ブルームーン効果?戦後の利権システムが消えていく。

1) 節分に空気が変わった。
 小沢一郎氏の不起訴が決まり、これから、戦後の統治システムの恥部が、どんどん
 明らかになっていきます。小沢氏は、特定財源に巣くった自民党の族議員をあぶりだして
 夏の参議院選挙を有利に導く戦略でしょう。
 しかし、その小沢氏自身も、夏の参議院選挙戦後には、政界から消えるのではないか、
 と私は考えます。この人は、日本人に金権体質をもたらした田中角栄を継いでいます。
 今は、アメリカの代官所の役目の自民党を倒すのに、間違いなく必要な人間ですが、
 本当の日本の、そして日本人の 自立と自律 には、やはり、障害となってきます。
 今、小沢一郎を評価できる政策があるとしたら、農業政策で、これまでの構造改善
 事業の継続を、断固拒否したことです。
 この事業は、田地の規格を作り変え、その側溝や道路の整備にどんどん金をつぎ込んだ
 事業です。農業の生産性向上をお題目にしましたが、実際は、土建業者のみが、儲かる
 仕組みで、農業の自給率アップになんら貢献しませんでした。
 民主党は、農家の所得保障を公約していますが、そのまえに、こうした、無意味な事業
 を止めさせ、本当に、日本の農業潜在力を、十分に引き出す必要があります。
 今、耕作放棄地が、埼玉県の面積よりも増えています。これまでの自民党時代の発想では、
 まったく、日本の農業、食の安全保障は、たちゆきません。 そのためには、サラリーマンた
 ちがすんなり、農業に従事できるような、相当思い切った政策が必要ですが、それには、
 安全保障や医療制度の改革を進めるのと同じく、安定政権が必要になります。
 私は、「小沢一郎」的な存在には、 砕氷船の役割 を期待しています。
 これは、中国の毛沢東が実践した、戦略でした。
2) 歴史に学ぼう。 砕氷船と、秘密結社。
 「日本軍を砕氷船として大陸に引きずり込め。そして、国民党の軍隊と対決させ、
  国民党の支配(氷海)が崩れたところを、中国共産党が纏め上げて、政権を奪う。」
 これは、毛沢東が提示した「砕氷船論理」で、この戦略はものの見事に当たりました。
 そして、毛沢東は、蒋介石が、日本軍を大陸から追い出すために、アメリカに援軍を求める
 のを延安でさぐりだします。日本は、アメリカと戦争するようになれば、必ず、撤退する。
 日本はポツダム宣言を受け入れた後、大陸から武装解除し撤退するにあたり、
 菊の御紋が刻印された多くの武器を蒋介石に渡しましたが、そのとき、密かに、その武器
 が、共産党側に、大量に横流しされました。そのとき、多くの賄賂が流れたようです。
 国民党の第八路軍は、実は、共産党の軍隊で、ここがほかの部隊にいる、隠れ共産党
 シンパに通じ、日本撤退後の内戦に備えて、武器の確保をすすめていたのです。
 で、こうした、裏の仕事をするのは、秘密のネットワークです。
 国民党の背後の秘密結社は、青幇(チンパン)。
 アヘン戦争以後、浙江省や上海の海運業者を中心に、
 聖書の普及やアヘン販売で大きくなった。
 それに対し、共産党がつかったのは、紅幇(ホンパン)。
 この紅幇のほうが、圧倒的に歴史が古く、ネットワークは広く、深い。 
 その起源は聖徳太子の頃までさかのぼります。
 中国の南北を経済的に統一したのは、聖徳太子の書簡を受け取った隋の煬帝です。
 この煬帝は、無類の女好きで、全土から美女をあつめ、それを宮殿をつくって住まわせる
 にとどまらず、その美女たちと暖かい江南まで、船に乗ったまま、宮殿の池から行ってしま
 おうと、水路を開く大事業を始めました。それが、大運河の建設。
 この運河建設で苦しんでいるとき、さらに、煬帝は、高句麗遠征を始め、これで、
 より多くの人間に軍役や苦役が課され、多くの人命や財産が失われます。
 これに耐えかねて各地で立ち上がった人間が、『侠気』で、連携しあいます。
 これが、紅幇の起源です。その場所は、中国河南省洛陽の南にある、瓦崗です。
 つまり、反煬帝のネットワークが紅幇の始まりなのです。
 煬帝が死んだ618年に、煬帝の臣下だった李淵は、いち早く、皇帝を宣言し、国名を
 唐としましたが、このときはまだ大陸統一には程遠い状態でした。李淵は、この秘密
 結社を味方した後、一気に支配権を確立し、621年に中国統一を達成しました。
 また、この年に、倭国では、聖徳太子が、亡くなっているのです。
3) 中国は、 今も生きる、 ネットワーク社会。
 話し変わって、自動車産業のこと。
 今、トヨタが度重なるクレームで、苦境におちいっています。
 この会社は、昨年11月末、関係する部品会社に、納入価格を一律30%カットを
 申し渡し、これをできるものには、今後も80%の発注を保証し、できないものには、
 発注しない、としました。
 さらに、50%カットのものには、今後も、永続的に付き合うとも言ったようです。
 私は、この話を聞いて、「トヨタは、終わった」とおもいました。
 今、中国では、自動車産業が大発展し、実は、日本の部品メーカーから仕入れたくて
 しょうがなかったのです。しかし、それを、日本の部品メーカーはこれまでの系列を重視し、
 断ってきたのですが、 その親にあたるトヨタがこれでは、各部品メーカーは、価格を下げる
 ために、海外での生産で積極的に規模拡大し、しかも、トヨタ以外にも、製造した部品を
 どんどん供給するしかありません。
 そのとき、トヨタが買う値段よりも、中国メーカーが買う値段のほうが高くなるでしょう。
 なぜなら、日系メーカーの部品を使っていることが、そのクルマの品質を上げ、評価を
 高めるからです。それで、しかも、販売価格は、トヨタよりは安いでしょう。
 今、トヨタの管理部門の人件費は、公務員とほぼ同じで、経営陣はまさに、高額所得者
 です。
 自分たちが設計し、部品メーカーたちに安い部品を納めさせさえすれば、どのマーケット
 でも勝てるクルマを大量に造れる と考え、ものつくりの基本精神を忘れている のです。
 ものつくり、とくに、部品2万点を数える自動車は、量産化にあっては、同志的なつながり
 が、発展の基礎だったはずですが、これを、失っています。
 これに対し、注目したいのは、今、中国で、もっとも成績がいい、日産自動車です。
 ここは、昨年のサブプラ後の、中国政府の消費奨励策で、中国の国内業者と同等の
 待遇を受け、一気に、販売が進みました。
 なぜ、日産は、優遇されたのか?    そして、トヨタは対象外だったのか?
 トヨタは、1980年代から、自分の車を売りつける姿勢は強いものの、中国政府から求め
 られた現地生産には協力的でなく、合弁生産が求められたとき、中国人は、クルマの運転
 を知らないからよく壊す(これは、正鵠を射ていますが)と、 自動車運転学校を創りました。
 
