があります(全国に、根子岳がたくさんあります)。「大」「田」は、ともに、部族の名前でしょう。

三輪山の西側は「ヤマト」の地ですが、記紀には、「ヤマト・ネコ」を冠した和風諡号を持つ天皇が多くいます(後述)。

2)宇佐と中津では、720年不比等の死去のときに起きた薩摩隼人の反乱に関する伝承があります。隼人反乱の原因は何か?鎮圧には3年かかったが、最後は、中津の薦神社から「薦枕を持ってくる」と鎮まった。

宇佐神宮(八幡総本宮)には次の伝承があります。「養老4年( 720年)隼人が反乱を起こすと、大和朝廷はそれを鎮定するため、一万人の兵隊を南九州に送ります。宇佐の人々も八幡神を神輿(みこし)に乗せ、鎮定に赴(おもむ)き、3ヵ年にわたって抵抗する隼人を平定して、同7年( 723年)に帰還したと言われます。そのとき、100人もの隼人の首を宇佐へ持ち帰り、宇佐神宮より西約1kmの所に葬って凶首塚を建てました。」

上記の中の「八幡神」と書かれたものが、中津の薦神社の「薦枕」です。これが、今の日本各地の神社のお祭りで担がれる神輿の原型と呼ばれます(注;神輿には東大寺ゆかりの説もある。大仏の鋳型ができた時、その表面に貼る金が揃うかどうかを心配した時、宇佐の女禰宜、大神杜女(おおがのもりめ)が大丈夫という神託を伝え、彼女を東大寺が迎え入れるときに、紫の輿(こし)に乗って転害門(てがいもん)をくぐった。こときの「輿」という説)

中津と宇佐に伝わる祭が鎮疫祭(おしんげや)。私が1998年最初に宇佐に行ったのはこの祭りを見る為でした。いまでも、般若心経の読経から始まり、最後は舞楽「陵王」です。

3)729年、長屋王の死を聞き、大宰府にいた大伴旅人が大いに嘆いた。その心を押し殺して開いた「梅花宴」。ここに「令和」。このあと平城京を天然痘が襲う。737年不比等の息子4兄弟が全員死去。

行信がウマヤドゆかりの法隆寺の中に、八角堂(夢殿)を造る。この中に、救世観音菩薩(これは長屋王の似姿だった)が安置された。

4兄弟の妹で首皇子(聖武)の后、安宿媛(母は犬養三千代)が北信濃の小菅神社・北竜湖、さらに野沢の湯治場にいく。ここでイノチの真意・ブッダのヒカリの実態に浸り、覚醒する。以後、自らを光明子と名乗り、奈良にある自分の住まいを「法華滅罪之寺」とする。これが総国分尼寺になった。

今、イタリア北部で新型コロナウィルスが猛威を振るっています。カトリックの聖職者の死去も多い。

カトリックはコンスタンチヌスが改宗して以来1700年に渡り、神と人間の間に介在した、人間社会での政治的な「独善の信念体系」でした。今、これを壊せと、リアル(実存)の神・・・天上のカミ(太一)と地球の神(根底)が動いていると私は感じます。

これこそ正に、黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)の向こうに押し込められた、『イザナミ』の復権です。

白山に最初に祀られていたのはイザナミでした(これは崇神以前からで、ヌナカワの霊のこと)。イノチの元、水分(ミクマリ)の神と同体でした。白山のこの神を、不比等が列島の権力造りの為に独占的に使いだしたのが、717年(養老元年)「泰澄による白山開き」でした。この年、大和朝廷は長安に遣唐使。その中に不比等の3男、馬養がいた。この人物は帰国後、宇合となった。

今回の新型ウィルスは、

不比等が作り上げた「ヤマト・ネコ」を、単なる政治概念の呼称でなく、私たちが、地上の三次元リアリティ-での「実在のヒビキにする」ことで治まるのでしょう。「ヤマト」とは、本来、「部族統合による救済」のはずでした。そのとき、縄文の精神、徹底的なリアリティーのなかでの真実の響きでの繋がりを、最高の価値としていたのです。

欠史八代の天皇の和風諡号に「ヤマト・ネコ」が着く天皇が3人います。7,8,9代の天皇名です。その前に、参考になるのが、4代懿徳、5代孝昭、6代孝霊ですが、ここには、いずれも根子がない。

