無知と根拠なき自信は、覇者(戦後システム設計者)の思惑に嵌め込まれる。

 菅の改造内閣。
民主党で、形ばかりの、一致団結。
自分たちが、本当に、戦後システムを変えているのかどうかも分からない人間。
自民党時代に、財務大臣を経験した与謝野氏を、野党から、経済財政大臣に起用。
これは、消費税アップでの財政安定化のため。
さらに、経済界に押され、TPPを推進する。 こっちには、海江田経済産業大臣。 
消費税も、TPPも、昨年、唐突にいいだしたもの。
いずれも、沖縄の普天間基地問題で迷走し、アメリカとの信頼関係を失ったあとに、
ドタバタした中で、言い出した。
戦後の日本の国家の仕組み、そして、この国での権力のありか、をきちんと知らないで、
破綻状態の財政を立て直し、さらに、東アジアに経済共同体を作ろうとする。
各論《枝葉》にあたる戦術論にいきなり入り込んで、国民の目を引いたが、
国家の持つ権限をどうするか、その戦略論《幹》をキチンと固めないと、何も換わらない。
この《幹》の議論に入ろうとすると、すぐに、「政治とカネ」の問題が出てくる。
これまでの、戦後世界で日本がおかれている、その《幹》の実態をはっきりさせない
ことで、 変革の目を摘み取り、何とか、そのまま延命させる。
 これは、一体、だれの利益になるのか?
いっそのこと、日本国の財政が破綻すれば、IMFの管理下になり、
公務員の人数も待遇も権限もすべてを、強制的に見直せるが、このとき、
アメリカへの送金は、当然、打ち切られることになる。
今回の菅政権は、 アメリカ経済《米ドル経済圏》の延命を最優先にすることを
政権の第一目標にしてしまった。  グルーバル化と円高が、またまた加速する。
まさに、本国に奉仕する、「特別行政自治区」そのもの。
体力のある大企業は海外に資産を増やすが、日本の地方経済は、どうなるのか?
この状態を嘆くよりも、次を考えよう。
国家がすでにもつ権限を、どう自分たちにとりもどすか、ここが試練だ。
「お上」に対し、依存がある限り、私達は、「お上」を、制御することができない。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。