マスコミは「尖閣」について、各党の方針を質せ。

 「尖閣に自衛隊が駐留すれば、戦争になる。」 これを、中国の政府高官から聞きました。

 この真剣さは、一般の日本人には、理解できないでしょう。

 日本は、戦後、天皇の存在まで含めて、アメリカの特別行政自治区だったのに対し、

 中国は、1912年に国民国家(中華民族の国)の中華民国が誕生して以来、列強の半植民地状態から抜け出て、1945年の日本の敗戦後、1949年に共産党が大陸での支配権を奪取し、この中国(中華民族)の代表政権としての正統性を維持してきました。

 1971年に、台湾に逃げ込んでいた国民党政権から、共産党の北京政府が、国連での代表権を得たそのときから、この尖閣の問題と、正統性の問題は、一体でした。

 この尖閣が、日本国による国有化の登記だけでなく、実際に、国防のための兵士が駐留したとき、それは、

 中国共産党にとって、自分の領土と言ってきたところに、他国からの軍事侵攻が現実に始まったことになり、

 それを看過することは、自己が打ち立てた支配権の正統性と存在意義が、完全否定される事態になります。

 戦争になったとき、アメリカは、果たして、本当に、日本の味方なのでしょうか? 

 この東シナ海での局地戦争を、逆に、大喜びするのではないか? 

 こうした点について、今回の選挙での各党党首による、真剣な議論が必要です。

 そこには、経済界も宗教界も、教育界も参加せよ。

 経済問題(デフレの解決は可能か)から、放射能被害の対策も踏まえ、とにかく、

 この、今すぐ目の前にある、外交上の大問題を曖昧なままにして、投票に入ってはならない。 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。