8月16日以来、全世界の耳目を集めるのがアフガニスタンですが、6年前に、私は中央アジアに行ったことがあります。西突厥の首都スイアーブ(砕葉城)やイシククル湖のあるキルギス、そして、ウズベクの首都のタシケント、唐代の都護府のあったサマルカンドです。
アフガニスタンに行くには、サマルカンドからさらに南下するか、あるいは、キルギスの山岳を抜けタジキスタンを通らなければなりません。そのタジキスタンの南がパミール高原で、そこを抜けると、アフガンと中国を結ぶ、ワハーフ回廊があります。
その地を、昨年末から車で走破した中国人の若夫婦の紀行記のビデオがYOUTUBEにあるのを見つけました。
中国側からワハーフ回廊瓦罕走廊に入り、中国车穿越世界死亡公路——瓦罕走廊!探寻千年古丝绸之路!汽车没油,困在雪域深山,荒无人烟,九死一生! – YouTube
そしてタジクの山岳ルート、开着中国车,深入中亚葱岭雪域——塔吉克斯坦!帕米尔高原险阻,被中国人打通,太不容易了! – YouTube
そして、キルギスのオシュ、ビシュケクから、スイアーブを抜けて、探寻吉尔吉斯斯坦,被遗弃的唐朝旧城——碎叶城!一片废墟,人迹罕至!周围村落的人,竟然说陕甘官话! – YouTube ・・・8分に、スイアーブ『奨進酒』
最後は、ナリンを過ぎて、中国領に戻るという、大変な車旅です。
6年前に中央アジアの一部であれ、実地を見聞したものにとって、この間の変化を確かめるように、とても興味深く見ました。あの時はまだ中国人の影が薄かったのですが、今では、タジク、キルギス共に鉱工業への中国企業の出資が増えたようです。
今回、中国の自宅(たぶん江蘇省)から、クルマでいきなり真冬のパミール高原まで来てしまうのですが、それが2021年の中国の若者なのです。この時の男性は行く先々で、地理や歴史の知識を交え、コロナで大騒ぎになった後の2020年年末からの現地レポートをしてくれるのです。このとき、キルギスのスイアーブ(砕葉城)にきて、そこが、唐代の詩人、李白の生まれ故郷であることに思いを馳せ、彼が詠んだ『奨進酒』の詩を天に向けて歌いあげます。
この詩の中の「天生我才 必有用」の一節は、特に有名で、中国の教養人の魂を震わす成語になっています。
「天が私を生んだからには、(私には)必ずなすべき用があるのだ」 の意です。
人生の苦衷で失意に落ちかけた時、自分がこの世に生まれた意味を天を見つめながら、自分には、必ず役割があるんだ、とおおらかに歌い上げるものです。絶対に、絶望しない。生きている今の自分を、決してあきらめない。そして、人生を楽しんでいく。
私が興味を持つのは、2020年の年末、中国の若者が、この中央アジアを車で踏破しているという事実です。すでに、「一帯一路」が着実に進んでいること。そして、アフガンへと、中国が補給ルートを確保していることが分かるのです。
8月16日のタリバンによるアフガン制圧の前に、7月28日、王毅外相は天津でタリバン代表と会っていました。そのときは、「テロ組織にはなるな」と、くぎを刺していました。今、ロシアと中国は同盟関係にあるのですが、そのもっとも重要なことは、国内にいるテロ組織とは、断固対決する姿勢で一致していたのです。戦後、中央アジアに広がったテロ組織は、どれも、アメリカのCIAの外交戦略上の画策の中で育成されてきたものでした。
それを今、つぶす、押え込むという、中ロ、そして、裏に回っているトランプの動きが、今回のタリバンの動きなのでしょう。
さあ、こうした中で、日本は、どんな立場をとるのでしょう。満州で麻薬を栽培し、上海で売りさばいたのが満州亡霊です。これは青幇と組んだ戦前の陸軍特殊部隊でしたが、今、その残党が、あえて東アジアに緊張を創り出そうとしていたのを、どうも、この16日以後、抑え込みに入っているのではないか。
それを暗示するのが、、ロシア発の以下の記事でした。
22日の深夜には、NHKのBSが占領中のインドネシアで、日本の陸軍が、細菌兵器の人体実験をしていたことを告発していました。