日本古代史の最新研究は、665年唐の占領を指摘するも、劉徳高の莵道閲兵を無視。なんで?

  百済の滅亡後、当時の日本(これは倭国かどうか)は、百済遺民の救済を名目に、大量の軍を出した。

 それが663年の白村江の戦い。実際に軍船を送り出す前、宝皇女(斉明)は、九州の朝倉に陣を構えるが、ここで、崩御。

 ここで、日本書紀は、すでに皇太子になっている、中大兄が、このとき、即位もしないで船団を出す。 

 この戦いは、大敗北。

 問題は、このあと。

 通常理解は、唐の軍事占領から、中大兄は日本列島の人間を守った、というが、これに、真っ向から、疑問を投げかけているのが、中村修也氏。同氏の『天智朝と東アジア』~唐の支配から律令国家へ~NHKブックが、とても面白い。学者らしく論理は、ち密ですが。

 「敗戦国の倭国が、唐の支配を受け入れている。」 このときの倭国の責任者は、当然、中大兄であり、彼が、敗戦後に、唐をどう扱ったのか、詳細に検証します。

しかし、この中村氏をしても、日本の古代史で、もっとも肝心なことを書きませんでした。

それは、間人郎女が亡くなった後、665年に、上柱国の劉徳高がくるのですが、

 日本書紀にある、次の一文を完全に、無視しています。 天智4年10月のところです。 

 「冬十月己亥朔己酉、大閲于菟道」 

 宇治の重要性と、伊勢神宮の内宮の前に架かる宇治橋との関連性を研究する私にしてみれば、日本古代史の専門家が、この表記を完全に無視しているのは、本当に驚きでした。

 莵道(宇治)とは何なのか? 

 宇治にはかつて都があり、ここに都を築いたホンダワケ(応神)は二代で終わりますが、欽明時代以後、「八幡神」として信仰の対象になった。そのときの総本山は、聖武天皇のときに社殿が築かれた宇佐でしたが。

 宇治や宇佐のことを、王権の発生との関連で考慮できない人間が、日本の古代、そして、日本の天皇を語っている。ショックです。

 

 そのあとの666年の正月に、唐の高宗は、泰山封禅。 前年の麟德二(665)年八月、 余隆が熊津城に到り新羅の文武王と 劉仁軌の立会いのもと、熊津都督府支配地域(旧百済領)と新羅の「国境画定の会盟」を行った。

乾封元年(666) 泰山で高宗の封禅の儀式が行われ、旧唐書の劉仁軌伝では、

検校熊津都督劉仁軌は「新羅及び百濟・耽羅・倭四國の酋長」を参列させ、高宗を悦ばせている。

半島と、列島の代表を酋長と呼んで、このとき、まったく、国王の扱いしていませんでした。

 

 宇治の秘密は、 八幡の秘密。

 これは、バビロン以来のユダ族のことです。

 亡くなった古代史の重鎮、上田正明さんも、宇治の許波多神社のことを知りませんでした。

 この神社を守ってきたのが、藤原北家、五摂家筆頭の近衛家で、この神社には、

 「天神」が来たり、天武の時に「柳大神」がまつられ、伊部出身の織田信長が、火をかけているのです。

 この付近の山が、鏡山と呼ばれ、平安期は、藤原貴族に仕える少女や巫女たちが、たくさん住んだところでした。

 天智の挽歌として、額田王が、

「やすみしし、わが大君の畏きや、御陵(みはか)仕うる 山科の 鏡の山に 夜はよ 夜のことごと、昼はよ 昼のことごと 哭(ね)のみを 泣きつつありてや 百敷の大宮人は、いきわかれなむ」 と歌っています。

 ここでは、「鏡の山」が、重要です。 宇治の木幡は、「許波多」と書くのが正しく、山城の国は、昔、「許の国」と呼ばれていました。 

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