フォーカス台湾が報道。李登輝「習近平の野心は毛沢東より大きいかも」。

台湾の李登輝元総統が大陸情勢を見て、どう考えているか、フォーカス台湾が伝えています。

今、中国が、習近平の独裁体制になっていることを批判し、警戒を呼びかけています。

http://japan.cna.com.tw/news/apol/201405090001.aspx

この9日の報道が伝えるところでは、8日、台北市にある東呉大学で、台湾の第二次民主革命について、李登輝元総裁が講演を行い、その学生たちから大陸の習近平政権の民主化状況について、質問された。

「野心は、毛沢東よりも大きいかもしれない。アメリカと覇を競おうとしている」。

 まあ、誰もが感じていることですが、李総統がいうと、重みが違ってきます。

客家ネットワークの重要メンバー。 この発言は、東南アジア華僑の総意とみて、間違いありません。

台湾は人口3000万にも満たない統治体ですが、ここは大陸以外の中国語圏の人間にとって政治的にきわめて重要です。背景には、中華皇帝を認証してきた孔子の末裔が住むこと(表面的には、「故宮の財宝」)と、天皇の金塊の一部があるからです。

李氏はさらに、このときの講演で、

「習近平政権の下で、中国大陸に民主化の兆しがあった場合、台湾は大陸とのさらなる提携・統合に積極的に取り組むか」と聞かれると、

「習氏に果たして民主化推進の意図があるのか? アメリカとのパワーゲームに躍起になっているばかりではないか」と、懸念を表明したといいます。

  そして、これも、当たり前のことですが、

中国大陸の最大の問題として、思想・信教の自由がないことを取り上げ、「現状が変わらない限り、正常な国になるには、まだ時間が掛かりそうだ」と発言した、と伝えています。

台湾フォーカスは、いい報道を伝えてくれました。 謝謝。

日本の自民党が戦前に戻りたがっているのと同じく、 中国の現在の指導部は、胡錦濤の全青聯グループが完全に実権を失い、中国の太子党のボンボンたちがのさばって、始皇帝や元のフビライ、さらには、清の乾隆帝にでもなったつもりでいるのでしょう。彼らは、きちんと人類の政治思想史を学んだことはないまま、対外的には、皇帝とその藩国という冊封関係しか頭になく、対内的には自国の住民を、自分の所有物と考えたままでしょう。

 日本と同じで、中国国内での「幸福度」がどんどん下がっている現状で、彼らは政権を持ち続ける正当性を、対外拡張に求めようとします。 日本の安倍政権は、大企業と公務員の給与アップですが、中国の場合は、公務員たちはすでに、さっさと大金をせしめていて、今、取締りから逃がれるのにビクビクしているところです。

ワイロが多ければ多いほど、実は、環境が壊れていっているのです。そして、紛争が激烈化し、戦闘になれば、ますます、多くの人命が失われ、自然も壊れるのです。

 中国の拡張主義に対しては、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、カンボジア、パラオ、モンゴル、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、パキスタン、インド、ネパール、ミャンマー、ラオス、タイ、などと、

平和を求める意志をそろえる必要があります。 ここには、戦争屋がすぐに入り込んでしまいます。 

また、上記以外に、東アジアには北朝鮮、韓国がありますが、ここを、日本が国家として、敵対関係になっている現状をどうするのか? また、ロシアとのあいだにも、北方問題があります。

 日本が、単独で、安倍政権は、思惑通りに、「積極的平和外交」をすすめるにしても、アメリカの特別行政自治区の状態を抜け出せるのかどうか、という、大命題が控えています。 これは、天皇問題とも絡むのです。

 安倍とその仲間たちは、ここを、大分、軽視していたのではないでしょうか? オバマは4月に来日し、ぎっちりと釘を刺しましたが、そのあとに、ベトナムと中国の対立が目立ってきました。背景には、日本の水面下の画策があったのかどうかはわかりません。

 中国の拡張主義を押え込むには、ヨーロッパ・アメリカ・ロシアも納得する、新しい人類共通の理念を打ち出して、その理念のもとに、紛争を解決し、そこから繁栄の道の形をしめさいといけないのですが、今の自民党と日本の経済界の頭では、戦前に回帰して、「滅私奉公」「天皇のために美しく死ね」だけしかなく、これでは、日本国内の一部の懐古趣味の人間しかついてこないでしょう。

 水面下では、国家に巣食った人間の利害が絡んで、いろいろなことが起きてしまうのは想像に難くないですが、表面の外交上は、日本の海上保安庁の機能と経験を、東南アジア諸国とで、どんどん共有すべきなのは、当然です。

さらに、今こそ、各国に、国家主権の下で戦争を行う兵士たちを、紛争地域の前面に出さすのではなく、

  国籍を超えた、平和建設部隊を創設 すべきでしょう。

 20歳代の若者を、「国家」にとりついた老人たちの欲望や面子の駒に使ってはなりません。

 未来のために、若者たちに紛争地域の処理案を出させ、実際に、若者たちが国籍・民族を超えて、主体的に行動させるのが一番いい。 

 そのとき、主幹事になるのは、台湾が一番いいでしょう。 フォーカス台湾、がんばってください。

 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。