送り盆。先祖との同居生活期間の終り。中野には空海の跡を追う仏教聖者がいる。

 もうすぐ、我が家でも「送り盆」をします。 お盆=盂蘭盆会は、もともとは、死者が閻魔様の前に行く前に、その縁者によって、死者の魂を火で清める儀式でしたが、飛鳥時代に日本列島に入って、さらに、平安京で、国家権力が安定すると、死者にたいする鎮魂、そして、供養の儀式に変わりました。 

 「生者必滅、会者定離( えしゃじょうり) は世の習い」 (『平家物語』)

 (死によって)離れたしまった近親者の霊と、この今生での「今」に、ともにくらす期間を、日本では、「お盆」というように変わりました。 

 死者と向き合うと、生きている今の意味を、強く感じるようになります。

 「生死の違い」は、肉体を持っているか、いないか、の違いだけで、魂は、同じく存在します。

 ただ、この三次元に、肉体を持っていることで、私たちの魂は、鍛えられ、磨かれると、私は考えていますが。  

 肉体をもつ個体生命は、常に、太陽系の太陽と地球と月の関係によって生み出される関係性=時間の中に規定されます。

 私たちは、死によって肉体を脱ぎ去り、魂は、電磁波の周波数だけの存在になります。

このとき、どうも、地球の人間社会で、どのようにして生きてきたか、何にこだわって生きていたか、何を目的にして生きてきたか、こうしたことが、私たちの心(霊魂)の周波数を決めるようです。

 クロマニヨンになって以来、遺伝子的には20万年、私たちは人類として、この地球の人間社会で、多くの経験をしました。特に、最近の6000年間は、地上では、人類が国家を求め、その中で、栄誉栄達、富貴繁栄を求めるあまり、多くの悲劇が生まれてしまいました。殺戮や疫病が続きました。また、人間には、男女の別があり、多くの恋愛物語も生まれました。民族や国家が争う時には、それぞれにとっての英雄も生まれました。

 国家・宗教(神の概念)・通貨は、実は、私たち人間が、頭(言葉で形成される概念の宇宙)で生み出したものです。しかし、この3要素によって、争いが加速し、そして、栄誉の姿も示されてきました。

 その中で、私たちは、成長しているはずなのですが。

さて、平安時代初期の日本に、一人の大天才が現われました。

その名は、佐伯真魚(マオ)。 空海。もしくは、弘法大師と呼ばれる人です。

この人の密教は、実に独特なものでした。本人の意識の中で、宇宙にある全てを包み込み、それと繋がるものでした(私の理解です。もっと、複雑で、精妙で、凄みのあるもののはずですが、今は、この表現にします)。

仏教の開祖ゴータマは、当時のインドの人間社会で、何一つ不自由のない王族の暮らしでも心が満たされないことから、自分という人間、そして、自分が生きる人間社会と、森羅万象の関係を、真剣に探りにいきます。 人間社会の欲になるものはすべて捨て去ってです。その結果、あるヒラメキが生まれます。私たちが知覚する全てのもの、そして、そこに存在するものも、すべては、光(の粒)によって形成された「借りの姿にすぎない」、と気づきます。 

 だから、美醜・貧富 に、「とらわれるな」。

人間個人と、人間社会、そして、地上の全ての生命、さらに、この地球をも生み出した大宇宙。

その中で、次の未来を、人間が生み出せる。 

佐伯真魚(空海) は、イエスの教えの核心を知っていました。だから、名前が「真魚=イクトゥス」なのです。

さて、その空海の悟りの跡を、真剣に希求している若者が、中野市にいます。

川口三国氏。 空海と同じく、24歳にして虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)という、真言宗の行法を実践(達成)した人物です。これは、比叡山の阿闍梨(あじゃり)が「動」であるのに対し、 「静」の修行とされます。

50日間小さな堂にこもり、他者との接触を一切断って、わずかな食事と睡眠で、真言を百万遍唱える「行」です。この過程で、彼が何を感じ、自らがどう変容して行ったのか、その体験談は、真言密教や空海を研究する世界中の人間の教本になっています。

私よりも、20歳近く若いのですが、本当に頼もしい求道者です。

実は、中野には、京都の南禅寺に入る前に、夢窓疎石が天南寺(現在の常楽寺)に来ていますし、一山一寧は泰清寺を開基しています。元善光寺である南照寺、さらに、柳沢の山側の赤岩には、谷厳寺があるように、名刹が多いのです。

今上陛下は、今年、夏至の日に、京都の妙心寺に行かれましたが、妙心寺の開基は中野で生まれた関山智玄(無相大師)でした。

北信濃の地は、本来、人間の俗世から離れて、《宇宙と一体になれる地》。私は、そう感じ、確信しているのですが、今の中野市の現状は、道路沿いにパチンコ屋とキノコ工場、そして、農地は果樹と花卉のビニールばかり。あまりに、無粋になってしまった。

川口三国氏が体感し、垣間見た世界を、追体験はできないにしても(下手にやったら、発狂してしまう)、せめて、きちんと理解してみようと意識をむけるならば、我が郷土はさらに美しく蘇るに違いない、と感じるのですが。

 川口氏は、信濃高野山 勝徳院 にいます。http://www10.plala.or.jp/shotokuin/

 彼の体験を平たく纏めたもの http://o-emu.net/archives/1517.html

 

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。