中国もイスラム世界も、「富の再分配機能」を作るべし。それも、非営利の全面情報公開の組織で。

 昨日の中国の「ジャスミン散歩」は、「党内人士」が言うとおり、まだ準備が足りず、
参加者も少なかったようです。それでも、全世界に向けたニュースにはなりました。
 21世紀に入り、中国とイスラム世界は、急速に経済発展を成し遂げました。
かたや、工業製品(繊維、建材、雑貨、家電)の輸出、かたや原油などの資源高。
このとき、国家の許認可や金融部門の権力者の周りには、激烈な富の集中がおきました。
これは、工業化・都市化が主体の、「文明のスタンダード」の達成段階で起きる現象です。
この状況を壊すのが、IT=インターネットがもたらす、新たな情報環境です。
その先にあるのが、「新文明」です。
 これが、私の見方、『新井史観』 です。
この次にあるのは、個と個とが、真実の情報で繋がった「魂の連携」による、
新しい現実の創造です。 主体は、自分の心に正直な、個人です。
2011年、一気に、これが始まりました。
さて、こうした現状の中で、文明アナリストとして、何をアドバイスするか、です。
毛沢東が建国した人民中国で、改革開放が始まる時、すなわち1984年から1986年まで、
私は北京にいて、国務院の国家経済体制改革委員会の人間と、この国をいかにして富ませるか、
個人的に会って、何度も話したものです。
そして、資本主義の本質から、個人の欲望と社会的富の蓄積の関係、株式会社制度、外資の導入、
土地本位の金融などを話し、明治以来の日本の経験を、如何に中国の実情に合わせて導入するか、
探り合ったものです。
それだけに、天安門事件後の鄧小平の「南巡講話」「先富論」が出された後、90年代後半から、
中国政府の関係者の、国富のきちんとした成長と、その貧困層への再分配よりも、まず、数字上
の金儲けに目がくらむ姿に、大いに失望したものです。
あの時は、1980年代後半の日本のバルブ経済時代に現われた、サマザマな「裏技」ばかりを、
中国の多くの学者・官僚・経済人が進んで訊きたがるのが、とても気になりました。
 何であれ、相場をつりあげて、それを金銭数字上の資産価値にする。
現実の社会実態が、中身がスカスカでも、その間に、自分個人の金が儲かればいい。
それで、そのときの関係者全員が、どんどん、目先の儲けを拡大して得ていけばいい。
もともと、中国人は、2000年の時間をかけて、「マネー崇拝」が遺伝子にまで、
徹底的に刻み込まれている民族性の人間です。
しかも、国家の面子がかかり、規模を追い続けます。さらに、一気にグローバル経済に
入り込んだために、それに、時間面での効率が加わります。
困ったことに、21世紀に入り、そうした中国では、輸出が拡大する中、アメリカのITバブル
のやり方、さらに金融工学を学び、政府機関や銀行に資金が増やすインチキを始めましたが、
社会の成熟という、実態の内実を伴わないスカスカな経済状態にもかかわらず、2008年の
サブプライムローンが破綻すると、世界経済(ドル基軸)の運営者は、そのスカスカ経済の
中国に、システム延命のために、新規ダイナミズム(駆動力)の役割を期待したのです。
この間、中国共産党の幹部は海外華僑勢力と組んで、権力市場経済の拡大に邁進しました。
今、中国の人口は、15億人。
共産党党員は、公称 7000万人。
      実数で、2000万人。
幹部党員にワイロを送ってコネを強め、利益共同体をつくりあげる。
それにがっぷり連なっている人間が、だいたい中国全土で5000万人ぐらいでしょう。
保有している資産は、少なくても数千万円。 多いものは、数百億円以上です。
それに対し、今、インターネット人口は、4億人を超えました。
ネットの参加者の8人に一人が、とんでもない金持ち か、利権取得者(の家族)ですが、
ほとんどの若者には、 未来が見えない、夢のない社会 となっています。
ジャスミン革命を、中国でどうすれば達成できるか、いろいろアイデアも浮かんできますが、
ここでは、書かない。私は、急激なやりかたによる、大混乱は、望みません。
今、中国大陸に行って、まともな経済行為や文化事業をしている日本人の同胞も多く、そうした
彼らの全うで熱心な考え方に刺激され、中国社会に道義を踏まえた信頼関係を築こうとしている、
真の愛国者の中国人も、少なからず、いるからです。
で、ここでは、一つだけ、要求したい。
 富裕層が率先して、資金を出して、環境改善、貧困地域対策に、
 具体的アクションをおこす、非営利の組織をつくること。
 富の再分配のための、受け皿をつくること。
 その資金事情(歳入。歳出)と運営手法を、完全に全世界に向けて公開し、
 実際の運営を、学生・若者にまかせること。
 そこには、日本の若者も連帯すべし。
世界中のこころある、おじさんたち、お姉さんたちが、それを、支援しますよ。
私達日本人に限らず、世界の良心が、一番、嫌がるのは、慈善事業であっても、
そこに、中国の国家権力が、いつも、強引に介入して、事業が歪んでいくことです。
「為人民服務」    … 人民のために 服務す。
これは、孫文の言葉です。
本気になって、これを実行する、魂のきれいなものとしか、
私達は、連携するつもりはない。
ネット時代に相応しい、現実創造の器を、中国社会に作り出すことができるか、
それは、中国の若者、そして、すでに、一定の利権や財産を得ている、
共産党や事業成功者の「魂のレベル」にかかっています。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。