世界経済を回すのに、必死だな。IMFと日銀。さらに、郵貯資金もその対象か。

 参議院選挙で、いきなり、消費税10%を言い出した菅総理。背後にいるのは、もちろん、
財務省であり、さらにリーマンショック後の世界経済の建て直しを図る、世界の金融当局です。
 しかし、この春のギリシャ危機で、ヨーロッパ経済が沈没。アメリカも資金不足。
いつ、破綻するか分からない危機的状況が続き、この4~6月の3ヶ月は、水面下で、各国間で、
大変な熾烈な調整《駆け引き》がありました。
 
 その総仕上げとして、日本の選挙。ここでは、「郵便貯金のお金は日本国内だけで使うべし」
と主張する国民新党が、選挙の直前に連立政権を離脱し、さらに、議席を失いました。
 公務員改革を真っ先に挙げるみんなの党が、第三極で、キャクティングボードに。
 瀕死の世界経済を、なんとしてでも回そうとしている構図が、見えてきます。
そして、参議院選挙後、そうした世界経済の逼迫した状況と、日本国民の悠長さの間にある、
「ギャップ」(認識のずれ)の大きさに、IMFが、直接、乗り出してきました。
 さらに、それと同時に、株価も下がり、不動産価格が崩れてきた中国経済を壊さずに、まず、
人民元資産を、世界経済の延命に生かそうと、日本経済とのマッチングが始まっていることを、
日銀白川総裁がにおわしています。 
 2012年の年末までは、なんとしても、このままの体制で、世界経済をまわすのですね。
 以下 3件、 転載します。
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1) <朝日新聞>
 ”日本の消費税15%をIMF提言 来年度から段階的に”  ワシントン=尾形聡彦】
 国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する2010年の年次審査で、来年度から消費
税率を引き上げるべきだと提言した。ギリシャなど欧州の財政危機問題が、財政状態が飛び抜
けて悪い日本へも及ぶ危険があるとみているためだ。ただ、消費増税の必要性を強く打ち出す
姿勢は、日本の財務省の主張をなぞっているような側面も目立つ。
 10年版の年次審査で、IMFは「最近の欧州の混乱は、政府債務リスクへの日本の脆弱性
を高めている」と指摘した。 世界の投資家の間で、主要国の財政の持続可能性への関心が高
まるなか、 債務残高が国内総生産の約2倍に達し、主要国の中で最悪の日本の財政状態への
不信感が高まりかねないという危機感が背景にある。
 6月末のカナダでのG20サミットでは、先進国が2013年までに財政赤字を半減する
ことを合意したなかで、日本だけは例外扱いとなった。日本の公的債務の95%が国内で保有
されているという特殊性はあるとはいえ、日本の財政の悪さは際だっている。
 IMFは、11年度から消費税増税に着手する必要性を強調。現在5%の消費税を、10年
程度かけて15%まで引き上げる案を軸に、14%~22%まで税率を上げる選択肢を示した。
2) 日経新聞 から。 日銀総裁 中国経済「日本の景気に振幅作る可能性」
 
