「ナマ」政局の場に現われる、政治屋一家と松下政経塾の落差とは。

 今週末、京都にこれない人のために、すこしだけ、事前にサービス。
本日、小沢一郎氏が、民主党の代表戦に立候補を表明しました。
年齢・体力のこともあり、首相になるには、小沢氏自身にとっても、これが最後のチャンスで、
しかも、今の国会の「ねじれ」状態で、重要法案を通すのは、自分しかできないとの思いかも
しれません。
小沢氏は、選挙の票読みについては天才的な人ですから、この代表戦に勝ってからあとの、
国会運営でも、一定の目論み、あるいは、勝算があってのことでしょう。
今年6月、小沢外しに動いた前首相の鳩山由紀夫氏が、菅総理との間を、取り持とうとしま
したが、不発でした。参議院選挙で民主党が負け、それにもかかわらず、何の責任も取らず、
肝心の、国家戦略局の格下げ、政治主導の無力化が進む中で、今度は、円高と株安です。
2年前のリーマンショックは、100年に一度の事態といわれましたが、世界史レベルで、今の
日本、及び、アジアで進んでいる情勢は、
 ① 戦後のアメリカ支配、特に、スカル&ボーンズ支配の終焉
 ② 明治維新から始まった、アジア近代化のやり直し
です。
近代国家は、中央集権での、法律、通貨制度、産業政策、軍事、教育 から始まりました。
如何に権限を中央に集中させるか、しかも、それを誰が運営するか、国家の経営資源を
どう分配するか、ここには、国家それぞれの正当性・正統性をつくる必要がありました。
日本の場合、明治になってから、天皇の姿、役割、位置づけを変えながら、それを薩長が
造った中央集権の統治体の正当性を裏付ける、「国家の権威」に仕立て直しました。
 現内閣総理大臣の菅直人は市民運動の政治家で、この政権は、まだ3ヶ月あまりですが、
強いて歴史的役割をさがすとしたら、韓国との関係改善を深めたことが挙げられます。
戦後、アメリカは共産主義の防波堤をつくるという大義を立てて、日本とソ連・中国とを
遠ざけるのみならず、東アジアでの「分割・統治」をより緻密にすすめるために、朝鮮半島
を分断したまま放置します。
 しかも、日韓については、韓国の民族としての自尊心回復を優先させ、そのとき、日本統治
時代の産業施策の成果を冷静に事実確認をしないまま、日本に対し必要以上の「憎しみ」を
植え込むことを、歓迎していました。
 菅内閣は、その「憎しみ」を薄めただけでも、一定の評価は、していいかもしれません。
しかし、沖縄、北朝鮮、中国との問題は、まだまだです。
明治にできた近代国家日本を中国との軍事衝突へと影で誘導し、さらに日本を敗戦に追い込んで
乗っ取ったのがアメリカ、中でもスカル&ボーンズです。共和党にも民主党にもこの人間がいます。
そのなかでも90年代以降、イスラエル右派と組んだのが、軍事大好きの「ネオコン」でした。
 いま、ここが、平和を望む世界の声によって、押さえ込まれました。
では、今後、このアジアの、国家間の利害を、どう再編集するのでしょうか?
本欄ではお盆明けに、「対中で日米がやっと対等になって、安全保障を組み立てられるように
なった」と書きました。
これは、東アジアの軍事緊張に対する処方箋であるべき、沖縄の米軍基地をどうするか? と
いう問題と同時に、経済活力源としての中国経済を、どう、アメリカ経済の延命や日本経済復興に
使うのか? という、これまでに出されたことのない、難解な方程式です。
 戦後のアメリカ支配下で、日本が工業化を主体に経済成長をする時、日本国民に対する、政治
的処方箋を教えたのが松下政経塾のはずでした。
 しかし、そこでは、現在のように覇権そのものが崩れた中で、日本自らが、新しい秩序構築や、
国家を超えて、途上国まで含めて相互に繫栄しあうための、思想的訓練は、あったでしょうか?
それ以上に、すでに明治以後の近代化の過程で、一定の利害が制度として固定化してるものを、
どこをどう突ついたら、どんな結果が出てくるか、個々人の貸し借りや弱みまでを視野にいれ、
そのツボ所について、話されたことがあったでしょうか?
 民主党になって、何事につけ、よくある事態は、
 >> やってみたら、できなかった。
 >> いつのまにか、官僚達に取り込まれていた。
これでは、まったく、埒(らち)が明きません。
 戦中・戦前、さらに明治維新から、今に繋がる「ナマの権力構造」については、アキンド
の松下幸之助爺さんは、それを壊すべきものとは、決して考えていなかったでしょう。
 それゆえに、この「ナマのツボ」を、知っているかいないか、の点で言えば、松下政経塾出身
者とは、実は全く未熟であり、ただ流行の政治理論を、マネシタ塾生ということになるでしょう。
 その点、その、ギトギトした「ナマ」の部分を、誰が、一番知っているのか?
もちろん、それは、マスコミも知らないことばかりでしょう。
「ナマのツボ」は、一族の後継者のみに、語り継がれるものでしょう。
となると、今後、この場面で力を増すのは、最深部にまで知っている世襲議員 となります。
 小沢、鳩山、麻生、安倍、谷垣、福田、田中。  参議院では、中曽根、小坂。
なにか、「大連立」が、匂って(臭って)きますね。 
いずれも、新時代の知性は感じられませんが。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。