  これが、中国政府の面子をつぶし、感情を逆撫でしました。 トヨタには、心がない。
 以後、トヨタには、 絶対に、上海でクルマを作らせない、となりました。
 
 トヨタ現社長の豊田章男氏は、5年前、当時最先端のプリウス技術の供与を持ち出すことで、
 やっと、中国最大の自動車メーカー第一汽車との合弁にこぎつけましたが、出遅れは否め
 ませんでした。
 一方、日産は、最初の生産拠点が、河南省の鄭州です。
 ここは、中国経済にあって、農業や物流の心臓部です。
 鉄道輸送では、上海と西域を結ぶ龍海線と、北京と広州を結ぶ京広線が交差します。
 初めから、日産が、中国国内市場の成長を見込んでいたとすれば、たいしたものです。
 この河南省は中国で一番、人口が多く、しかも、歴史的に匪賊(食えなくなって、強盗に
 なった集団)がよく発生するところです。 それゆえに、同志的結びつきが強いのです。
 ここに、あの、紅幇(ホンパン)の伝統があって、それが今に生きているのです。
 きっと日産は、このネットワークで、販売を伸ばしたのでしょう。
 さて、これから、日本は、 アメリカの占領下から、やっと、独立が始まります。
 東アジア共同体 にどう入るのか?
 私は、その紅幇発生当時からの物語を抱えて、この時代を生きたいと思います。
 それは、日本に、天皇と皇祖神アマテラスが、生まれた物語でもあるのです。

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。