中国が国費を投じ公共事業を頻繁に行い中国のGDPが増大すればするほど、日本のGDPも
増大し、消費税収入も増大する。
 日銀の白川方明総裁は15日の金融政策決定会合後の記者会見で、中国の4~6月期の国内総
生産(GDP)が実質で前年同期比10.3%増となったことに関連し「旺盛な内需を背景に高い成長
が続いてる」との認識を示した。
 そのうえで「(日本経済の上ぶれ要因として)景気の振幅を作り出す可能性があり、注意深く
みていく」とした。
 中国人民銀行による銀行貸し出し抑制の窓口指導強化や人民元の弾力化などを挙げ「景気の過熱
が懸念される状況だったが、持続可能な成長軌道に乗せる課題に取り組んでいる」と評価した。)
日経新聞2010年7月15日
3) ロイター伝から 日銀の白川総裁 の会見 :    [東京 15日 ロイター]
 一部のみに抜粋。 
「景気の先行きについては、政策効果の減衰などで回復テンポの鈍化が予想される」。
「財政改革で長期的な財政の維持可能性の確保は、通貨の信認や経済の安定にとって重大」
 (白川総裁はターム物金利について)
「低水準で安定的に推移するなかで、企業の資金調達コストは低下傾向が続いている」。
「こうした低金利の持つ緩和効果は、改善している企業収益の対比でみて、強まりつつあると
 みられる」と指摘した。
 <民需の自律的回復に向けた動き続く>
「民需の自律的回復に向けた動きが引き続きみられる」「企業部門の改善の動きは雇用・所得
環境を通じて家計にも緩やかながら波及してきている」との見方を示した。
 今後は、「在庫復元の動きが一巡し、政策効果も減衰するに伴い、回復テンポがある程度鈍化
することが予想されていた」。 
 消費は「各種対策で高い伸びを続けてきた耐久消費財需要がこのところ増勢が鈍化しているが、
全体としては持ち直し基調を続けている」。
 <円高・株安の影響あるも、景気回復が続くと予想>
 最近の市場動向について: 「欧州での財政問題等を背景にグローバル投資家のリスク回避姿勢
が強まったことなどが指摘されている」と述べる一方、円高に関しては「相対的な安全資産との
認識のもとに円に対する需要が高まっていることが、円高の一因となっているという声も市場から
聞かれる」と述べた。
一般論として:「円高は短期的には輸出の下押し要因になる。株安は逆資産効果や企業マインド
悪化を通じて設備投資や個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
しかし、世界経済が回復していること、企業収益や景況感が改善していること、日本の市場や
金融システムが安定していることなどを挙げて「円高や株安の影響はあり得るものの、日本経済
の先行きは回復傾向をたどる」と予想した。
 <上振れ・下振れリスクともに4月対比で高まる>
 米国経済については「回復傾向が続いている」としたものの、「過去の回復に比べて成長の
ペースは緩やかなものにとどまっている」。 米国経済の回復の弱さについては「クレジットバブル
崩壊後のバランスシート調整」が影響しているとの考えを示した。
 欧州経済については「輸出が増加するもとで全体として持ち直しの動きを続けているが、相対的
に回復テンポは緩やか」としたうえで「金融市場が不安定なもとで、緊縮財政が予想以上に景気
を下押ししたり、金融部門と実体経済の負の相乗作用が長引くリスクも考えられる」と警告した。
 欧州の銀行に対するストレステスト(健全性審査)については、不確実性除去と、必要に応じて
資本を金融機関に注入することが大事だとしたうえで「テストが欧州の金融システムの一層の安定
化につながることを期待している」と述べた。
 中国経済については「景気の過熱が心配される状況だったが、当局が窓口指導などの措置を講じ、
経済を持続可能な成長軌道に乗せるという政策課題に取り組んでいると認識している」と述べた。
 先行きの上振れ・下振れリスクについては「4月に指摘した要因が現在も生きている」としたうえ
で「上振れリスクも下振れリスクも、4月対比で幾分高まっている」との評価を示した。
 <自己資本の質と量を高める金融規制の方向は正しい>
 財政問題について白川総裁は「長期的にみて財政の維持可能性についての信認が確保されることは、
通貨の信認確保や経済の安定に非常に重大」と強調した。一方、消費税を含めた税制のあり方につ
いてはコメントを控えた。
 全体としての金融規制については「最も大きな部分は、自己資本の質と量を高める方向だが、そうし
た方向感は正しい」との見方を示した。実際の規制の適用についてはマクロ経済への影響を十分に
評価すること、各国の金融制度の違いに配慮することが必要と指摘した。
 参議院選挙後のみんなの党の台頭で、リフレ的な圧力をが強まることが予想されていることについ
ては、コメントを避けた。
 (ロイターニュース 伊藤純夫記者、竹本能文記者、児玉成夫記者)

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。