皆様
フクシマ事故の教訓は忘れ去られ、旧態依然を思わせる現状が嘆かれます。
福井県の関西電力大飯原発3、4号機について、運転差し止めを求めた仮処分で、大阪地裁は28日、申し立てを却下する決定を出しました。
東京電力ホールディングス(HD)は、原子力発電所の建設を進めている青森県東通村に企業版ふるさと納税制度を利用して約4億円を寄付する方針を固めたと伝えられます。原子力に関しては「専門家の知見より市民の直感」の正しさが改めて痛感されます。
心ある国民の結集が待たれます。
東京オリンピックでの被ばくの危険を警告するIPPNW声明の
日本語版が掲載されています。
断片的ながら内容の一部を紹介します。
*福島第一原子力発電所の廃墟からわずか50kmしか離れていない福島市で野球やソフトボールの競技の開催が計画されていることを懸念しています。
*IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部は、日本政府にたいして、国連人権理事会の要求を迅速に行動に移すよう呼びかける。国連人権理事会は、福島の避難者の権利の強化を求めている。小児科医でありIPPNWドイツ支部の支部長であるアレックス・ローゼン医学博士は、次のように強調している。「われわれから見れば、妊婦や子ども、そして免疫力が低下している人びとや遺伝上がんにかかりやすい人びとといった、とくに放射線に敏感な集団が、年1㍉シーベルト以上の放射線にさらされることがないようにすることは、きわめて重要である」と。
*2011年、福島第一原子力発電所で複数の原子炉メルトダウンが起こったとき、膨大な量の放射性粒子が大気中に放出されました。ヨウ素131およびセシウ ム137を検出することは比較的簡単ですが、ストロンチウム90をラボラトリー・テストで検出することは極めて困難な仕事です。日本の当局がストロンチウムの汚染度を測定しないという事を容認することはできません。
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)は1985年、ノーベル平和賞を受賞しており、その影響力は多大です。
日本の原発問題と東京五輪が表裏一体の関係にあることは、お送りしたアーニー・ガンダーセン氏の記事でも指摘されており、東京五輪の帰趨は深刻な危機的状況への国民の覚醒をもたらしうると思われます。
皆様のご理解と御支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)