4代 懿徳は、古事記で、大倭日子鉏友命(おおやまとひこすきとものみこと)・日本書紀で大日本彦耜友尊。

5代 孝昭には、オオヤマト(大倭)もなく、ミマツヒコです。古事記で、御真津日子訶恵志泥命(みまつひこかえしねのみこと)。日本書紀では、観松彦香殖稲尊と、「松」の字が使われています。

6代 孝安には、オオヤマト(大倭)はありますが、根子がありません。大倭帯日子国押人命(おおやまとたらしひこくにおしひとのみこと)・日本足彦国押人尊

7代 孝霊になると「ヤマト・ネコ」が揃って付けられています。日本書紀では「フトニ」のところに、宝石を表す「瓊」の字が使われています。私はこの人物を「フトニ」と呼んでいます。(記)大倭根子日子賦斗邇命(おおやまとねこひこふとに)、(紀)大日本根子彦太瓊尊。

8代 孝元;クニクル 大倭根子日子国玖琉命(おおやまとねこひこくにくるのみこと)、大日本根子彦国牽尊(紀)・

9代 開化;オビビ 若倭根子日子大毘々命(わかやまとねこひこおおびびのみこと)、稚日本根子彦大日日尊(紀)    ・・・  です。

「ヤマト・ネコ」は、各天皇の意味付けを示す尊称でしょう。3世紀の実在ハツクニシラス(崇神)以後でも、和風諡号にこの尊称を戴いた天皇がいます。清寧、持統、元明、元正、桓武です。また、日本書紀の中で、自らこの尊称を最重要場面で言ったと記されているのが、天武です。

22代 清寧:シラカ (記)白髪大倭根子命(しらかおおやまとねこのみこと)・(紀)で、白髪武広国押稚日本根子天皇

※40代 天武の和風諡号「天渟中原瀛真人」で、ここには「ヤマト・ネコ」にありませんが、書紀の本文には、天武12年(683年)元旦、天下に「天道を号令する」ときに、詔の中で「倭根子(ヤマト・ネコ)」の記載があります。 丙午、詔曰「明神御大八洲倭根子天皇勅命者、諸國司國造郡司及百姓等、諸可聽矣。朕、初登鴻祚以來、天瑞非一二多至之。傳聞、其天瑞者、行政之理協于天道、則應之。」

41代 持統:鵜野讃良。吉野に31回行ったあと伊勢に参拝。
和風諡号は、書紀では「高天原 廣野姫 天皇」(たかまのはらひろのひめのすめらみこと)ですが、続日本紀では「大倭根子天之 廣野日女 尊」(おほやまとねこあめのひろのひめのみこと)です。

43代 元明;諱は阿閇(あへ);鵜野の妹。草壁の妻。 続日本紀では、
日本根子天津御代豊國成姫天皇(やまとねこあまつみしろとよくになりひめのすめらのみこと)

44代 元正; 諱は氷高(ひだか)・日高、又は新家(にいのみ)
日本根子高瑞浄足姫天皇(やまとねこたかみずきよたらしひめのすめらみこと)

45代 聖武 首(おびと);和風諡号に「ヤマトネコ」はありませんが参考までに書くと、天璽国押開豊桜彦天皇(あめしるしくにおしはらきとよさくらひこのすめらみこと)

46代 孝謙;阿倍(あべ) 和風諡号はないが、続日本紀では終始高野天皇と呼ばれ、高野姫天皇・倭根子天皇(やまとねこのすめらみこと)とも呼ばれたこともある。

50代 桓武:山部王。高野新笠の長男。この天皇の和風諡号がすごい。
日本根子皇統弥照尊(やまとねこ みすまる いよよてらすのみこと)

この人物は、母の高野新笠が自分を天皇位に着けるために、謀略で光仁天皇の井上内親王を廃后にしたことの「意味」を知ると、生涯、彼女を弔いつづけ(五條市の御霊神社)、「菊(キリストの華)」をことさら愛でました。

和風諡号には、日本列島での王権成立の真実が隠されている。しかも、大陸との関係のみならず、リアルの神との関係もそこに含まれている。これが新井史観です。

PS: 「クロネコヤマトの宅急便」。このコピーは、本当に凄い。ヤマト運輸創業者の栗栖利蔵さんの直感なのかな?

 

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この記事を書いた人

新井信介

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。