明日5日から世界の金融・通貨事情が危機対応で劇的に一変する(?)。その引き金はドイツ銀行のデリバティブ問題とする噂がある…。世界経済を揺るがすドイツ銀行の信用問題、実態はどうか聞いてみた。

掲題に関し、私が信頼する、世界の金融事情に詳しい人に聞きました。
今回、10月末に、イギリスのEU離脱に関し、決着が一応、2か月延期になりましたが、これと、ドイツ銀行の金融派生商品(デリバティブ)の破綻問題が取り沙汰されていました。
ドイツ銀行問題とは、一体何で、今はどんな事態になっているのでしょう。

以下のような見方があります。日本では台風と豪雨でこれまでの「マネーでの都合のいい話」がどんどん壊れている現状ですが、日常生活でのマネーがまだ機能しているうちに、まず、イノチ、そして、隣人との良好な人間関係の構築の方が大切と、私は考えます。

以下、転載します。
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「ドイツ銀行が破綻」するという話はかねて噂されていて、YouTubeなどでさかんに流されています。
破綻するという理由としては「デリバティブ」の保有額が巨大だ、ということです。
しかし、現状は、噂されるほどではないかもしれません。
その理由は、
(1)ドイツ銀行は、デリバティブのポートフォリオを本体から切り離すために、多額のリストラ資金を計上している。
(2)デリバティブのポートフォリオの売却を順次進めている。まだ全部というわけではありませんが、順次、売却を進めています。もちろん、通常価格では売却できないので、かなりのディスカウントを想定して上記のリストラ資金を計上している。
→ https://finance.yahoo.com/news/deutsche-completes-auction-equity-derivatives-104110817.html
(3)ドイツ銀行というわけではありませんが、デリバティブの管理は、リーマンショック以降、管理をしっかり行っていこうということで、以前は、「相対」ですべて行っていたものを、集中的に決済・管理を行う「決済管理機構」が複数(残念ながら1つではありませんが)設立され、債権・債務の「相殺」を行うことができるようになっているので、リーマンショック時のように連鎖倒産のリスクは小さくなっています。

世界の株価は、過去最高値圏で推移しています。
そのようななかで、ドイツ銀行の株価は最高値から5分の1程度まで下落しています。米国の投資銀行にチャレンジしたのですが、結果的に失敗して、ビジネスモデルの変更を余儀なくされ、巨額の損失を出してきていますし、米国から巨額の制裁金(リーマンショックやマネーロンダリングに関わるものなど)を課せられたことなどによります。
しかし、資本比率などでは、他の銀行などよりも健全な姿になってきています。株価が大きく下落したので、株式としてはリスクはもちろんありますが、ちょっと無責任な言い方をすれば、一か八かで買ってみるのも面白いかもしれません。

ただし、世界的な景気後退や世界の株式・債券バブルあるいは不動産が崩壊すれば、ドイツ銀行も致命的な打撃をこうむり破綻に追い込まれることでしょう。しかし、その時はドイツ銀行だけではなく、先進主要国の銀行、特に日本の金融機関は大変なことになるでしょう。日本の金融機関については別途ご説明させて頂きたいと思います。
なお、これからの金融危機が何をきっかけに起こるのかは予想しがたいのですが、これだけ長期にわたってゼロ金利あるいはマイナス金利が継続したような経験は初めてなので、その転換点で何かが起こるということはあるかもしれません。その時に、世界各国の中央銀行がどのような対応をするかで、その後の姿が大きく変わることでしょう。

私が考えるドイツ銀行問題の本質とは、
(1) 金融緩和が継続(特に、マイナス金利下)する中で、銀行業そのものの姿(ビジネスモデル)が問われている
(2) 米ロ関係(特に安全保障上の問題)
(3) トランプ個人の問題
解説しますと;
(1) 世界的な金融緩和で、マイナス金利も発生する中で、銀行が預金と貸し出しの利幅で経営できる状況ではなくなってきています。ここしばらくは人員削減などの合理化で何とかしのいできましたが、低金利が長期化することで、それも難しくなってきています。また、これから世界的な景気後退が起こった場合に、企業への貸付(現在のこの企業向け貸し出しが過去最高水準で、しかも格付けの低い企業向けが急拡大している)が焦げ付く恐れがあり、それらを吸収できるような利幅はもはやないですし、長期の金融緩和によって、経営状況もかなり脆弱になっています。
米国では、トランプ政権下でリーマンショック後に厳しくした金融規制を緩和しようという動きがありますが、その一方でウォーレン氏などは銀行と証券の分離など規制をさらに厳格化しようという反対の動きも出てきています。銀行などの金融機関をどのようにしていくのかが問われています。
(2) 米国は、ロシアへの敵視政策を放棄しておらず、依然としてロシアへの圧力を強めています。そうした中、銀行業では、マネーロンダリングの調査を通じて、ロシアやその政府・企業経営者などへの圧力をかけようとしています。この点については、ロシアと距離的に近い欧州諸国(特にドイツ)は考えを異にしています。対ロ政策では常に米国とは異なる意見を持つドイツを米国は問題視していて、ドイツ銀行は欧州そしてドイツの中心的銀行として、この点から米国から圧力をかけられています。マネーロンダリングでは1.6兆円以上の制裁金をドイツ銀行は米国から課せられています。
つい最近のことですが、米国が強硬に反対していたロシアからドイツまでのガス・パイプライン「ノードストリーム2」にデンマークがOKを出したことで、いよいよ完成というところまで来ていて、米国と欧州、特にドイツの関係はさらに悪化しそうです。これによって、ロシアからドイツまでガスが運ばれることになり、いままでのようにウクライナを経由する必要がなくなります。そのため、逆に、ウクライナでの緊張緩和の動きが高まりそうです。事実、ウクライナ東部での緊張はロシアとの対話を通じて進みつつあります。
→ https://www.reuters.com/article/us-gazprom-nordstream-2/denmark-clears-major-hurdle-for-russian-led-nord-stream-2-project-idUSKBN1X91KR
→ https://www.bbc.com/news/world-europe-49986007
(3)トランプ個人の問題、というのは彼が不動産ビジネスを通して、ドイツ銀行から融資をしてもらっていたことに起因するものです。1990年代からドイツ銀行はトランプのカジノビジネスに融資していましたが、トランプが何度か破綻したことで、その返済を巡ってはいろいろなトラブルがありました。現在問題になっているのは、ドイツ銀行がトランプへ融資を行ってきたなかで、トランプの過去の税務申告書を保有しているということで、民主党がそに申告書の議会への提出を求めていることによります。(ドイツ銀行が持っているのはトランプ「個人」のものではなく、関係する人物・会社のものとも言われている)トランプは本来はしなければならない税務申告書の公開をかたくなに拒んできました。これをドイツ銀行が保有していることから圧力をかけているのではないかと言われています。
→ https://markets.businessinsider.com/news/stocks/trump-tax-returns-deutsche-bank-relationship-drawing-intense-scrutiny-2019-8-1028482268#the-story-so-far1

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この記事を書いた人

新井信介

1957年長野県中野市生まれ。東京外国語大学(中国語専攻)から住友商事を経て独立。中国の改革開放に立ち会い、独立後は西欧世界にもネットワークを構築。地球史の視野で、国家・宗教・マネーの意味と構造を探り、個人の可能性(想像性・創造性)と、普遍的文化価値を探求している。そのために、『皆神塾』を主宰し、会員制の『瓊音(ヌナト)倶楽部』も立ち上げて、研鑽を深めています。